そして世界は勇者によって歪められていた

あきのななぐさ

序章 はじまりの四十八人

第1話プロローグ

暗黒の四十八人。


今より五百年前、古の魔王が復活した。

四十八の国の王は魔王に対抗するため、異世界よりそれぞれ一人の勇者を召還することに成功した。


それが、始まりの勇者。

四十八人の勇者。


勇者たちは、互いに力を合わせて、魔王を打ち取ることに成功した。しかし、魔王は最後に呪いの言葉を勇者たちに残していた。


「我は、すでに勇者のつらなりのなかにいる。力を蓄え、再び復活するだろう」


魔王の言葉は勇者たちを縛り、互いに互いを疑うようになっていた。やがてそれは、諍いを生み、その諍いは、国を巻き込む争乱へと発展していった。


四十八の国の王は、その争いに乗じて覇権を欲し、あまたの勇者が召喚されていった。


ミズガルド統一歴二千五百十二年一月一日。


かつて四十八あった国は、すでに二十の国となり、多くの国が滅亡していた。それでも、世界は勇者であふれ、人々は勇者に怯えていた。


人々は祈る。もう勇者は必要ないと……。


しかし、その願いもむなしく、今まさにまた新しい勇者が召喚されようとしていた。

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