手に負えない仕掛け箱 (仮)

八幡西県研究室

暗闇に咲く美しい花

 「再会を願って贈る花」というコンセプトで作られた骨壺。


 象牙色の筒状の陶器。大きさは六寸。


 蓋が閉まっているときだけ骨の者が好きな花が壺の中で美しく咲くという。


 しかし骨が見守る暗闇で咲く美しい花を誰が証明できようか。


 好奇心旺盛な男が祖父の骨を入れた骨壺の中を勝手に覗いた。


 中には入れた覚えのない枯れた花が入っていた。


 蓋を開けたとき、酸味の強い香りを嗅いだ男は、のちに森の奥の花畑で謎の死を遂げた。

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