名付け親になる!

「エリく......エリック様、こんにちは」


「お、おう。あれ?いつもの呼び方じゃないのか?それに敬語使ってるし」


「いつも通りの言葉使いでいいのですか?」


「そっちの方が話しやすいしな」


「そ、そういうことなら......こほん、こんにちはです、エリくん!」


その声は凛とした雰囲気から一気に変わり、少女らしい声に変わった。うん、エリンはやっぱりこっちじゃないと違和感がすごい。


「さっきは助けてくれてありがとうです!」


エリンは語尾に「です」を付ける話し方をする。流石に公の場では王女らしく話すが...


「っと、そっちの倒れてる方達は大丈夫ですか?」


さっきの戦闘で虫の息状態だったが仲間のひとりが回復魔法を使えたらしく流血は止まったがかなり重症のようだ。

俺は2人の前に行き、魔法を使う。

すると2人の体が光る。それが収まると、その2人は何事も無かったかのように立ち上がった。


「おぉ!これはすごい!さっきまでの怪我が嘘のようだ!」


「本当にありがとうございます!」


「いやいや、これくらい普通ですよ!」


感心する中、隊長のレクトだけ口を開けて固まっている。


「どうしましたかレクトさん?」


「いや......え、エリック様は......無詠唱で魔法を使えるのですか?」


「やべっ!」


「安心してください。このことは他言しませんよ!」


「お願いします!」


さすがのエリックでも無詠唱の希少性は知っている。それが世間に知られたら色々と厄介なので今のレクトの言葉にほっとした。


「ひとつだけ私たちの願いを聞いてくれませんか?」


「どうしましたか?」


「王都に着くまで共に王女様の護衛をしてもらえないだろうか?もちろん報酬は払います!」


「それくらいならいいですよ。俺達も王都に戻る途中でしたので!」


「ありがとうございます!」


そしてエリンが馬車に乗ると王都に向けて出発した。






太陽が傾き、赤くなり始めた頃に馬車を止めて野営の準備に入った。もちろんエリンは馬車の中で侍女の人と待機だ。

俺は騎士の人達がテントを貼ったりするのを眺めながら待っていた。


「なぁルル、ここで家を作ったらさすがにやばいよな?」


「そんなことしたら陛下から目をつけられちゃうよ!」


「だよなぁ」


野営の時は目につかない所に家(仮)を作ってその中にベッドも作って寝てる。

一応異空間の中にテントも持っているが使ったことがない。


「はぁー。んじゃ、俺達もテントを組み立てるか!」


「そうだね!」


「マリもお手伝いします!」


「ユイもー」


「すぅー、すぅー」


「黒龍、お前いつ寝たんだよ」


「ふふっ、かわいいね」





夜は俺がエリンと顔見知りということもあり、食事は一緒にとった。

食事の後に隊長のレクトさんを中心に明日の予定を確認した。今野営している場所から街道に沿っていけば明日の昼には王都に着くそうだ。

ルルが聞いてくれてたので俺はあまり聞いていなかった。

テントに戻ってルルに怒られたのは言うまでもない。



夜。

みんな寝静まった頃、俺は寝袋のようなものに入っていた。


(おーい、いるか?)


⦅はい。私はいつでも貴方様の中にいますよー⦆


(そりゃそうか)


⦅ご要件はなんでしょうか?⦆


(聞かなくても俺が考えてることわかるだろ?)


⦅そ、そうですけど......や、やっぱりそういうのは本人の口から聞きたいじゃないですか!⦆


(うっ......わかったよ。そのー、お、お前の名前を考えようと思ったんだ......昼に話した時に呼び方がないと、これから困るかなと思って...)


⦅わ、分かっていてもちょっと恥ずかしいですね。えへへ⦆


(どうしようなぁー?)


⦅私は貴方様が決められた名前ならばどんな名前でも受け入れますよ!⦆


(そんなこと言われたらなんかプレッシャーかかるんだよなぁ。......でもひとつだけ候補があるんだけど)


⦅どんな名前ですか?⦆


(分かってるくせにぃ!...そのー、「かすみ」だよ)


⦅どうしてその名前か聞いてもいいですか?⦆


(それはぁ...その......向こうにいた時のす⦅好きな人の名前ですよね!⦆)


(分かってるんだったら聞くなぁー!)


⦅ふふっ、私はその名前でもいいですよ?⦆


(なんか簡単すぎる感じがすぎるけど......じゃあ、これからお前の名前は「かすみ」な!)


すると普段の口調とは違う機会のような声が聞こえてきた。


⦅名前の決定を確認。────────

進化条件、オールクリア。進化開始────────進化完了。⦆


(...............え?)


⦅進化しましたよ!マスター!⦆


その声はお姉さんタイプの少し安心するような声だ。

.........声と言っても脳内に直接話しかけてくるので耳から聞こえる訳では無いから変な感じがする。


(え、ええっと......かすみでいいんだよな?)


⦅はい、私はかすみですよ!それと、進化したので呼び方を貴方様からマスターに変えてみました⦆


(それはそういう設定?なのか?)


⦅いいえ、気分ですよ!⦆


(あぁ、そうか)


⦅はい!⦆


(やばい、眠たくなってきた)


⦅そろそろ寝てはどうですか?明日は早いそうですしね!⦆


(うん。そうさせてもらうよ。おやすみー)


⦅おやすみなさい、マスター⦆


そして俺は意識を手放した。





────────────────────

そろそろ宿題がやばいので9月までお休みします。(気分次第で出すかもしれませんがw)

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