第19話 僕の夏休み⑥ イベントは無事に終わるが新たな悩み事が?

柊介はさやかの所に向かった。


「成宮さん」

「お!昨日の少年。やっぱ来てくれたか?」

「はい。でも、なんか顔色悪いですけど?」

「ああ、ちょっと寝不足でね。まだ明日も

あってさ、このイベントが終わるまではほぼ

徹夜だかね」

「そんなに忙しいんですか」

「まぁね。ここで会社のアピールができないと

他はあまりないからね。だからどこの会社も

必死なんだよ」

「確かに他の会社もすごいですよね」

「それだけこのイベントの大きさがすごいって

事だからね。さて、もうすぐうちのステージも

始まるからステージに行ってきな」

「あ、ハイ。成宮さんは?」

「私はここで宣伝続行よ。まぁあとでステージの

方は見れるからね」

「そうですか。じゃぁ行ってきます」

「おう、楽しんできな」


 その会社のステージが行われる場所に向かい

柊介はイベントを楽しんだ。

 それからゆい達と合流し、さやかの所を

紹介したり、他の企業のブースも見て回った。


「これで二日目が終わりだね」

「あと一日だな」

「明日も行くでしょう浅倉くん」

「もちろんいきます。こんなに楽しいって

思ったのは初めてですから」

「それならよかったわね」

「ああ。キミが楽しんでくれるのが私達は

一番うれしいことだからな」

「そうね。でも、あまり別の女性と知り合ったり

はしてほしくないわね」

「確かに」


 ゆい達は少し不安な感じはしながらも次の日の

最終日も柊介と一緒に楽しんだ。

 こうして初めてのコミカルフェスは無事に

堪能する事ができた。


 翌日、柊介はベッドから動こうとしなかった。それは

今まであんなに動いた事がなかったので体が

何か悲鳴をあげていたからだ。

 それでも、アニメは見たり、スマホのゲームは

したりはした。

 そうだらけていてすでに夕方になっていた。さすがに

何か食べないと持たないので柊介は起き上がった。

 リビングに行くと泉の書置きがあり、今日は

二人共帰らないという事だ。しかも、お金があるが

冷蔵庫はほとんど何もなかったので、しかたなく

買い物に行く事にした。


 その途中で柊介はどうせなら佐伯のいるファミレスに

行こうと行き場所を変えた。

 すでに柊介は一人で外に出れる様になっていた。

 

 そのファミレスにつくと佐伯とは別の店員が

接客に来た。


「お、もしかしてお前が佐伯の言ってた客か?」

「え?あ、たぶんそうですけど」

「なるほど。なんかオタクっぽいな。まぁ客には

違いないか」


 その店員は少し怖い話し方をしていて、しかも

背も高かったので余計怖く見えたが美人でも

あった。

 柊介は席に案内され、座る。


「あの、佐伯さんは?」

「ああ、今日は休みだ。もしかしてあいつ狙いで

来てるのか?」

「い、いえ、違います!ただ、話しやすいからで」

「まぁ確かにあいつは人がいいからな。この仕事にも

むいてる」

「そうですね。僕なんかにも普通に話しかけて

くれますからね」

「・・・・・・お前、もしかして引きこもりか?」

「え?えっと、はい。僕、見た目通りだらしない

奴で、自分でもわかってるけど」

「わかってるぶんだけましか。なぁそれならここで

バイトしなか?」

「ば、バイト!?無理です。最近やっと外に

出れる様になったばかりなのにいきなり接客の

バイトなんて」

「まぁ確かに無理かもな。でも、うちも人手不足

でな。佐伯と話してるなら悪い奴じゃないだろうから

聞いてみたんだが」

「す、すいません」

「まぁ無理には進めんが、できれば考えておいてくれ!

もしやりたと思ったら私に声をかけてくれ。これでも

店長だからな私」

「て、店長だったんですか?それにしては若いような」

「お!そういう事は言えるんだな。まぁ若いのには

違いないがな。じゃぁゆっくりしてきな」


 彼女は話し終わり奥に入っていた。まさか店長だとは

柊介も思っても居なかったが、その店長からバイトを

しなかと言われた。

 柊介もゆい達と関わって、外には出られるようになったが

まだ、正直人と接触するのは苦手だった。今までは

同じ趣味とか好きな事での関わりだったのでなんとか

なったが、今回はまったく違う環境になってしまう。

 柊介は家に帰ってもその事で悩んでいた。そして、それ

以外でも柊介は色々考えていた。

 まだ高一だが、将来何をしたいかを考えてもいた。

 やはり、好きな事を仕事にしたい。でも、好きな事でも

簡単に行ったり、うまくできる保証はないからだ。


 そう考えていたらあっという間に夏休みも終わりに

近づこうとしていた。

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