第27話 接触(1)

「では、楽しい旅を」


「失礼」



 一人はにこやかな笑顔を浮かべ、もう一人は無表情かつ最低限の言葉だけを発して退室して行く制服を着用した2人の男達。額や首筋、背中などに汗を滲ませたままの彼らが出て行った後、室内に張り詰めていた殺気と見紛うばかりの緊張感が一気に霧散する。



「ふう。

 まずは第1関門突破……と言ったところかな? アゼレア」


「そうね」


「でもアゼレア、あれはいけない。

 あんなに殺気を出していたら、すんなり行くものも行かなくなるよ?」


「ごめんなさい。

 彼の手が腰に吊っている銃に触れたままだったから、つい……ね」



 右腰に吊っていた拳銃のホルスターから手を放しつつ、アゼレアが申し訳がなさそうに言っている通り、列車が発車してから暫く後に検札のためコンパートメントに入って来た車掌に同行する形で紺色の制服を着用した鉄道公安官も同じく入室して来た。


 ここまでは良かったのだが、事もあろうに公安官は右腰に吊っている拳銃入りのホルスターに手を添えている状態で客室に入って来たのだ。


 恐らく公安官は何の気もなしにホルスターに手を置いていたまま車掌に続いて客室に入って来たのだろうが、これを見たアゼレアから途端に殺気が漏れ始め、室内は異様なまでの緊張感に包まれて息をするのも苦しい状態に陥った。そのような状況下で車掌はプロ根性で検札を行い、見事に職務を遂行して公安官と共に部屋から出て行った。



(それにしても鉄道公安官はよく拳銃を抜かなかったなぁ……)



 もし仮に公安官があの緊張感に耐えられなくなってホルスターから拳銃を抜いていた場合、ホールドアップの『ホ』の字が出る前に動いたアゼレアの右手が公安官の頭を瞬時に握り潰しているか、彼女の右腰に吊られている自動式拳銃が目にも留まらぬ速さでホルスターから抜かれ、次の瞬間には彼の頭を吹っ飛ばして室内に脳味噌をぶちまげている可能性が高いが……



「それにしても、シグマ大帝国は魔王領と友好国なんだよね?

 友好国の軍人さん相手に、あんな態度は無礼だと思うんだけれど?」



 結局、公安官はアゼレアの殺気を感じるとおもむろにホルスターに添えていた手を銃把グリップへと置き変え、彼女から離れた位置に立っていつでも銃を抜いて撃てる姿勢を取っていた。アゼレアの手が銃のホルスターや軍刀に触れていないにも関わらずだ。


 だが、公安官が銃を抜こうとしていた相手であるアゼレアは曲がりなりにも魔王領の魔導少将である。制服や軍服を仕事で着用する必要がある者であれば、アゼレアの格好は階級の高い軍人であるというのは一目瞭然で、普通であれば彼女が殺気を飛ばしていた原因を自分が銃のホルスターに手を掛けていたことだと気付いて謝罪するのが筋を言うものではないだろうか?


 はっきり言ってあの鉄道公安官の態度は友好国の高級軍人に対してとるものではない。



「仕方がないわ。 魔王領とシグマ大帝国は確かに友好国ではあるけれど、軍事同盟を結んでいるわけではないし、多数の魔法技術や農業技術がシグマ側に輸出や供与されているとは言っても、国民の大多数が魔法を使える我が国は人間種の国家にとって潜在的な危険性を孕んでいると思われているのよ」



 俺の質問に対してアゼレアは「どうにもならない」と言いたげな表情を浮かべたまま淡々と答える。彼女の話は魔王領と人間種国家のこれまで歩んできた歴史が凝縮されているような気がした。



「うーん、俺は魔法が使えない世界にいたからそこら辺の実感が湧かないんだけど、魔法が使えることってそんなに危険なことなの?」


「そうねえ……例えば孝司は私のことをどう思う?」


「え!?

 そ、そりゃあ……アゼレアは綺麗だし、自分にとってこの世界で一番大切な女性ひとだよ?」


「フフッ、ありがとう。 ちょっと言葉が足りていなかったわね。

 孝司は私が戦略級や戦術級軍用攻撃魔法使えるって聞いて、どう思うかしら?」



 突然のことに俺はしどろもどろになりながら答えるが、どうやらアゼレアが聞きたかったのは彼女に対する想いではなかったらしい。俺が勘違いして答えた惚気と言ってもいい内容に、アゼレアは満面の笑みを浮かべ、そして彼女は改めて自分が大規模攻撃魔法を使えることに対してどう思っているかをこちらに問う。



「うーん、そう言われても実感が湧かないんだよね。

 アゼレアの言う戦略級軍用攻撃魔法っていう魔法の威力が地球のメガトンクラスの戦略核兵器並みだったとしてさ?

 第二次世界大戦終了後、実際に核兵器が使われた戦争が起きていないから、君が個人で戦略核兵器並みの魔法を使えるって言われても何ていうかピンと来ないんだよなぁ……」


「でしょうね。 では、仮にだけれど私達が先程までいた帝都ベルサを一撃で廃墟にできる魔法を使えるって言ったらどうかしら?」


「それは確かに凄いけれど、でも確か戦術級・戦略級攻撃魔法は魔導士個人が悪用しないように安全装置が用意されているってアゼレア自身が言っていなかったっけ?」



 正直言って、アゼレアが「国を一撃で破壊できるメガトンクラスの戦略核兵器に相当する威力を持つ攻撃魔法を使える」と本人の口から言われてもピンとこないのが実情だが、それはそうだろう。見た目は平均的な女性より身長が高いことと、瞳と髪の色が地球人ではあり得ない点を除けば、彼女の外見は普通の人間と全く同じなのだ。


 吸血族と淫魔族の混血である上級魔族なのに背中に翼はなく、頭には角は生えておらず、尻尾もない。強いて言えば性的に興奮した際に牙が伸びる程度で、ファンタジー物語にありがちな魔族のアイデンティティとも言える外見的特徴は殆どない。


 人間と外見が全く変わらない彼女が、一国を破壊して膨大な数の人間を一瞬で殺害できる魔法を使えると本人の口から言われても実感が全く湧かないのだ。


 そしてもう一つはアゼレアを含めて戦術級・戦略級攻撃魔法を使える魔族は軍が用意する使い捨ての発動術式がないとこれらの攻撃魔法を使用できないことだ。そのため大規模攻撃魔法の片鱗さえ見たことない俺は「本当にできるのか?」という疑いがずうっと頭の中にある。



「確かに孝司の言う通りよ。

 でも今まで黙っていたけれど、その安全装置である使い捨ての発動術式を用いなくても戦略級以下、全ての大規模攻撃魔法を使える状態になっていることに気付いたのよ」


「…………え?」


「今までは何処に人の目があるか分からなかったから、貴方にも教えていなかったけれど、移動中の列車の中ならば話せるわ。

 私は使い捨ての発動術式を全く必要とせずに、各種戦術級・戦略級軍用攻撃魔法を自分の裁量だけで行使できるようになっていたの」



 しかし、そんな疑問を持っている俺の感情を嘲笑うかのように淡々とした態度でアゼレアは言葉を紡ぐ。ある意味で世界を破滅に導くかもしれない物騒な内容と共に……






 ◇






「それはどういうことだい? アゼレア?」


「言った通りの意味よ。

 私は自分の意思で自由に国家を滅ぼせる大規模攻撃魔法を使えるようになっている……」


「いつから? 原因は?」



 アゼレアから明かされた衝撃の事実に俺は原因を探ろうとする。そして彼女が答えたのはある意味で必然とも言える内容のものだった。



「孝司にこんなこと言うのは気が引けるのだけれど……恐らく、貴方から貰った強壮剤栄養ドリンクを飲んだからだと思うわ」


「アレの所為かぁ……」



 俺は文字通り頭を抱えた。脳裏には栄養ドリンクを手配してくれた、ある意味では妖怪と勘違いしそうな神の姿がぎるが、もはや後の祭りである。



「ええ。

 あの強壮剤を飲んだお陰で以前と比べて格段に魔力が増加して、私の髪や瞳の色が変わっただけなのかと思っていたのだけれどね……

 でも、帝都ベルサで警告と保険を兼ねて反魂魔法の陣を墓地に敷設したことがあったでしょ?

 あのときに自分の魔力に違和感を感じのよ」


「違和感?」


「そう。 もし、シグマ側が反魂魔法陣の敷設に対して頓着せずにこちらへ攻撃を加えた場合、反魂魔法発動の前段階として戦術級に相当しうる通常の攻撃魔法を威嚇として使用するつもりだったのだけれど、その過程で戦術級軍用攻撃魔法が問題なく起動できるか確かめるために起動術式の自己診断を行なったら……」


「発動術式が要らなくなっていることに気付いたと?」



 アゼレアの話を引き継ぐように質問を行う俺に彼女は無言で首肯し、そのまま話を続けた。彼女の顔に浮かぶ表情は真剣にそのものであり、間違っても嘘や勘違いを言っているようには見えない。



「戦術級・戦略級軍用攻撃魔法を使える術者はその魔法が使えるか定期的に自己診断術式を走らせて確認し、その結果の如何に関わらず報告する義務が厳格に定められているの。いつもなら、その自己診断の段階で一回限りの使い捨て発動術式を必要とする独特の違和感を感じ取るのだけれど、その違和感は全く感じられなかったわ。

 その状態は今も同じよ」


「うーむ……アゼレア、それは他の魔導士は君の変化を感じる取ることはできるの?」


「できないわ。 

 実際に目の前で起動術式を発動でもして見せれば別だけれど、平時ではまず感知することはできない筈よ」



 その答えに俺は内心ホッとする。もし、他の軍属魔導士がアゼレアの変化を感知できる場合、アゼレアは本格的にお尋ね者へとなってしまい、バレット大陸に居場所が無くなってしまうことだろう。



「……仮に、だけれどさ? もし仮に……アゼレアがその使い捨ての発動術式無しで戦術級や戦略級攻撃魔法を使えることが本国魔王領にバレた場合、君は一体どうなるの?」


「何もないとは言い切れないけれど、まあ最低でも複数の監視が付く程度かしらね?」


「え? その程度なの?」



 思わず返ってきた答えに俺は拍子抜けしてしまう。

 てっきり、拘束されて即処刑とか幽閉されてしまうのではと思っていたのだが、どうやらそれは杞憂であったらしい。



「もし私の魔力が平均的な上級魔族程度であれば、秘密裏に拘束されて裁判を経ずに即刻処刑されていたかもしれないわ。

 でも、自分で言うのも何だけれど、私の魔力は魔王陛下を含めて全魔族最強。

 加えて以前よりも格段に魔力が増えた上に、イーシア様の手によって貴方と同じようにあらゆる毒・劇物や病原体が効かない体にされた以上、私を殺せるのは貴方が持つ武器かイーシア様だけよ。

 そんな私を魔王領やリーフ大森林連合王国の者達が殺せると思うかしら?」


「いいや」



 確かに今のアゼレアを拘束するのは至難の業だろう。家族を人質に取ろうにも、その家族ひとりひとりが社会的地位が高い高位上級魔族ばかりで、父母は元軍人で魔王領大貴族の筆頭、姉は現役の魔導軍医というどうにもならない者達ばかりである。


 しかも、アゼレアの体は俺同様に悪ノリしたイーシアさんの『せっかくのファンタジー世界に本物の魔王が居ないのは問題じゃのう……』という言葉と共に相当弄られており、毒物や劇物が一切効かず、あらゆる病気や細菌に感染しない体へと作り変えられて骨格や筋力の強度も超重戦車や超大型の建設重機並みに引き上げられているため、生物・化学兵器を用いた攻撃や毒物での暗殺、重量物を使った轢殺や圧殺は事実上不可能となっている。


 もし、アゼレアを殺そうと思えば深い穴を掘って生き埋めにするか、深海に沈めたり、宇宙空間に放出するなど絶対に肺呼吸ができない環境を作り出す必要があるのだが、その状況に追い込むだけでも敵側に甚大な被害が出るのは目に見えている。





――――正に悪役ラスボスの『魔王そのもの』と言っても差し支えない存在へと生まれ変わっていた。





「だから拘束や処刑は行われないという確信はあるわ。

 何たって私が反抗したら魔王領は大損害を受けるのは目に見えているのだから、そうなるよりは私に監視を付けて政治や外交で利用した方が遥かに利口でしょうね。

 私が魔王陛下だったらそうするわ。

 後は……まあ、途轍もなく深い穴を掘って私を埋めるくらいしか思いつかないけれど、取り押さえようとする警官や将兵達に甚大な被害が出ることを考えれば……これも現実的ではないわね」


「ううむ……」



 『魔王を超える事実上の魔王』という最早意味が分からない話に俺は何と言葉を掛けて良いのか迷ってしまう。だが、アゼレアはそんな俺の心情などお構いなしに話を続けた。



「ちょっと話が逸れてしまったけれど、使い捨ての発動術式があるかないかに関わらず、人間種の軍隊であれば一部の例外を除いて最低でも数十人または数百人で運用する大規模攻撃魔法を個人で行使できる者が何十人も軍に所属しているとなれば、まともな人間種国家は必ず警戒するものよ。

 私が逆の立場でも同じように友好は続けても警戒は怠らないわ。 絶対に」


「まあ、だからこそ魔族や長耳エルフ族の国家はこちらがどんなに友好的であったとしても、人間種の国家からは潜在的な危機感を持たれているのだけれどね……」とアゼレアは流れて行く車窓の景色を眺めながら、どこか諦めた感じで呟いていた。






 ◇






「ふう……」



 思わず自分の口から溜息が漏れる。ここはシグマ大帝国の第2都市[メンデル]に向かう高速旅客列車『リンドブルム四号』の4両で編成されている一等客車専用の『食堂車』の車内で、俺はその中に設けられている幾つかのテーブル席のひとつに座って流れて行く景色をぼーっと眺めていた。


 因みにこの高速旅客列車『リンドブルム四号』は先頭が高速機関車で2両目が補助動力車、3両目が荷物車、4両目が緩急車、5両から8両目が一等客車、9両目が一等客室用食堂車、10両目から16両目までが二等客車で最後尾が車掌車という内訳で列車が編成されている。


 総勢17両に及ぶ列車の先頭となる機関車のサイズはかなり大型で、日本のSLと比べて巨大で迫力がある。シグマ大帝国鉄道省に強い影響力を持つ元日本人転生者である斎藤さんことゾロトン勅撰議員のお陰で、列車が始発駅のホームに入線する前の段階――――操車場での点検整備中、こっそりと客車へ乗り込む際に見た高速機関車の外観はイギリスの高速機関車『マラード』と、当時南満州鉄道で運行されていたという『パシナ』と呼ばれる高速機関車を足して2で割ったような感じで、かなり独特な形状だった。


 ただ、高速旅客列車という割にはスピードはそこまで出ていない。ゾロトン議員曰く、最高速度は時速130km前後は出るらしいのだが、今は体感的に時速100km程しか出ていないような気がする。


 しかしそれも仕方がないことだろう。車体に使用されているの金属は例外なく全て鋼鉄であるため機関車だけではなく客車の車体もかなり重いらしく、補助動力車を連結しているとはいえ、計17両にも及ぶ車両を引っ張って走行しているのだから、カタログスペックの速度を出せないのも致し方ないことなのかもしれない。


 日本の鉄道と違い、ロシアのシベリア鉄道と同じように線路の軌間が広軌なため機関車の車幅も広く、客車の中もかなりゆったりとした作りでスペースにゆとりがある。自分が今席に座っている食堂車もJR九州などで運行されている観光列車を体験したことがある者にとっては、かなり広く感じる空間だと思う。


 事実、今は食事時ではないため一等客車を利用している乗客達が景色を楽しむために思い思いの席に座ってくつろいでいるが、設置されているテーブルの幅はフランス料理のフルコースを一度に4人で楽しんでもまだ沢山の食器が置けるほどに大きい。


 そして俺はその広い食堂車の席に座って外の景色を眺めているのだが、見えるのは広大な田園の風景である。軍事大国であると同時に農業大国でもあるシグマ大帝国らしく、帝都ベルサの市街地を抜けてからというもの、見えるのは地平線まで続く広大で長閑な田園地帯だ。


 時折、農家と思われる人々の住宅が密集した地域が見えるのを除けば、ファンタジー物語にありがちな魔物や魔獣と呼ばれるモンスターの姿は全く見えない。空に目を向けて見ても、視界に入るのは地球に居てもおかしくないような模様を持つサイズの異なる鳥達だけで、龍や巨鳥と言った類の空想上の動物や背中に翼が生えた人間の姿などは全く見当たらない。



(この景色を見ていると、何だか某テレビ局が放送している列車の車窓番組の風景と言われても分からないな……)



 唯一違うのは、時折見える乗り物が自動車ではなく荷馬車という点だが、それも地球のヨーロッパの田舎では時折荷馬車が使われていたりするので、見えている景色にさほど違和感は無い。



「こんにちは」


「え? あ、はい。 こんにちは」



 突然掛けられた挨拶に内心驚きつつも、声がした方向に顔を向けると、そこにいたのは黒い修道服を着込んだ妙齢の女性だった。



「ここ、座ってもよろしいでしょうか?」


「え? ……ええ、はい。 どうぞ……」



 突然、見知らぬ女性に声を掛けられて慌てていた俺は反射的に席を勧めてしまう。俺が二つ返事で了承したことに修道服を着ている女性は嬉しそうに笑顔を浮かべると、そのまま静かに着席する。



「…………………………」


「…………………………」



 女性がテーブルを挟んで向かいの席に座って数分間、俺と彼女の間に沈黙が漂っていたが、その間も女性はニコニコと笑顔を浮かべ目を細めたまま俺と同じように流れて行く景色を眺めている。俺は魔族であるアゼレアには劣るものの、かなり美しい女性が向かいに座っていることに緊張して周囲の乗客達の話し声が聞こえなくなり、耳に入ってくるのは線路を走る列車の走行音だけになっていた。



(凄え緊張する……)



 これが現代日本であればスマートフォンを取り出してネットニュースを読んだり、ゲームに没頭できるものだが、この世界にではそうもいかず、俺は女性と目を合わせないように車窓を流れて行く景色を目で追っていた。



「お一人で列車に乗られているのですか?」


「あー、いえ。

 連れと一緒に乗っているんですが……今はちょっとだけ、こっちの車両に来ています」


「そうなのですか」



 果たして沈黙を破ったのは彼女のほうだった。女性はテーブルの上に置いた手を組んだままの姿勢でこちらに向き直り、改めてといった感じで俺に声を掛けてきたのである。声を掛けられたときは驚いたが、話しかけてくる彼女の声を聞いていると、不思議と緊張が解けて気付いたときにはこちらから女性へ話し掛けていた。



「そちらはお一人で?」


「いいえ。 私も連れが一緒ですわ」


「そうなんですね」



 この会話の部分だけ聞いていると、俺が彼女をナンパしてそれに失敗したかのように感じてしまうが、お互いに連れがいるので問題ないだろう。



「……何か、お悩みになっていることでもあるのですか?」


「え?」



 10秒ほど俺の顔をジーッと見つめていた女性は、先程のニコニコとした面持ちから一転して真剣な表情でこちらに問い掛ける。まさか初対面の女性に「悩みごとがありますか?」と聞かれるとは思わなかったので、つい間抜けな返事をしてしまった。



「突然、失礼しました。

 あなたの顔に『何かに悩んでいる』という感情が現れているように感じられましたので」


「まあ、悩んでいるかと言われればその通りなんですが……」


「良ければお話しくださいませんか? 見ての通り、私は聖職の道を歩んでいる者ですので、悩みをお聞きすることで貴方様のお心を軽くして差し上げたり、良き道へ進むための光を灯せるかもしれません」


「えっとぉ……失礼ですが、貴女は?」



 そっと目を閉じ、十字に円環を重ねた金色の聖印が乗っかっているように見える、かなり膨よかな胸の前で祈るように手を組む名前も分からない修道服の女性に対して俺は誰なのかと尋ねる。いくら聖職者であったとしても初対面の女性に悩みを話せるわけがなく、しかもお互いに自己紹介さえ済んでい上に、この女性が本当に聖職者なのか未だ分からない状態なのだから、彼女に素性を尋ねても失礼には当たらないだろう。

 …………だよね?



「申し遅れました。 私は[聖エルフィス教会]において監察司祭の職を務めさせていただいている『ベアトリーチェ・ドゥ・ガルディアン』と申します」


「自分……ああいや、私は『孝司 榎本』と言います。

 ギルドでしがない冒険者をやっていますです」



 俺に聞かれて初めて気付いたように自己紹介をする女性に対し、俺も自己紹介を行う。まさか、女性が修道女ではなく司祭だとは思わなかったが、それ以上に気になったのが彼女――――ベアトリーチェさんが口にした『聖エルフィス教会』という名前である。



(『聖エルフィス教会』か……)



 この世界に来てからというものの、通り魔に襲われたり、アゼレアを助けたりなどで宗教の存在まで頭が回らなかったが、名前を聞いているだけだとそこまで怪しい雰囲気は感じられない。これで『真理』とか『天理』などという文言が入っていれば、怪しさ満載の宗教だと判断して俺は直ぐに席を立っていただろう。


 しかしながら名前だけだと、どこぞの病院のような名前に安心した俺は自己紹介を行った。互いに身分証を提示したわけではないが、パッと見で目の前の女性が嘘を言っているようには思えない。



「まあ、エノモトさんは冒険者だったのですか?

 てっきり何処かの商社か記者の方かと思っていましたわ」


「あー……時々言われます。 自分でも冒険者っぽくないなって思いますよ」


「そんなことはないですよ。

 厳つい装備や雰囲気で常に周りの人々を怖がらせている冒険者の方々と違って、とても好感が持てます」


「ははっ。 どうも……」



 胸の前で祈るように組んでいた手を解き、まるで大好きなものを見つけた少女のように手を合わせて驚きつつも明るい笑顔を浮かべるベアトリーチェさんの表情に俺は面映ゆい感じになって、照れ隠しで後頭部を右手でボリボリと掻く仕草をする。


 初対面とはいえ、美人から「好感が持てます」と言われて嫌な男はいないだろう。修道服を着ているため髪の毛の殆どが隠れてしまっているが、額から僅かに覗く輝くような金髪に透き通るような青い瞳と健康的で白磁のような白い肌に、彫りが深くもどこかおっとりとした雰囲気の美女――――それも修道服を押し上げ、聖印が乗っかってしまうくらいに胸が大きいとくれば、まともな男はそれだけで虜になってしまうだろう。



(俺、アゼレアと付き合えて良かった……)



 もしアゼレアと出会わず、ベアトリーチェさんが女詐欺師だったら完全に堕とされていただろう。それくらいに彼女が見せた笑顔は破壊力を持っていた。駄目押しに胸がユサッと揺れてしまうオマケ付きで……



(よく見たら、周りの野郎どもの視線がこっちに集中してる……)



 露骨に顔を向けてくる者はいないが、それでもチラチラと横目で視線を向けている背広スーツを着込んだ紳士達がベアトリーチェさんに注目しているのは嫌でもわかった。中には新聞を読む振りをして彼女を見ている者や、悔しいのか露骨に咳払いをする奴もいる。



(これ、アゼレアがここへ食事をしに来たら大変なことになるぞ……)



 ベアトリーチェさんほどではないにしても、アゼレアも結構胸が大きく、何より神であるイーシアさんに匹敵するほどの絶世の美女なのだ。背がかなり高いことと、今は軍服を着ているために独特の雰囲気と威圧感が勝ってしまっているが、仮にドレスを着てバッチリ化粧を決めれば吸血族と淫魔族の混血である彼女のことだ、人間では不可能な魔族が持つあの妖しい美しさを見ただけでイッてしまう男が続出すること間違いなしである。



「もしかしてお悩みになっているのは、お連れ様のことではないですか?」


「よく分かりますね。 って、当然か。

 沢山の迷える人々の悩みを聞いてきた司祭さんなら、それくらい当てられて当然ですよね」



 やはり自分の口で司祭と言っていたのは伊達ではないのだろう。俺が阿呆なことを考えている間にそれまでの経験で導き出した結果を告げるベアトリーチェさんの顔には自信が満ち溢れており、その表情はこれまで培って来た経験と知識に裏打ちされた者にしか出せない独特なものであった。



「お連れの方も冒険者の職に就いているのですか?」


「ああいや、違うんですが……すいません。 

 ちょっと、もう戻らないと……」



 ベアトリーチェさんの質問がアゼレアに及びそうになったので俺は強制的に会話を断ち切って席を立つ。彼女には申し訳ないが、これ以上会話を続けるとベテラン警察官の職質にあった一般人のように余計な事をベラベラとゲロしかねないのでここは退散するのに限る。



「そうなのですね。 引き留めてしまい、申し訳ありませんでした」


「いえ、大丈夫です。 それでは」


「御機嫌よう」



 申し訳ない表情で去っていく俺をベアトリーチェさんは着席したまま、軽く手を振って笑顔で見送っていた。






 ◆






「突っ込んだお話はできませんでしたか。 仕方がないですわね……」



 席に座ったまま、ベアトリーチェはこちらに背を向けて去っていく男――――『タカシエノモト』と名乗った冒険者の後ろ姿を見送りつつも、誰にも聞こえない音量でポツリと声を漏らしつつ彼について思考する。



(彼は一体何者でしょうか?)



 冒険者と名乗っていたが、身分証を確認したわけではないので素性は一切不明だ。彼の体格や服装は新人冒険者のそれと比べても全く冒険者っぽくないし、仕草や口調もどちらかというと企業の社員や記者を思わせるものだった。


 だがそれもあくまで彼の外見や態度だけである。普通の一般人であれば、彼のことを『良い人』と思い、よほど親しい間柄でなければ数時間後にはその記憶を忘れてしまうことだろうが、監察司祭であり、魔導の道を進むベアトリーチェの目は誤魔化せない。


 本人が聖職者特有の神聖魔法を使えるということもあるが、やはり『魔力波制御魔法』を習得している面が大きく、彼女の目にはタカシエノモトなる男性の体に恐怖を覚えるほど強大な魔力波の片鱗が纏わり付いているのがハッキリと“視えた”のである。



(あの魔力波は一体何でしょうか?)



 最近は船舶技術も向上したお陰で他大陸からバレット大陸へ渡海してくる者、そしてその逆も多い。また、転移魔法がそれなりに普及して来た影響で今まで見たことがなかった人種や種族を目にする機会も多くなってきており、彼の見た目や雰囲気はそれほど重要ではないが、あの魔力波の片鱗だけは異常だ。


 しかも、その魔力波が彼自身から出ているのではなく“纏わり付いている”のである。

 まるで誰かが彼を「自分のものだ」と主張せんばかりに……



(少し調べてみる必要がありますわね)



 列車という閉鎖空間の関係上直ぐに詳細な調査結果を入手できる訳ではないが、少なくとも同乗者が一体誰なのかという疑問点だけでも解消しておきたいとベアトリーチェは考えていた。



(この列車にも鉄道公安隊所属の魔導士やギルド所属の民間魔導師が少なからず乗車している筈ですが、彼らが騒いでいる様子がないところを見ると、相手は魔力波制御魔法を習得している手練れの魔法使い……それもかなりの魔力と魔法技術を持つ軍属魔導士の可能性が高そうですわ)





 魔力波制御魔法は言ってみれば魔法の基礎――――土台のひとつとも言える魔法のことである。





 魔法を発動し具現化するには魔力だけではなく、術者本人の技術も必要であるが、それ以外にも魔法を発動させるための魔術的な刺激を与えることが必要なのである。自動車で言えば魔力波はバッテリーで、魔力量は燃料タンクに入っているガソリンのような存在であり、車の運転者は普段ガソリンの残量は気にしていても、バッテリーの電力がキチンと足りていて、エンジンがちゃんと掛かるのかということを余り意識していないのと同じだ。


 現代のガソリン自動車はイグニッションキーを回せば一発でエンジンが掛かるのが当たり前であり、運転者が車を走行させる時に最初に見るのはガソリンタンクのメーターであってバッテリーの電力量ではないし、そもそもバッテリーに内包されている電気の残量を知らせるメーターは標準装備されていない。なぜなら、自動車にとってバッテリーの存在は重要であっても運転者にとって重要なのはガソリンの残量――――ここで言えば魔力量なのである。


 だからこそ『魔力波』は魔力そのものと違い、術者である魔法使いにとって最初から存在していて当たり前であって、普段は気にしてすらいない代物ものなのだ。だが、バッテリーの電力量が減ってくるとガソリンに爆発的燃焼を促すプラグの点火効率が落ちてエンジンの掛かり具合が悪くなり、最終的にガソリンが満タンでも電力量が一定値を下回ってしまうとエンジンスタートができなくなってしまうのと同じように、自然現象を含めて魔力波の状態が乱れてしまうと最悪、魔法そのものが発動できなくなってしまうのである。


 こういった魔力波の乱れを抑えてスムーズに魔法を発動させたり、少ない魔力で発動させた魔法の威力を増大させる目的で生み出されたのが『魔力波制御魔法』なのである。だが、先にも述べたように魔力波は魔法使いにとって存在していて当たり前であるというのが常識であるため、進んで魔力波制御魔法を習得しようとする者は一部の魔法研究者を除いて殆どいないのが現状だ。


 大半の魔法使い達は研究者でもない限り、魔力波制御魔法のような難しい論理と術式の習得を終える間に一つでも多くの魔法術式を会得し、大成したいと思うのが普通の考えであり、運転者が車に乗る度にバッテリーを買ったり交換したりせず、自分の好みや用途に合わせて一から作るようなことをしないのと同じなのである。


 だからこそベアトリーチェは気になるのだ。

 強大な魔力量を他の魔法使い達に知られることなく、澄ました顔で列車という狭い空間に乗っていられる軍属魔導士の存在を……



(もし私が魔力波制御魔法を習得していなかったら、彼やその連れの方の存在さえ気付けなかったことでしょう……)



 魔力波そのものが存在していて当たり前であるため、大抵の魔法使い達は魔力波の乱れを人為的なものではなく自然現象と誤って捉えらていることが多く、仮に魔力波制御魔法を習得していない魔法使いで魔力波の乱れを直感的に感じ取ってその原因を詳細に分析できる者がいた場合、それは長い時を生きてきた経験豊富な大賢者級の魔法使いくらいなものである。


 だからこそベアトリーチェはあのエノモトと名乗った冒険者と一緒にいるであろう魔導士の存在が気になるのだ。他にも個人的興味以外にここ十数年以上、バレット大陸内外に名前が轟くほどの腕を持つ軍属魔導士の出現が確認されていないという理由も多分にある。



「ベアトリーチェ様。 ここにいらっしゃったのですか?

 お部屋にいませんでしたので、あちこち探しましたよ」



 先程から席に座ったまま、感じた魔力波の持ち主である魔導士の存在が気になり思考の海に潜っていたベアトリーチェは、自身を呼ぶ声に反応して意識が急速に水面へと浮上する。声がした方向に目を向けると、そこには直属の部下がこちらを心配そうに見つめていた。



「あら、カルロッタ? ごめんさい。

 ちょっと、列車の中を色々探検したら疲れてしまって、ここで休憩していましたわ」


「そうなのですか。

 ……今の男性はベアトリーチェ様のお知り合いですか?」



 こちらから視線を外してひとりの男性の背を追うカルロッタ。見れば、先程知り合った冒険者エノモトは食堂車の扉を閉めて隣の一等客車に入って行こうとしているところだった。



「ええ。 ついさっき知り合って席をご一緒したのよ。

 それでカルロッタ、報告を聞かせてもらえるかしら?」


「はい。

 ただ此処では何ですので、客室でご説明してもよろしいでしょうか?」


「ええ。 大丈夫よ。 それでは部屋に戻りましょうか」



 ベアトリーチェの問いに対してカルロッタは軽く周囲を見回しながら口を寄せ、上司に小声で耳打ちする。確かに彼女の言う通り、有象無象の乗客達が座っているここで話して良いような内容ではないため、ベアトリーチェは部下に促されつつ席を立って食堂車を後にし、カルロッタもそれに続くようにして去って行った。






 ◆






 所変わってここは四両ある一等客車の内のひとつ、一等客車三号車内にいくつかある客室のひとつである。ベアトリーチェとカルロッタは室内に入ると扉の鍵を施錠し、大きな旅行鞄の中から不思議な模様が描かれている石を二つ取り出し、お互いにそれぞれ一つずつ持って席に座る。



「では、判ったことを教えてください」


「はっ。

 ガーランド保安官がこの列車に乗り込んでいる理由ですが、どうやら要人警護の任務のようです」


「要人警護?」



 部下からの報告にベアトリーチェは一瞬だけ怪訝な表情を見せ、直ぐに元の顔に戻る。てっきり『猟犬』は誰かを追い掛けるために列車に乗車していると思っていたが、『暴風』という別の二つ名を持つことで有名な暴力保安官が繊細さを要求される要人警護の任に就いていたとは、ある意味予想外であった。



「車掌を買収して聞き出したところ、この国の隣国……『ウィルティア大公国』の公族王族が秘密裏に乗車しているとのことであります」


「ウィルティア大公国の公族……?」



 いつものおっとりとした口調は一体何処に行ったのやら、今のベアトリーチェは真剣な表情でカルロッタの報告を聞いる。カルロッタから『要人警護』と聞いて最初はシグマ大帝国の皇族王族や大臣、大物議員などを護衛しているものと思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。


 まさかこの国の隣国である『ウィルティア大公国』とは思わなかったが、考えてみれば彼の国の成り立ちはシグマ大帝国の存在が大きく関わっているため、大公国の王族が秘密裏に乗車していてもおかしくは無い。まさか自分達がその列車に偶然にも乗り合わせてしまうとは予想だにしなかったが……



「はい。 公族の誰が乗車しているのかは極秘らしく一切不明ですが、少なくとも公王自身や公妃が乗車している可能性は低いかと」

 

「そうでしょうね。

 公王や公妃や公弟王弟夫妻のいずれかであれば、この国への入国情報が嫌でも私達の耳に入るでしょう。

 それに第一、公王夫妻や公弟夫妻が御忍びでシグマ大帝国の高速旅客列車に乗る理由がありません」



 となるとこの列車に乗っているウィルティアの公族が誰なのかという答えは、自ずと限られてくる。



「…………公子王子公女王女のどちらかが乗車している可能性が高いですね」


「私も同意見であります」



 シグマ大帝国とウィルティア大公国は友好国であり、互いに軍事同盟を結んでいる。隣国、それも国境を接しているとなれば、領土や国境に関わる国際紛争又はその火種を抱えていても不思議ではないが、この二カ国にとってそういった問題は殆どない。


 そのため普通であれば軍事同盟まで結んでいる隣国とはいえ、王族が訪ねてくるという事態になると、式典やら受け入れの準備などで相応の騒ぎが生じるものであり、そういった面倒を嫌って御忍びで王族が入国するという状況はままある。


 だが、シグマの皇族とウィルティアの公族に限って見てみれば、普段から皇帝と公王がとても親しく、頻繁に互いの国を往き来していることが最早公然の秘密と化しているため、今更ウィルティアの公王夫妻が御忍びでシグマの列車に乗る理由がないのだ。


 となると公王夫妻以外の公族――――つまり、公王夫妻又は公弟夫妻の子供達の誰かが何らかの理由で秘密裏に入国し、御忍びで列車に乗車している可能性が最も高くなってくる。

 だが…………



「これ以上詮索してもガーランド保安官や鉄道公安官達に目を付けられてしまうだけでしょうから、ウィルティアの王族についてはここまでにしておきましょう」


「はっ。 畏まりました」



 本音を言えば教皇領にもたらされる国益の為にも乗車しているであろうウィルティアの公族の正体や入国した目的を知りたいところではあるが、走行中の列車の中という状況下では情報を集める手段は限られてくる。何よりあの『猟犬のガーランド』が同じ列車に乗っているのだ。


 これ以上、下手に動いて車掌や乗務員達を通じてこちらの動きが勘付かれると、痛くもない腹を探られて困るのはこちら側である。そこでベアトリーチェは新たな動きがない以上はウィルティア公族の件を調べるのは一時中止することにして、もう一つ気になっている件を調べることにした。



「ねえ、カルロッタ。

 申し訳ないのだけれど、ウィルティアの公族達とは別にもう一つ調べて欲しいことがあるの」


「何でしょうか?」


「実はね……」


(ああ、これは碌な事にならないぞ……)



 ベアトリーチェは新しい玩具オモチャを見つけた子供のようなワクワクした表情で自分の部下に次の指示を下すが、その表情を見たカルロッタ部下は生真面目な顔のまま、内心ウンザリしていた。この顔を見せたときは大抵碌な事にならないのだというのをこれまでの経験から知っているからだが、もう一つ別の理由もある。



(こういうときの私の予感って良く当たるんだよなぁ……)



 自分の中で湧き起こった嫌な予感が悉く当たってしまうことだった。

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