第八話 マナナの葬式

 俺が聞いたマナナ婆さんの昔話はこんなところだ。

 その後も彼女は街の治安向上に尽力し、やがて時代の背景も後押しし、シチリア島のマフィアは力を失った。治安の維持は地元警察で行われるようになっていった。

 彼女は晩年、少年に向かってよく怒号を浴びせてたという。


「それでも男かい! 男だったら、そんなことで泣くんじゃないよ!」


 彼女にとって、町中の子どもみんなが自分の子どもだった。本気でしかり、そして時には暖かく迎えてくれた。


 そして先日その生涯を終え、彼女は本当の太陽になった。


 今頃きっと天国では、アントニオとレオナルドとの再会を果たしているに違いない。その姿を思い浮かべながら俺はもう一度目を閉じた。

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