第11話同性愛が招いた悲劇

美鈴が死んで、一番悲しんだのはあろうことか僕だった、僕はその日から寝室から出てこない引きこもりになってしまった。


「少年、飯だ」

「いりませんよ!!ほっといてもらえませんかね?」

「そう言うわけにはいかない」


僕が言うと、由香はドアを通して言った。


「すまないが、そこはあたしの部屋だ。責める気はないが、君はあたしの下着を嗅ぐかも知れない。開けてくれ」


僕はドアを開けた。


「すみません。僕は変態じゃないですよ」

「知ってるさ。開けてくれて感謝をする」


僕は由香から差し入れとか言われてコンビニのおにぎりを受け取った。あとお菓子と飲み物だ。


「お金はないです」

「判ってる。ローンを組んでおいた」

「……それで、彼女の死因は?」

「毒物による青酸中毒だ。見ろ。テーブルの上に飲みかけのワイングラスが2つ置いてあるだろ。その1つに毒物が混入されていたのだ」


僕は首を傾げる。


「つまり部屋には2人いたってことですかね」

「ああ、これは自殺じゃない。自殺を偽装した殺人だ。おそらく真犯人は全ての罪を白木美鈴になつりつけたかったんだと思う」


由香は神妙な表情で言う。


「犯人は誰なんです?」

「見当はついている、黒川優奈だ」


僕はふと顔を上げた。


「それはないですよ。当時、彼女にはアリバイがあります。それに彼女には白木さんを殺す動機がないじゃないですか?」

「ほー、しかし二人は禁断の関係だったらどうする?」


「意味が分かりません」


僕はきっぱりと言った。


「女の子同士でイチャイチャする仲だったらどうする?もし、守氏を殺害する動機が黒川本人にはなくても美鈴にあったらどうする?」


僕は由香に詰め寄られて、動揺した。


近い、近い、近いです。


「これは殺人事件だ。

二人の禁断の関係が、招いた悲劇だと言ってもいい」


彼女は言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る