第8話

子供は、生まれた時に五体満足でとりあえず健康そうなら一律Cランクからのスタートだ。ランクは、公には五段階となっており、容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能、健康優良児と四つ揃った特A、そのうち一つが欠けているのがA、二つ欠けているのがB、生まれつき重い病気や障害、五体不満足の子供はDランクに認定される。それから成長していく過程で、何の病気にいつどれくらいの頻度でかかったか、アトピーや花粉症などの、ほぼ大人になっても持ち続けるアレルギーはないかなど全てがポイント制で加点または減点される。結果、美優はめだった病歴もアレルギーもない健康優良児、プラス運動が平均以上にできると言う事で小学生時にBランクに昇格した。

性別差は今でははっきりと分かれ、女子の方が男子より大事に扱われる。将来健康な子供をたくさん産んでもらうため、給食から体育と言う名の運動やら全ては将来の母体のため健康に気を配っているらしいが、中学生の美優はもちろんそんな事を知らないし自分の体調を気にかけた事もない。ただ母親は昔から健康にうるさく料理も野菜中心だった気はする。

ここまでの理由から、Bランクのまま県内に残留していても美優の待遇は悪くはなかったはずだ。しかし、四つ上の姉がAランクを取り、一人上京してトーキョーでの高校生活を満喫する話を聞くうちに、美優もトーキョーに行きたくなった。両親も大賛成してくれた。それで勉強にも力を入れ成績を上げ、中学入学時にはAランクをつかみ取ったのだ。

美優が三年生に進級してから、学校の校長先生や知らない大人達が毎月のように自宅に来るようになった。両親はそれについて何も言わないが、時々美優に「トーキョーに進学するかここに留まるのか」を聞いてくるから、進学の話をしているに違いない。本人が決める事なのにどうして当事者抜きで大人達は話し合うのだろう。美優には不思議でならない。

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