【完結】呪われてしまったけど。

伴瀬リカコ

第1章 シルヴィオ

第1話 俺の現実世界~隣の席は若くて可愛い女の子~

 今、あなたは現実世界で絶望を感じていますか?


 もし、そんな時に、お香が目の前に合ったら、いてはいけません。


 稀にですが、絶望をエネルギー源とし、異世界へ連れて行ってくれる呪いのお香があるのです。


 異世界に行けたら、現実世界とは異なる体験をし、幸せな日々を送れるかもしれません。


 でも、使い続けると、

 

 




 一昨日も昨日も今日も変わらない日々。


 それは明日も明後日もしあさっても変わらない。


「おい!鈴木!今日はなんの日か知ってるのか!!!


 図面の提出日だぞ。なんで図面が上がって来ていないんだ?!」


 村田ハゲ課長は今日も相変わらず元気だ。ヘドが出る。


「今、必死に工場と調整中の箇所があるんです。今日中には上げさせますんで。」


「俺の話を聞いているのか?!だから提出期限は今日だっていってるだろうか。


 ちゃんと物考えて喋ってるか?あ?


 エンジニアが提出期限を守らなければ、会社にどれぐらいの損害を与えるか分かってるのか!?」


 知ってるから今必死に工場長と調整してたんだって。


 お前とこんな話ししている暇なんて無いんだよ。


 毎日毎日、怒鳴るだけがお前の仕事なのか?



 小さい犬ほどよく吠えるというが、器の小さい上司ほど本当によく吠える。

もう勘弁してほしいよ。まったく。


 席に着くと、後ろの席の風祭が声をかけて来た。


「鈴木さん、また何かやらかしたんですか?


 村田課長がうるさくて周りの課にまで迷惑だって、そろそろ気づいてくださいよ。」


 いちいち嫌味を言ってくる、ムカツク年下社員だ。


 俺の方が10才も年上なのに、俺が派遣社員だからと、上から目線な態度だ。


 若造のくせに。


 さらにこいつがムカつくのは、かなりのイケメンで何もしなくても女子が寄ってくるところだ。


 エンジニアのフロアには女性が少ないが、昼休みになると、どこから湧いてくるのか不思議なほど、こいつのところには若い女子がやってきて、黄色い声を発していく。


 35歳の俺には35年間そんな経験は一度も来た事がないが、彼には毎日やってくる。


 神さま、あまりに不公平じゃないですか!!!!



 ハゲ課長の怒鳴り声。モテ無いおっさんの僻み。


 これが俺の毎日だ。うんざりだ。



 でも、この日は少しいつもと違った。


「あー、忙しいところ申し訳ないんだが、みんな、ちょっと集まってくれ。」


 村田ハゲ課長が突然課員を集めた。


 さっきの怒鳴り声とは別人かと思えるくらい、朗らかな口調だ。


小鳥遊たかなしさんがうちの課にアシスタントとして来てくれることになった。


 図面の整理、出張調整などの業務は小鳥遊さんにまかせて、みんなは図面を描くことに集中してほしい。


 では小鳥遊さん挨拶をお願いします。」


「えっと、こんにちは。入社2年目の小鳥遊です。


 えっと、同期の風祭さん以外は、皆さん初めましてだと思います。


 えっと、とてもお忙しいと聞いています。


 少しでも皆さんが楽になれるよう、頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。」


 俺は久しぶりに若い女の子をまじかで見た。


 日本人なのに肌が白くて透き通ってる!

 髪の毛がシルクのようにまとまっている!

 とにかく良くわからないけど、キラキラしてる!!!!


「席は鈴木の隣が空いていたな。」


 おおおおおおお、俺の隣?!


「鈴木さん!はじめまして。不束者ですが、どうかよろしくお願いします。」


 笑顔が眩しすぎる!そんなに近くに寄ら無いでくれ!



 その日、俺はなんとか図面を提出した。


 隣の席の小鳥遊さんは、俺にとっては未知の人種でどう接していいか分からない。


 だけど小鳥遊さんがいるだけで、村田ハゲ課長の機嫌が良いし、課の雰囲気が明るくなった。



 不思議な魅力を持った隣の席の小鳥遊さん。


 いつか話せる日が来る事を願う。


 俺の事を好きになってくれとか、興味を持ってくれとまでは言わないから、せめて俺の存在だけでも認識してくれたらと思う。


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まずは1話を読んでいただき、ありがとうございます。


プロットはかなり先まで終わっていて、あとは文章に起こすだけなのですが、なかなか労力が必要ですよね…。


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何卒よろしくお願いします♪


伴瀬 リカコ


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