そこにあるもの  ―解決編―

「クサいって言ってたのは、この事件ヤマのことじゃなくて本当に臭かったんですよ」


 ティッシュを取り出し、靴底をぬぐっていると有田が声を掛けてくる。


がついてるって言うのも、お得意のダジャレだったんじゃないですかぁ?」

「あぁやっぱり。ここに犬のフンがありますよ。これをくぐった時に、踏んだんですよ。フンを踏んだ、って藤崎さん言いそう」


 黄色い規制線のあたりにしゃがんでいた有田が、笑顔で指をさしながら言う。

「ほら、いつも現場に入るときは右足からってげんを担いでいたから、その時ですよ、きっと」


 歩いていたときの違和感は、靴底にフンがついていたからか。

 一人で納得していると、嬉しそうに有田が言った。








「実は最初から分かっていたんです。だって今回のタイトル、『そこ(底)にあるもの』でしょ?」




・初出 2018年1月

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