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 海の見える病院というものは実際に存在している。それも東京都内にある。ただし、立地的にはそんなにいい場所ではない。近くには商業施設はない。定期的にイベントが行われる施設があり、人がたくさん集まるのを病院のガラス越しに見つめていることが多い。

「ねぇ、人がたくさんいるのはなに?」

 少女が母親に尋ねるが母親は言いよどんでしまい、「そうだ、お菓子買いに行こう」と言ってその場を離れて言ってしまう。

 塔は時間があると外を見ていた。

 なぜ自分がここにいるのか疑問に思いながら。

 外の世界は自由だ。きっとそうだ。

 彼は、希望を抱きながら夜眠りについた。

 永遠に来るであろう「明日」に絶望を感じつつもいつかは自分もここを出られるということ夢見ている。

 しかし、あくまで夢は夢だ。

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