第四話 爆発ポリスピーポー事件簿

 今、学校の校門の前に居ます。

 えっとですね……ちょっと意味わかんなくて困ってます。


「ちょっと君、そこの君。」


 あ、なんか呼ばれてますね。今はちょっと頭回んないからマジ勘弁。


「ここの学生さんかな?」


 いやあの頭回ってないんッスよ。……あ、肩トントンされた。

 警察官に肩を叩かれたトウマは初めて振り向く。


「えっ、なんでしゅ、っか?」

「焦らないで聞いてね? この学校でちょっと問題が起きちゃって。この先……学校は今、立ち入り禁止区域だから今すぐ帰宅できるかな?」


 噛んだ事は見事にスルーされた。気遣いがうまいだけなのか、俺に辱めを味あわせたいだけなのかどうなのか。間違いなく前者だろう。この人の顔を見たらわかる、この方は優しい。どうでもいいか。

 なによりテロってなんなんですか! ちなみに俺が固まってた理由もそこにあります、校門がパトカーでいっぱいっていうね……こんなのドラマのシーンでしか見たことない。


「あー、そうなんですか。 ちなみに今の校内状況ってわかりますか? なにがあったんですか?」

「えらく冷静だね。 今さっき、事件の真相を追って調査隊が校内に入っていった。これ以上は警察もわからない上に教えることもできないかな。 何も無かったら嬉しいんだけどね」


 なにも教えてくれないんかい。


「冷静……ですか。実はこれでも結構驚いてるんですよ。」

「そうかい? どんな時でも冷静で居られることはすばらしいことだ。」

「は、はぁ……。では帰宅しますね。 それと明日の学校とかどうなるか知ってますか?」

「いや残念ながら無いと思うよ、なにしろ校舎が壊れ……。んッ、なにもない早く帰りなさい」


 うーん、ワロタ。

 リアルでこんな事しちゃう人って実在しちゃうんだね。

 そして校舎が壊れてると。原因はいまだわからず。危険な臭いがプンプンしますぞ! まぁ、魔方陣書いて幼女呼んじゃう俺も大概なんだけど……今頃アイツなにしてんだろ。なにかしでかして無かったらいいけど。

 そんな言葉を脳内に張り巡らせていたら壮大な音、いや……声が聞こえてきた。


『お前らキメェんだよ! どけ、底辺雑魚ども!!』


『やめなさい君!』


『それ以上行くんじゃない!!』


『戻ってくるんだ!!!』


『知るか死ね!』


 うーん、ワロエナイ。

 俺早いとこ帰宅しますワ。


『おい貴様! 私の声が聞こえるか!? そこのお前だ!!』


 OMG。この声はルリアちゃんかな。

 なんでルリアがこんなとこに居るの? 今頃、森の中を徘徊してるはずなんだけど。


 ――――――時は少し遡る。



 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇



「ルリアは学校に来れないから適当にそこらへんで散歩しておく。これでいいか?」


 そう、俺のセリフ通りこのロリ悪魔は校内に入れない。

 だからルリアは今からどうしているかの話し合いをしていた。え、入れない理由? だってロリ悪魔なんだもん。ソレですべて納得がつくはずだ。

 ちなみに散歩してろとは言ったもののここらへんは森林一帯である。空気おいしいけどなにもないよ。

ルリアは満足げな顔で「にしてもやっと魔界から解放されたんだな!」なんて言ってる。よほど魔界という所は窮屈だったのであろう、ざまぁみろ。


 ――――――にしても魔界というところはどういうところなんだろうか。

 地球から1880万光年先だと聞いたが無茶苦茶すぎて想像もできない。そこはもう異世界なのだろうか? そもそも異世界って? ……考えてても埒が明かないのでここはもうG〇〇gle先生に聞いてみる事にしよう。


『異世界とは、この世界とは違う世界である。』


 お、おおおおおおおうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

 それくらい知ってるっちゅーの……。


「なにゴソゴソしてんだ、私はもう行くぞ」

「あ、学校終わったらどうするんだ?」

「は? 貴様とはもう会うつもりはないんだが」

「え?」


 え、やっべえ恥ずかしい、俺だけかよまた会おうとしてたん……。いやでもルリア一人じゃたぶん現代社会生きてけないでしょ? 心配してるだけ! 別にあんたの為じゃないんだからねっ! ただ罪悪感が残るのが嫌なだけなんだからねっ!?


「いや、でも」

「いや、でも?」


 ……。


「わかったよ。ルリアの好きなようにすればいい。」

「話を聞く耳を持っててよかった! じゃあな!!」

「おう。じゃあな」


 ……あっけな。

 魔方陣書いてルリアと出会ってなにか変わると思ったんだが――――――。そんな甘くないか。

 暇だしまた、魔方陣書いてみるか。俺も懲りないね、心に穴が開いたみたいだ。これから学校だからか。



 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇



 そして現在に至る。


 俺は絶句なんてレベルじゃない。

 どうやらルリアさんは校舎側に居るらしい。トウマは顎が外れそうになりつつも、あっちの方角を見ないようにと気を付けながら足を家の方角へ加速させる。


『おいてめ、おーーーい!!』


『あっちに誰か居るのか?!』


『……あの青年か! とりあえず捕らえろ!!』


 あいつバカかマジ死ね! この状況でそれはない! ……死ねは色々マズいか、いや別にいいか死ね!!


「ッ……!」


 そして早々に囲まれる。俺ダサすぎかよ知ってた。

 あーん、周りはポリスピーポー。逃げ道は残ってない。っていうのは嘘であるっちゃある。あるけどそっち行くなら捕まるほうが断然いいかも……とか考えてたら、ポリスの腕が僕の腕に目掛けて飛んできていました。


「」


 は    。


「遅いよおっさん」


 無理矢理の筋力で警察の腕をくぐり抜け、奇抜した瞬発力でその場を離れる。そのまま足は校舎の方へ向きスピード力でポリスピーポーを圧倒する。


『まて! 待つんだ!!』


 そんな声も、風の切る音と同化し全く聞き取れない。


『おー! また会ったな!』


 ポリスメンの声と同様、風の切る音でなにも聞こえんけどあの表情見たらわかる。元凶はお前だ。

 ルリアの元まで走ったトウマはそのままの勢いに任せ校舎に侵入する。脇にはルリアさん。さすがに放置するわけにはいかないのでやむを得ず一緒に侵入した。


「ふう……」


 校舎に侵入したはいいが、校舎が壊れてるやなんやらかんやら言ってたよな。正直危険すぎる。どうしようもないけど。てかなんで侵入したんだバカー……。あっちが手出してきたから反射的に逃げちゃったじゃん。

 てか自分の足の速さに驚いた。だがなにも不思議なことではないと思う……。日々、人間は成長するしね。

 そんな感じで悶絶するトウマを横に、真剣な顔をしてまっすぐ前を向いているルリア。それに異変を感じたトウマがしゃべりかける。


「どうした?」

「いや、誰かが来るなぁと」

「怖いじゃんそういうのは勘弁してくれ」

「ホントに誰かがこっちに向かって歩いてきている。この感じは間違いなく人間だ」


 まぁ、そうだろうな。動物とかだったりしたらビックリどんきーだわ。

 俺の予想の範囲内だが、たぶん我が学校の生徒か教師だろう。あ、調査隊もここに居るんだったか。とりあえず怖い。


「また校内壊れたりとかしたらワロエンぞ……」


そんな独り言を放ったが、どうやらルリアは聞いてなかったようだ。別に聞いてほしかったわけではない。ただ少し、ね?


「なぁルリ……あぁ?」


 本日二度目、また顎が外れそうになった。

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