第15話 スピルバーグが来たらしい


 試写会ハンターのノリちゃんの、次のターゲットはスピルバーグらしい。



雲江「え、来るの?」


ノリ「来ます」


 なにやら新しい映画が公開になるらしいのだ。


雲江「なんて映画?」


ノリ「『レディ・プレイヤー』ってやつで、ゲームの世界でお宝探しする映画です」


 ノリちゃんにあるまじき、明確な説明。


雲江「あ、『ゲーム・ウォーズ』か!」



 小説『ゲーム・ウォーズ』は何年か前に読んだ作品で、めちゃくちゃ面白い。『レディ・プレイヤー』はその映画化作品だ。たしかあとがきに、スピルバーグが映画化するとかなんとか書かれていたが、本当にやるんだ。


 ん? ……本当にやるの?


 あの小説は、版権的にめちゃくちゃで、クライマックスの大バトルでは、メカゴジラとウルトラマンが戦うという、超クロスオーバー作品。


 作者は超ド級のオタク、いわゆるメガギークだ。なんでしょうね、メガギークっていうと、格好よく聞こえる。


 だもんだから、小説『ゲーム・ウォーズ』は、実際にあったアニメやゲームやコミックのネタ満載の作品に仕上がっていた。



 ちなみに、クライマックスは巨大ロボットの大戦争になるのだが、その前振りとして、途中のステージでゲームを世界最初にクリアした主人公は、クリア・アイテムとして巨大ロボを手に入れることになる。


 最初にクリアしたから、数多あるロボのうち、好きな物をひとつ選べるわけで、最初は「一番強いのを選ばなければ……」と画面をスクロールさせているのだが、やがてあるロボに目を止める。


「これだ、これしかない! たとえ弱くても、絶対このロボがいい!」


 ──思考経路がオタクである。アホか、と思った。だが、この主人公が選んだロボの名前を見た瞬間、文庫本をもったままひっくり返った!


 アホか、この作者! この作者は、なんて素晴らしい人なんだ!!




 もう、主人公が選んだロボが最高なのである。




雲江「そのロボについて語っていい?」


ノリ「ネタバレになるので、やめてください」




 でも、ノリちゃん、知らねえだろうな。話を聞けば、「え? そんな番組があったんですか?」と驚きはするだろうけど。


 が、しかし、そのロボ。実は〇〇界では、「最強」の称号を得ているロボなのである。


 そして、その番組は、関東ローカルでの放映と原作との版権のこじれで、再放送もレンタルもされていない幻の名作。が、米国の原作者は「これは別格」と大絶賛し、その原作にもその最強ロボを登場させてしまうほどなのである。


 と、ここまで書けば、知っている人は、「え? あれ?」と分かるはず。


 そうです! アレを出してきたんです! この『ゲーム・ウォーズ』の作者は!




 いやー、楽しそうだなー、『レディ―・プレイヤー』。最近はCM映像を見ることが出来るようになってきて情報も公開されているんですが、ぜひ観に行きたい。



 で、試写会ハンターのノリちゃんは、試写会当たって観に行ったらしい。そして、レッドカーペットも。



ノリ「叶姉妹が凄かったですよ!」


雲江「それ、本編と関係ないよね」




 で、のちに4DX版の試写会も当たったらしい。

 正確には、ペアで当たって相手のいないお姉さん知らない人と一緒にいったらしい。



ノリ「あたしは分からないんですけど、いろんなネタが仕込まれてて、一度じゃ探し切れないから、雲江さんの場合は最初通常版を見て理解してから、おちついて4DX版を観るのがお勧めですよ」


雲江「いや、2回も観る気はない」



 が、冷静に考えて、ノリちゃん。すでに2回観てるんだよね、『レディープレイヤー』。うち1回は4DXで。


 公開前に……。


 しかも、タダで。




 ちなみに、特撮史上最強のロボが気になる人は、「レオパルドン」で検索してください。

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