第8話 I will deliver it to your home,when I repaired.

朱塗りの門。

両脇の大提灯には吉原街の文字が書いてある。

「鉄さん。ホントに大丈夫なのかい?」

「ええ、大門から2間。佐倉屋っていうお店を過ぎて、分かれている道を右に行った所です」

鉄之助一行はは次の日、朝の7時ごろに大門の前に立っていた

「男が吉原に自分から入るなんてぇのは、前例がねぇ。あたしとお珠から離れちゃぁいけねぇよ?」

「ええ。離れやしませんよ。でも、今日はえらく重装備ですねぇ」

お珠と美星の腰には大小が差してあった。

「武器を携帯しなくちゃぁ、ここは守れねぇ。中には男と一発ヤッテ帰ろうって女が山ほどいる。鉄さんはそこいらの格下の大夫より上さ。この中にいる間は頭巾を取ったらイケねぇよ?ばれたら女どもに食いつかれちまうからな」

バ〇オハザードの世界観丸出しでゾンビならぬ女が男を食い散らかすために(主に性的に)寄ってくるというのは寒気がした。

捕まりそうになったら―――戦ってはいけない。先ずは逃げるのが先決である。

「道順はほぼ真っ直ぐまっつぐだ。鉄さん。あたしと美星が横に着く。美星。気合い入れろよ?」

「わぁってらい。オメェも気射抜くんじゃねぇぞ?」

「応よ」

こうして彼らは吉原に足を踏み入れようとしていた。



「ふむ。よし、とおれい」

門番が手形を見て、客であることを確認する。

お付きの頭巾を確認しはしたが、特に詮索はしない。

ここには幕府の娘らも顔を隠して中にはいる。

余計な詮索は自分の身を亡ぼすことをここの門番たちはよく知っているのだ。

「良かったですね。すんなり通れて」

「入りより、出る時が問題さ。入り鉄砲と出男―――っていってね。足抜けしようって言う男衆は少ないが居るにはいるのさ」

「でも、みんな男ならこんなとこになんでいるんでしょうね?」

「地方や子供を多く作りすぎちまった農家なんかは、お上にそうポンポン言えねぇんさ。没落した貴族やら、お上に言えない隠し子やら、男でもそういうのがここには来る」

「男衒が高い金で買い取って、より高い金で、置屋にあづける。年季が開ければ大門を抜けて、親元へ帰るなりする。ただ、ほとんどは体調を壊したりするってよ」

「そりゃあ、客だって、大事に男は扱う。でもねぇ、あそこが起たなくなったりすると、ここじゃあお荷物だ。そういうやつが足抜けをして、たいていはとっ捕まる」

朝の早い時間帯から、女の店員が店の前でお客を引いている様は少し前の新宿歌舞伎町ににているなと鉄之介は考えていた。

「とっ捕まったら最後、仕置き部屋に入れられて―――女にお仕置きされる。もちろん女は犯し放題さ。終わるころにはすっかり干物で、あの世イキってわけさ」

「おっかねえのは仕置き女と遣りて婆ぁってな。まぁそんなのには」

「指一本、触らせねぇけど」

お珠と美星のセリフが一つになる。

それを聞きながら、鉄は『案外いい相棒なのかも』と思っていた。



吉原に秘密の工房を開いているロザリー ・スミスはアメリカと日本の混血児だった。

整った目鼻立ちと青い目に、焦げ茶色の髪は町中でたいそう目立ち、日本髪を結ってもとてもにあわないと思って、それからはポニーテールに縛っていた。

取扱っているのはアメリカ製の銃器のメンテと拡販のための製造と弾丸の鋳造そして各藩への横流しで彼女の生計はかなり潤っていた。

「ろざりい堂」

崩し文字で書かれた看板が戸口に掛かっているだけの店だが、この店は今、戸が閉まっていて、開かなくなっていた。

鉄は扉に書いてあるメッセージを読む。

「when your enter the this shop so please knocks about three times」

「あんだって?」

「店に入るときには3回ノックしてくれって」

「へぇ。こいつが英語ってやつなのかぃ」

「正確にはalphabetですがね――――さぁオープンセサミ」

こんこんこん。

引っ掛かっていた木槌で戸を軽く3回ノックすると、がたがたとつっかえ棒を外す音が聞こえて、中からブラウンヘアーと青い目が見えた。

「Nice to meet you. I am Tetsunosuke, from the Foreign settlement.in Yokohama.

I was recommended form Mr. Parker, so.then I would like to repair this gun. may I come in?」

(はじめまして。外国人居留地から来た鉄之助です。パーカーさんの依頼で来たのですが、入っていいですか?)

「sure. Are you real Japanese? your English is very well」

(もちろんさ。アンタ本当に日本人なの?随分上手く話すじゃない)

「Thanks」

褒められながら中にはいり戸を閉めると鉄之助は袋からs&wをとりだし机の上に置いた。

「I think ・・・this gun made by U,S. isn't it?(・・・この銃はU、S製よね?そうじゃない?)」

「Could I touch it?(触ってもいい?)」

「sure」

ロザリー ・スミスはs&wを手に取ってまず弾を確認し、次にグリップを二三度たたいて異音がないかを確認してから、

「I think this gun should be cleaning and repair(この銃は掃除と修理をするべきだと思うわ)」

そう言った。

「あんだって?」

「わっかんねぇよ。アホかい」

美星とお珠は隣で話す鉄の会話を聞きながらチンプンカンプンになっていた。

「How much for repair this gun?(この銃の修理にいくらかかりますか?)」

「hmm…I think…about 1 ryou so How big budget do you have ?(一両位ね。予算はどの位なの?)」


ピンと一本,鉄之助は指を立てた。

「I have 5 ryou in my poket (手持ちは5両ですね)」

「How much do you need bullets?(弾はどの位必要なの?)」

「I need to 40 bullets(40個欲しいです)」

「20 bullets in this one box. So then There are double box amount 40 bullets(1箱20発、2箱で40ね)」

「OK thanks for you」


鉄は金を払うおうとするが


「no no. I will get your payment when repaired,and barrette's payment will same time( 修理したとき、支払いを受けとるわ。そして弾丸の支払いは同じ時でいいわよ」

ロザリーは笑って提案をしてきた。

しかし、隣にいた美星と珠は面白くない。

「なあ鉄さん?」

「はい?」

「あたいら、話が全くわかんねぇんだ。どうなったんだい?」

「ああ、そうでした。いやね。お代は後払いでいいって言うもんだから、どうしようかと。」

「いいってんなら、受けておきなよ?太っ腹じゃないか」

今度は、ロザリーがはてな顔になった。

「well …do you have request for me?(ほかに要求は?)」

「no that all. thank you,and I will came here to receive the repaired gun and barrette's. see you next time(いいえ、すべてです。 ありがとうございます、そして私はここで修理された銃と玉を受け取ります。 またね)」

そう言って店を鉄は店をでようとしたが

「Please wait」

ロザリーが声を掛けて来たのである。


「Please wait(待って)」

「?」

「what's happen?(どうかしましたか?)」

「could you tell me that where do you live? (お住まいを教えていただけないかしら?)」

「why(なぜ?)」

「why…I think I want deliver to you when I repaired your gun(なぜって…銃を修理したとき、あなたに配達したいのだけど)」

「but. I mentioned I will come here again to receive the gun …(でも、銃を受け取るためにまたここに来ると言った…はず)」

「but I would like to deliver repaired revolver to your home which is service(サービスであなたの家に修理したリボルバーをお届けしたいの)」

しかし、ここでお珠が何かに感づいた。

「なぁ鉄さん。要件はすんだはずだよ?なんでこんなにこの女あせってんだい?」

言われてみて鉄はもう一度ロザリーを見てみると、何やら焦っているようにも見えなくもない。

(女の癇ってやつなのかなぁ。なんで気づいたんだろう。言葉がわからない筈なのに)

若干、この世界の女の鋭さに引き気味になる鉄であった


「but I would like to deliver repaired revolver to your home which is service(サービスであなたの家に修理したリボルバーをお届けしたいの)」


こう言ったときのロザリーの目の輝きが怪しいことを、お玉と美星は感づいた。

とはいえ、言葉が通じないのでは、抗議も出来ない。

が、彼女らにもひとつわかる言葉があった。

「stop it」

である。

日本の女を嘗めねぇことだぜ!ようし、言ってやろうじゃねえの!と口を開きかけた時だ。

「ok. I will give you address.(アドレスを教えますね)」

と鉄がロザリーに住所を二言、呟くとロザリーが笑って

「 thanks tell me that your address!(そしてあなたの住所を教えてくれてありがとう!) 」

と言ったのを見て、お玉と美星は何となくだが、敗けを悟ったのであった。


「くっそう。なんだか知らねえがあのアマに負けた気がする」

「奇遇だな。あたしもさ」

美星は憎々しげに呟く。

「二人とも、なんでそんなに怒ってるんです?」

「なんでって…。鉄さん、あんたあの異人に口説かれてたんだろ?それを断りもしねえでさ」

「口説かれ? いやぁ、あれは提案されてたんですよ」

「かあ…。甘いよ鉄さん。ありゃ口説かれてたんだ!他の男なら、文句が出る所業だぜ!?」

お玉の言う通り、ロザリーの送り届けるために住所を聞き出すのは、法度に触れる行為に該当する。

ただし、男側がそうと気づかず、また女は上手いこと聞き出せば、謙虚はされない。

そんな法度なのだ。この時代法的な拘束力はあまり高くない。

だが、ロザリーの手法は若干ダイレクトすぎた。

通常送り届けるのであれば、飛脚を介して送り届ければいいのだから。

自ら出向くのは、サービスの域を越えていると取られることだろう。

ストーカーと言われても仕方ない。

「でもですよ?修理したら、只で届けてくれるのは良いじゃないですか。仮にもあそこは外国人居留地だ、入り口で止められ…。」

いや、待てよ。

「気がついたかい?あいつは異人だろ。入り口で止められやしないさ」

「門さえ突破しちまえば、あとはゆっくり家を突き止めるだろうね」

そう言ったのは美星だった。

「まさかそんな…。」

ロザリーがそんなことをするはずがないと、思いながらも鉄は完全否定はできなかった。


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