第12話 サバイバルを生き抜く為の3の法則

 サバイバルを生き抜く為の『3の法則』というものがある。

 酸素は3分

 体温は3時間

 水分は3日間

 食料は3週間

 以上を摂取しなければ命の危険に脅かされるというものだ。


 男は腐角食を用いてこの全てをクリアしている。


 ①酸素

 基本的にこの世界は荒野ばかりだ。リアル北斗の拳な世界である。ここが未来の地球なのか、異世界なのかは分からないが、酸素は必要そうだ。故に腐角食をフィルターにして粉塵は勿論、口回りには男が経験により編み出した高性能腐角食フィルターにより常に高濃度の酸素が供給されるようになっている。


 ②体温

 荒野での日夜の温度変化は半端無い。

 日中は40℃近くまで上がり、真夜中はマイナスまで温度が下がる。

 男は腐角食による幾層にもわたる強固なアーマーを開発。柔らかい腐角食と高圧縮の腐角食をミルフィーユのように重ねて作り上げた。更に暑い時は空調機能によって涼しくなる。これにより体温保持は完璧だ。


 ③水分

 男は喉が渇くと腐角食をラフレシアのように拡げ、大気中の水分を集める。拡げられた腐角食内部は高性能の浄化機能も備え、適切に冷やされた蒸留水を確保できる。また、雨からの水分も保持している。


 ④食料

 腐角食だ。


 男が何年も単独で旅が出来るのにはそういう理由があった。

 ちなみにうんこをした後も腐角食で拭ける。

 荒野に残された腐角食とうんこはカラカラになってすぐに消え去る。とてもエコロジーな生活をしている。


 腐角食は男の思い通りに働く。

 だいたいのものは腐角食で作ることが出来る。


 無限に近い増殖と瞬時の伸縮性に富んでいる腐角食は、まさに夢のアイテムとも言えるだろう。


 問題は腐角食を開発した奴等がその技術をいとも簡単に捨て去ることが出来ることだ。その答えは膨大な技術が敵にはあることを示唆している。


 男が開発した技術は生きる為に必要な故に産み出された。だから製作者の思いも寄らないところはあるかも知れない。


 しかし男は油断しない。

 圧倒的腐角食に慢心はしない。


 男は腐角食力を常に鍛えている。


 腐角食は男の脳を媒介にした3Dプリンターのようなものだ。


 だから男は想像力を鍛える。


 想像することは創造すること。


 思えば元いた世界も同じだった。


 猿だった人間が繁栄をもたらしたのは、想像力を働かせ、創造したからだ。


 そこには悠久の時があったから、その時代を生きる人間は当たり前に文明を謳歌していたのかも知れない。


 しかし、世の中に当たり前は無いのだ。


 無いからこそ利便性を求めて人は発展するのだ。


 だから男は夢を具現化する。


 想像することは創造することだから。


つづく。

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