#25返詩

――和歌うたには和歌うたを、うたにはうたを。




私は死んでも惨めで在りたくはないんだ。

本当は優しくなりたいだけだった。

破滅願望は歌いたくなかったんだよ。

「死にたい」と素の私が言うのは赦せなかった。

私の最後の矜持だろうか。


君は私に――否、誰にも優しい。

私を生かそうとしてくれることも。

天ノ邪鬼。

君のために光を見たら。

――生きたら私は私でなくなってしまうよ。


大丈夫、大丈夫。

今年の桜は見ることができそうだから。

それまでは生きていられると思うから。

君にこの詩を綴る半刻をあげる。

葉桜の頃、私は死んで新世界に生きているかも。


希死念慮が鈍く光る。

空に瞬くこの世界で月色に夕方を踏みつけよう。

私が昏い夜の熱に浮かされて言ったこと、

君は全て覚えているのかもしれない。

薬も多量なら単なる毒だと解っているだろうに。


――まして私の言葉は元から猛毒だった。

君が侵されそうで怖い。

私は君の月ですか。

夜を照らしてはあげられたろうか。

或いは狂気の象徴だったろうか――蝕に遭って。

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