31.収益化

4月1日にカクヨムからお知らせがありました。


「カクヨムの新たな取り組みについて」

https://kakuyomu.jp/info/entry/kakuyomu_mid-term_plan


この一週間でかなり話題になっていたのでもうご存知だと思いますが、今後カクヨムユーザーが収益を得られる仕組みを用意していくそうです。


その方法は2つ。


1.広告収益

・小説の前後など、なるべく読書の邪魔にならない箇所に広告を掲載

・表示回数や貢献度などに応じて広告売上をシェア

・今年秋から開始予定


2.読者が作者にお金を支払う

・まだどういう形式にするか煮詰まってない

・小説の有料化、または単純に作者へ寄付もあり得る


なお、これらは「一定額を超えたら都度振り込みで受け取ることができるような仕組み」になる、とも書かれていました。


周りでは賛否両論です。


賛成派が言うには、やっぱり頑張りがお金になるっていいねってのと、それで腕の立つ作家さんが集まってくる⇒面白い作品が増える⇒読者が増える⇒広告の儲けが増えてさらに作家が増える、の好循環が期待できそうっていうのがあります。ユーザーが増えるのは僕もいいことだと思います。書くモチベも上がります。


反対、というか慎重派が言うには、広告で小説が読みにくくなっちゃうんじゃないという懸念が1つ。あとは不正の懸念、とまではいかずとも、歪な小説が増えてしまうんじゃないかって意見がありました。創作の矜持もなくPVを増やすことだけを目的とした贋作まがいの作品を用意したり、とか。極端に少ない文字数で1話を区切ったりするスタイルは、今後は微妙な雰囲気がまとわりついてしまうかもしれません。


とはいえそういうのは仕組み次第である程度コントロールができる部分だろうと思うので、カクヨムさんが巧くやってくれることを期待しています。そこらへんが整う前提で、僕は賛成派です。


というか、ちゃんと収益化するべきだと思うんですよ、このサイト。前にも少し触れましたが、カクヨムってどうやってお金儲けてるのか謎なんですよね。登録ユーザー数、作品数も基本的には増え続けるものと考えると、維持費だって馬鹿にならないはずです。コンテストの賞金だって出るのに。出版ビジネスの不調が叫ばれてる中、相当身を削ってやってるはずです。が、そのままでは当然続けられません。


まずはユーザーを増やす、ってことを割り切ってやっていたはずで、次にどこかで収益化に舵を切るタイミングを探っていたと。そして今、お知らせページにもグラフがある通り、順調にPV数が増え続けています。いよいよその時が来た、ということなんでしょう。広告で収益化というのは規模が出てきたサイトの常套手段であり、まあこの変更は規模を拡大する中で避けて通れないものだったんじゃないかと僕は思っています。


ただ、Twitterでも呟きましたが、広告収益でまとまったお金を得られるのは相当人気のある一握りの作者に限られると思います。Web広告の収益っていうのは規模がないと微々たるもので、一般的な画像広告の1表示あたりの価格は0.2~0.3円といったところです。ここから販売手数料を引き、カクヨム運営さんと仲良く分けることを考えると、作者に入るのは多くて0.05円がいいところじゃないかと。つまり1000PVで50円です。僕レベルじゃ月々5円がいいところかもしれません。


これじゃお金より不満の方が先に溜まってしまう。ので、投げ銭システムも併用ということにした。というのがこれまで検討されてきた流れなんじゃないかな、と思います。


いずれにせよ、この流れはカクヨムが本格的に小説のデジタルプラットフォームに移り変わろうとしている、ともとれます。


小説といえば文庫、紙のイメージが強いですが、今後はますますデジタル中心にシフトしていくのでは、と僕は思っています(ここら辺は各々こだわりがあるところだと思いますが)。そしてデジタルでの収益は、コンテンツはユーザーに任せて場で(つまり広告などで)儲ける、というのが昨今の流れです。動画なんかYouTubeという分かりやすい例がありますし、Facebookなんかもそうです。


出版は、今後どんどん割に合わない商売になっていくかもしれません。しかし小説を書きたい、読みたいという情熱は早々に失われるものでもないはずです。であれば出版、そして作品の売買はデジタル上でユーザーにお任せにして(レーベルによる格付けなどは残りつつも)、場を用意することで広告費や売買手数料で収益をあげる。それがデジタルで出版業界が流れつく1つの形かもしれなくて、その変化の真っただ中に僕らはいる、とか考えるとなんだか興味深く思えてきます。


……うん、なんか、柄にもなく真面目な話をしてしまった。


皆さんはこのあたりどんな風に見られてますでしょうか。ぜひご意見お聞かせください。


ではまた。

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