第30話 黒川咲夜のやる気① デート&初ライブ!?

 とある夜、柊介の電話がなった。それは咲夜からだった。


「起きてる?」

「はい。大丈夫です」

「よかった。実はね頼みがあるんだけど」

「頼み?ですか」

「そう。今度の私のライブに出てほしいの」

「!?ら、ライブに?」

「ええ。実はうちのバントのメンバーがケガしちゃって

ね、変わりを探さなくちゃいけないの」

「そ、それで僕?」

「そ。まぁ浅倉くんは素人だけど、バックバンドなら

大丈夫なの。ま、ちょっと契約は必要だけど」

「ら、ライブ」

「そう。あなたの腕は高山さんもおすみつきだからね!

それに、今も練習してるんでしょ」

「た、確かにしてます。今はオリジナルもしてますけど」

「へぇ浅倉くんのオリジナルか、聞きたいな」

「ま、まだまだですよ僕のは」

「それでも聞かせて。だから、それも含めて今度うちの

会社に来てくれる?もちろん休みの日にね」

「・・・わかりました。せっかくの話ですから」

「さすが。じゃぁ後で場所とかメール送っとくね」

「はい」


 言われた通りメールが来た。そこには色々な事が

かかれていた。

 とりあえず姉の泉に話、ライブをする事はいいと

言われた。

 それから次の休日、柊介は咲夜が所属している

会社に入った。最初はロビーに入ってうろうろして

受付に声をかけられおどおどしていたが、そこに

咲夜がやってきたのでなんとか騒ぎにならなくて

すんだ。

 咲夜に連れられ、部屋に入った。そこは会議室みたい

な部屋で何人か座っていた。


「とりあえず座って、気軽に構えてていいからね」

「は、はい」

「って、すごい緊張してるのがわかるわね」

「だ、だって」

「まぁしょうがないか。とりあえず始めましょうか」


 そうして会議?が始まった。最初に社長や

プロデューサーがあいさつをする。それから

咲夜の女性マネージャーもあいさつをし

そこからそのマネージャーが柊介にこれからの

事を説明した。

 

「という事だけど理解できた?」

「な、なんとなくですけど」

「まぁ今はそれでいいわ。それで、君の演奏なんだけど」

「そうだな。じゃぁスタジオに移ろうか」


 その話になると社長が優先してスタジオへと

向かった。

 中に入るとそこにはすでに楽器も用意されていて

別のスタッフたちがいた。

 今からこの中で演奏するというのが柊介を

緊張させていた。


「じゃぁ始めようか」

「はい。お願いします」


 声も少し高くなる。それでも柊介は

中に入り準備をする。


「ほうなれてる感じはあるな」

「そうですね。緊張はしてますが、経験者の

準備の仕方ですね」


 窓越しにマネージャーやプロデューサー達が

柊介を見て話し合う。

 準備ができ、マイクから社長の声が聞こえる。


「それじゃ聞かせてもらおうか」

「はい。それじゃ始めます」


 柊介はキーボードの鍵盤に指を乗せた。そして

演奏を始める。演奏している曲は咲夜の曲だ。

 手は震えるが演奏はしっかりできていた。そうして

一曲の演奏が終わった。それを聞いて社長達が

話し合う。


「緊張は隠せれていないが、確かに演奏は良かった!

合格だ」

「ありがとうございます」

「じゃぁ慣れる為にもう何曲か聞かせてもらうよ」

 

 そう言われて柊介はいくつか演奏した。その中

には咲夜からのリクエストでオリジナルも

演奏した。一時間程して演奏を終える。

 それからまた話し合いが始まり、気が付いたら

夕方になっていた。


「じゃぁ今日はここまでね。浅倉くんこれから

よろしくね」

「はい。今日はすごく勉強になりました。まだ

未熟ですけどよろしくお願いします」

「こちらこそよろしく」


 柊介は認められた。それに喜んだ柊介は

帰りに咲夜にもお礼をした。

 その後、柊介はライブに向けての練習を

する。バイト先にもその事を説明しまた

少しシフトを減らした。


 学校でも休み時間は咲夜の曲を聞いている。ライブ

用のアレンジを覚える為だ。

 放課後、柊介は自分がライブをする事をゆい達

に伝えた。

 それを咲夜に教えると、またライブに誘って

いいと言われ、ゆい達にライブをする日を

伝えた。その日は十二月の最初の休日だ。場所は

ホールで、そこまで大きくはないが、素人が

立つ場所でもないので、柊介は何度もその会場に

行き、外から眺めた。


 そうして、練習も順調に進み、いよいよ会場での

リハーサルになる。

 その会場の控室で、咲夜から柊介に服を渡された。


「これって衣装?」

「そう。もうすぐ本番だからね、それを着て

練習よ。リハだけど本番のつもりでね」

「わ、わかりました」


 柊介は着替えた。その衣装は黒でどこかの剣士が

着るような恰好だった。 

 そのままステージに行き、咲夜も衣装を着て

リハが始まった。やはり、ステージでは余計に

緊張する柊介、なんどかミスをするが、咲夜が

優しくカバーする。

 そのかいもあって、最後あたりはなんとか

こなしていた。


 数日程リハをし、ようやく柊介もおちついて

演奏ができてきた。

 そんなリハが終わった夜、咲夜から誘われ

近くの公園に向かった。


「お疲れ、だいぶ慣れて来たね」

「うん。まだ不思議な感じはするけどね」

「不思議な感じ?」

「はい。僕があんな大きなステージで演奏

するなんてって。今でも信じられなくて」

「確かに、最初にあった時の浅倉くんから

見るとそうなのかもね。初めは本当にただの

オタクかなって思ったし」

「そうですね。でも、僕がこうしていられるのも

皆のおかげですから。これからはもっと自信を

持ちたいです」

「うん。今の浅倉くんならできるよ。それで

話は変わるけど、このライブが終わったら

デートしない?」

「で、デートですか」

「ええ。もしかしてもうあの子達から誘われて

たりする?」

「は、はい。皆からクリスマスにデートを

してほしいって」

「ふふっモテモテだね。じゃぁ私もその候補に

なろうかな。私とデートして浅倉くん」

「えっと」

「すぐに返事はしなくていいよ。ライブもあるしね!

でも、できれば私を選んでほしいな。もし

選んでくれたら、その日のうちにエッチしてあげる」

「!?え、エッチ」

「あ、反応したね。やっぱり男の子だね」

「す、すいません」

「いいよ。その方が私もうれしいから」


 そうして帰り際にも咲夜は柊介の頬に

キスをして帰った。


 それからいよいよライブが始まる。ゆい達も

客席から見る事にしていて、それ以外でも

会場の席は満席になる。

 控室では柊介も衣装に着替え、初の本物の

ライブに挑む。

 時間になり、ステージにあがる柊介。柊介は

後ろの左側にあるキーボードブースに立つ。

 そして、ブザーが鳴りライブが始まった。


 そして、ライブは最高潮に盛り上がり無事に

終了した。ライブの途中、咲夜は何度も

柊介の隣に行き、そこで歌っていた。

 それにゆい達は気づき、少し嫉妬した。


 こうして柊介の初ステージは無事に終わるが

またデートに誘われ、ステージ以上にそっちを

悩んでいた。

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