第7話 あの子の正体

 速い。

 そして便利である。


 しかし、少し気になる点がある。

 先ほど使ったつかったスキルは【人体作成】のはずなのに何故馬が作れるのか...


『熟練度の問題でしょう。』

「あ、やっぱり?」


 ていうかシステム君って俺の思考読めるのか。


 それはさておき、思ったより早く街の城壁が見えてきた。

 馬はこのままで平気なのだろうか?


『私のコピーをおけば問題ないでしょう。私自身はマスターから離れられませんので』

「なんか矛盾してないか?」

『きのせいでしょう』


 幸いでかい門には人が全く並んでいなかった。


 そしてシステム君がスピードを落とし、徒歩と同じような速度にする。


「まるで牛歩だな」

『そうですね。それと著作権的にまずいのでは』

「おお、メタいメタい」


 並ぶ手間もなく馬を降り、門番のおっちゃんと思しき人物に話しかける。


「なぁ、街に入りたいんだが盗賊に荷物を全て取られてしまってな。

どうしたらいい」

「ああ、仮登録証を作る。犯罪暦の確認をするからこちらに来てくれ。」


 詰め所のような場所に連れて行かれ、犯罪暦確認用と思しき道具に触らせられる。


 しかし、この道具、水晶のような球体である必要はあるのだろうか?

 恐らくはロマン?あ、これ台が処理装置になってるのか?


 そうこう考えてるうちにおっちゃんがカードのような物を持ってくる。


「そいつの効力は一杯明日までだ。それ以降に街の中にいると衛兵に捕まるから覚えておけ」

「わかった。感謝する。」


 案外簡単に街に入れた。


「そういえば馬はどこに預ければいい?」

「宿がまだならすぐそこの兵舎でしばらくは預かろう。」

「頼む」


 馬を引き渡す。

 冒険者ギルドへ急ごう。

 俺はそそくさと歩き出した。


「さて、冒険者ギルドはどこかね」

『案内しましょう』


 システム君の案内の下冒険者ギルドへと辿り着くことができた。

 威圧感のある扉をあけ、中に入っていく。


 いくつかの値踏みするかのような視線を感じる。

 しかしどうでもない素人だと思われたようで、目をそらす。

 だが何故だ、ステータスは世界最高峰なのに


『武人には武人特有の歩き方があります。マスターはそれをしていないのでたいしたことないと思われたのでしょう』


 なるほどなぁ。

 受付嬢に話しかける。


「冒険者カードを作りたいんだが」

「それではこちらの板に手を載せてください。」


 無骨な板を差し出され、俺はその上にてを乗せる。


「冒険者カードの完成です。説明は必要ですか?」

「いえ、(システム君が教えてくれるから)不要です。」

「はい、ではよい冒険者ライフを」


 冒険者カードを受け取る。

 さて、身分証を作るという第一目標を達成したので次は何をしよう


『そんなことよりマスター。日暮れですので宿を探した方がいいかと』


 それもそうか。俺はつかつか歩き、冒険者ギルドを出る。


「だが無一文だ。そして何も食べてないくせにおなかすかない。どういうことだ」

『マスターの歪みが原因でしょう。』

「んじゃあロリ神様の所にでも行きますかね」


 そうしてペンダントを取り出し、握る。


「...なぁ、これどうやって使うんだ?」

『【発動アクティベート】と唱えていただけば』

「【発動アクティベート】」

『早いです』


 前の空間が裂け、あの神社が見える。

 進めばいいのかな。その亀裂に入っていく。


「ロリ神様?」

「うにゅ...うにゅ...すぴー...」

「完全に寝てるなこりゃ」


 かなりかわいい寝顔を晒しているロリ神様。

 いたずらをしたい欲求に駆られるがここは起こそう。


 俺はロリ神様の肩を勢いよく掴み、


「わっ!」

「ん、ぴぃぃえぇぇぇ...!?」

「おはよう」


 予想以上の反応をしてくれるロリ神様。

 正直楽しい。


「なんじゃお主かびびらせおって...」


 涙目でにらめつけてくるロリ神様。

 正直かわいい。


「実は宿がなくてな。」

「泊まって行けばよかろ。」

「ありがたや...」

「あ、そうじゃ、お主に授け忘れておったものがあったの。頭を出すのじゃ」

「そりゃ元からでてますけど?」

「ええい!届かんのじゃ!屈めお主!」


(あ、かわいい)

 と思いつつも屈む俺。こんなにかわいいからね逆らえるはずもない。


「よしこれで」


 少し拗ね気味で俺の頭をなでるロリ神様。

 正直かわいい。


『称号、【管理神の加護】を入手』

『それに伴い、スキル、職業、【処刑人エクスキューショナー】を獲得』

『管理神から称号、【武術を極めし者】を与えられました。』



「なるほど管理神だったわけか」

「むふふ。もっと敬うのじゃ。」

「ははー(棒)」

「むむむ...まあいい、加護を確認してみるといい」

「ステータス」

――――――――

名前:近衛 快兎

種族:不詳

職業:ヒーラー

職業Lv.999

NextEXP:―

MaxEXP:―

TotalExp:0


デフォルトLv.12

NextEXP:7557

MaxEXP:7575

TotalExp:10099


HP:504,833,815

MP:2,529,222,470

攻撃力:26,277,636

防御力:107,131,900

素早さ:43,964,506

魔法力:262,776,360

魔法防御力:161,203,190

精神力:225,886,602


スキル

回復魔法Lv.999

支援魔法Lv.999

防衛魔法Lv.999

身体強化魔法Lv.999

転職ExLv.―

処刑人Lv.― ▲

―使用可能―

処刑人エクスキューショナー:熟練度999(MAX) ▲

効果:断罪者に相応しき姿へと体を変化させる。一部スキルが開放される。

消費MP:1(―)

備考:いくつかの形態がある。デメリットはないが、管理神が処刑人の目を通し処刑すべきだと認めた相手がいない限り使えない。処刑対象が死ぬ及び追撃範囲外まで逃走するまで解除することはできない。

――――――


称号

転移者

極めし者

回復の極意

支援の極意

防衛の極意

支援職の極意

歪みを体現せし者

世界の頂点

限界を超えし者

管理神の加護

武術を極めし者


サブ職業:虚無魔道士Lv.1

    :処刑人Lv.999


――――――――


「おー、インフレが止まらない。」

「ここまでとは予想外じゃのう。」

「で?処刑人なんてのを授けたからにはそれ相応の事情があるんだろう?」


 ロリ神様は至って真剣な顔で言う。


「うむ。実はな、歪みの正体を調べたところ、新しく発生した神の仕業のようじゃ。

あやつ、元は魔王なのじゃが、実はこの世界に強い恨みを持っていてな、その魔王軍の幹部、主要の魔物たちも同じのようでな、全世界を焦土と化す可能性がある。

ぽっと出のお主じゃが利用させてもらうことにした。この魔王軍を滅ぼせ。」

「つまり俺が勇者になれと?」

「いや、もとより勇者は存在しておる。もちろん聖女、大魔道士も。

じゃから、お主には勇者に同行し、魔王軍を滅ぼす手助けをしてやって欲しい。」

「俺の役割はなさそうに見えるが?」

「勇者は未熟、全スキルを使いどう足掻いたところでお主の足元にも及ばぬ程に。そして、彼らにわしの声を届けてやって欲しい。」

「聖女とかが神様の声を聞くのがテンプレではないのか?」

「いいや、正確にはわしの声を聞き、勇者や国、民に届けるのは王妃、聖女ではないのじゃ。」

「だとするなら俺の立場は神の使い?」

「そうなるの。」

「まぁ、いいでしょ。やろう。勇者がクズじゃなければ俺もやる気は出るでしょ。」


 どうやら俺は世界を救ってしまうことになったようだ。

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