hide creacher 31

「アギリ・アレックス………。あなたを我々「黒狼」に連行する」


 そう、男の声がした時。あの女の姿はまだ声の主の男の隣にいたはずだ。


 だが、今は既にアギリの目と鼻の先に黒く大きく歪んだ鉤爪が迫ってきていた。


「…………っ!!」


 すんでのところで、アギリはその鉤爪から逃れた。多分、アギリじゃなかったらあの爪の餌食になっていたかもしれない。


 それを見た、鉤爪の持ち主である女は残念そうに顔を顰めた。


「っ、あーん!もう、逃げないで、遊ぼうよぉ」


 不満げに女は声を上げる。だが、笑ったままだった。


 そうしている間にアギリは一度距離を置くが、また女の鉤爪が襲ってくる。

 大きな鉤爪を振り回す姿は、あの華奢な体型からは容易には想像できない。


 脇に避けたハルには関心がないのか攻撃はただアギリのみに集中していた。あらゆる方向から次々と繰り出される攻撃にアギリはただ、躱すの一点にひたすら集中していた。相手の気を一瞬だけ逸らすため攻撃してみてもいいが、反撃するといっても何をどう攻撃すればいいのか検討もつかない。そして、その間に逃げれる確信もない。


 RPGではこういう時はひとまず、「守る」に徹する方がいいこともあるということをアギリは思い出していた。


 アギリは右、左、上から…………と、迫りくる鉤爪の間を縫って女との距離を保とうとする。アギリは女の手についている鉤爪が飛んでくる位置が分かっているかのように、その間をすり抜けていく。女が鉤爪を何回奮っても、それは一向に当たることはなく空を切るだけだった。


「ちょっと!なんでこんなに全然当たらないのぉ!!」


 女の笑みが崩れて、苛立ったように声を上げた。


 女は昔「黒狼」にいた者の妹で一般人………とだけ、「彼」から聞いていた。


 一般のただの子供で、たとえ能力を使われたとしてもその柔らかい肉を掻き切ることは容易だ。女がそう思えるのは、その施行を何千回と繰り返してきたからだ。


 目の前の少女は一般人と言っても、昔はなんらかの訓練でも受けていたのだろうか?

 そう思えてくる程だった。


 顔を顰める女に対して、アギリは平然と避け続ける。


(右、下………こうきたら次は左………かな……)


 アギリは、特にあれこれを意識して考えているわけではない。鉤爪が動く軌道が見え、そのパターンがなんとなく頭の中で見出されていた。


 計算の結果ではなく、本当に何となくであった。感覚的なものと言ってもいいだろう。本能とでも言うべきか。


 それ故に自分の思考と体の動きとで生じるズレが気味悪い。


 女の猛攻がピタリと止んだ。その間にアギリはその場で全く動かずにいた、ハルの手をひいて先程たっていた場所よりも後ろに移動した。


「ったく、ほんと気持ち悪い………」


 アギリは小さく呟いた。それを聞いていたのはアギリ自身だけだった。


 再びその場は膠着状態に陥る。


「……ちょっと、アイシャ。真面目にやってます?」


 男が女に声をかけた。女は瞬時に声に反応して声をあげる。


「だってぇー!!全然当たんないんだもん!!私だって、とっととあの体引き裂きたいよ!!」


 女は鉤爪がついた腕を、アギリ達のほうに向けた。こうして言動を見る限りはほぼ無邪気な子供だ。


 しかし、大層物騒かつ不穏で暴力的な単語が聞こえてきたので、アギリの嫌な予感は襲ってきた時点で完全に確信になっていたが、今はさらに人段階グレードが上がってもうほぼ警告に近いものと変貌していた。アギリの頭の中では赤いランプがチカチカとひっきりなしに点滅していた。


「引き裂く………のはダメだよ。生かしとかないといけないんだから」

「じゃあー、隣の子は?」

「特に聞いてないけど………まあ、どっちでもいいんじゃない?」

「やったぁ」


 女がにっこりと笑ってアギリ達………正式にはハルの方を見た。


 アギリはちらりとハルの方を見てみた。


 ハルの顔は完全に蒼白になっていた。その時の蒼白ぶりは体が震えることを忘れている………と言えるほどだった。


「まあ、さっきの動き見てて…………あなたも「普通」ではないですね。……能力か何かですか?やっぱりhide creacherにいるだけはある」


 男の口からあの言葉が飛び出した。アギリの眉が動いた。


 hide creacherは普通に生きている間に聞くことも無い単語だろう。普通ならば。


 男が何かをこちらに向かって投げた。きらりと光を反射しながら銀色のナイフがこちらに飛んできた。

 二人はそれを横に躱す。アギリはこの程度なら特に造作もなかったが、ハルは何とかという感じだった。


 投げられたナイフを交わしたことにより、アギリとハルとの間に距離ができてしまった。


 男は一気にハルと距離を詰める。そして、右手を振りかぶった。その手には別のナイフが握られていた。ハルは咄嗟のことに反応出来ず、その場で驚いた顔をするだけだ。


 アギリは足を踏み出すも恐らく、この距離はアギリが今からハルをどうこうできる距離ではない。



 ガキン!!



 硬い音が響いた。

 ナイフがハルの体を切ったならこんな音はしないだろう。アギリが予想していたこととは異なることが起こっていた。


 男のナイフは、ハルと男の間に作られた薄赤の透明なバリアにぶつかっていた。


「へぇ………君もなかなかやるじゃないですか」


 男はにたりと笑った。バリアは脆く崩れて、直ぐに消えていった。


 男は間髪入れずに再びナイフをハルに向かってナイフを振るった。

 ハルは上手く動かないからだを何とか動かして避けようとした。


「離れろ!!」


 今度はハルとの間を詰める時間があった。


 アギリは男に向かって拳を振り上げていた。どうにか男をハルから引き離そうとして咄嗟にとった行動だった。


 男はそれに気づくと、すぐにアギリの拳をギリギリで躱した。 その隙にハルの腕を掴んで、一緒に男から離れる。

 その時見えたハルの手の甲には赤い線ができていて、そこから血がこぼれ落ちていた。


 それを気にする間もなく、飛んだ先に向かってあの女が突っ込んでくる。アギリは、振るわれる鉤爪の軌道を見出してそれを躱していく。


 ハルが居るぶん今回は動きが制限されて飛んでくる位置がわかっていても、結構ギリギリだ。

 何とかしてここから離脱しなければ躱し続けられるのも時間の問題である。


 女はただ次々と鉤爪を振るい続けていた。さっきよりも感覚が狭くなっている。度重なる猛攻でこちらが疲れるのを待って隙を誘い出すつもりなのか。


 アギリは避けつつ距離を開けないかと、目の前を飛ぶ鉤爪を見ながら考えてみるが、一人ならともかくハルもいるとなるとなかなか一筋縄では行かない。


 再び、こちらに向かって鉤爪が繰り出される。アギリはその鉤爪の軌道から逃れようと体を動かす。


 だが、鉤爪はその場所には飛んでは来なかった。鉤爪はあの赤色の透明なバリアにぶつかっていた。


「ナイス……!」


 アギリは小さく叫んだ。


 こんなチャンスを見逃すわけにはいかない。

 二人はそのできた隙を使って、テロリスト達から距離を取ることに成功した。

 バリアはすうっと空気に溶け込むように消えていった。


「バリア…………か。サイコパワーってのはそんなのもできるの?」

「う、うん………その………い、一応……応用みたいなもので……弱いし、直ぐに消えちゃうけど………」

「怪我は?」

「……かすり傷……だから、大丈夫………」


 アギリが尋ねるとハルはもどもどしながら答えた。


 アギリは、よくミズキが遠くの物を取ったり、重い荷物なんかを浮かせたりして運んでいるのを見ていたがそれ以外にもいろいろできるのだなと、思うのと同時にすこぶる使い勝手のいい能力だと思った。


「………もう!どーすんの!?全然じゃん!」


 女が不満丸出しにそう叫んだ。男の方も顔を顰めていた。


 アギリはただ真っ直ぐ、きつい目付きで二人を見ていた。それと同時にここから逃げ出す方法も探していた。


 しかし近くに避難経路を指し示すような看板などはない。そして、すぐ側に外に通じているような場所も見当たりそうになかった。


 周りの風景を改めて確認して、アギリはあることに気づいた。


(………ここってたしか……本館の中央少し手前……だよな)


 この今いるショッピングモールは、北館、本館、南館の三つで構成されている。アギリ達が先程過ごしていたゲームセンターは本館の一階の一角に位置していた。

 そこから避難口を目指して走ってきて、この目の前の二人に鉢合わせたわけである。

 恐らくここから少し行った所に、今朝入ってきたメイン広場がある。後ろに見える二階の連絡通路には見覚えがあるので、それは間違いないだろう。


 メイン広場は正面玄関に通じているが、KPの話によるとこの先は瓦礫が崩れていてそこまではおそらく進めない。


 目の前のテロリスト達を突っ切って避難口まで全力疾走というのもあるが、どのくらいの距離があるのかもわからないし避難口がダメになっている可能性も無きにしも非ずである。距離によっては追いつかれてしまう可能性もありうる。


 そのことを踏まえて、今アギリの中にはある考えが一つ浮かび上がっていた。


 しかし、これは前者の方法よりも明らかに賭けの要素が高く、かなり無理があるようにも思えた。


 アギリの額にシワが寄った。この考えは破棄した方がいいのかどうか迷っていたのだった。


 そうアギリが考えているうちに相手が行動を起こした。


「…………やっぱり、そう簡単には行きません、ね…………」


 男がぼそりと呟くと、ナイフを一本取り出した。銀色の刃には僅かに赤い血が付着していた。あの血はハルのものだろう。


 男はしばらくナイフを眺めた後………その、銀色の刃についた深紅をべろりと舐めた。


 それと同時にアギリの隣から小さく「ひっ……」という声が漏れてきた。アギリもその声の主の気持ちは理解できた。自分もあんなことされたら引く。


 しかしよくドラマなんかで殺人犯なんかが悪人面をしてこんな風にナイフを舐めているのを見たことがあるが、それとはまた違うような気がした。


 どちらかというと、安い演出などではなく何かしらの明確な意図があるような感じであった。


 男はしばらく口の中をもごもごとさせていた。


「……うん、味は…薄い、ですね。ここは貧弱そうな見た目相応、というとこですか……」


 男の発した第一声がこれである。血の味を見ていたのか。いったい何の為にこんなことをしているのか。


 と、アギリの頭の中に疑問が浮かんだ時、白色の鋭い光が見えた。


 はっとして、アギリは直ぐに体を動かしてその光から逃れようとする。


(速い!)


 光の間をすり抜けるように躱すがあの女の鉤爪同等、あるいはそれ以上の速さでそれはアギリに迫ってくる。


 なんとなく動きがわかっても、それを避けるのはかなりギリギリであった。

 最後の斬撃は、アギリの頬にピリリとした刺激を残した。斬撃による猛攻が過ぎた後頬に手を当てると、鮮血が手についた。


 手元から視線を目の前にむけると、あの光の発生源であるナイフを持つ男の姿があった。男の素早いナイフ裁きによりナイフの反射光が帯を作っていたのだ。


「へぇ、このスピードにもついてこれるのですか。感心しますね」


 男はにこりと微笑むと、アギリの血が付いたナイフを持ったまま手を叩いた。

 アギリは男を睨みつけた。相手の笑みは依然として崩れない。


「ずるーい!ラッドだけ先に抜けがけしたぁ!」

「君も頑張ればいいんだよ。他にも獲物はいるでしょ?」

「そうだったねぇ」


 二人がじりじりと滲み寄ってくる。アギリはハルを後ろに守るようにして二人と向き合っていた。


 状況は恐らく悪い。いつ何が崩れてくるかわからない崩壊しかけの建物の中で、この騒動を起こした張本人達に出くわして連れ去るだのよくわからないことを言われた。

 そして、それを拒否するとなると今度は力ずくで連れていかれそうになっている。


 戦闘面に関しても、運動に自信があるアギリだって素人は素人である。相手は動きからして何度もこういうことを体験しているだろう。真正面からぶつかれば勝ち目はない。

 それにハルもいるわけだ。彼もある程度強力な能力があるといってもアギリと同じく、状況に応じた使い分けができるわけではない素人である。


 この場合の最前を考えた場合、やはり一度頭の片隅に置いておいたあの考えが目の前に現れる。



 今から他の選択肢を探すか?


 …………………


 いや…………、そんな事をしている猶予はない。


 正直自分のあまり機転の利かない頭でこの突飛な考えが浮かんだこと自体が結構奇跡に近い。


 と、アギリは思った。


 アギリは隣にいるハルに小声で話しかけた。


「ねえ………」

「…………な、何……?」


 アギリは相手の動向を伺いながら、会話を続けた。


「あのさ、ちょっと……本当にちょっとでいいから私のこと浮かせられない?」

「ちょ………ちょっ、と……?」

「うん。浮いているか浮いてないかわからないくらい………」


 反応からして何かを話しているのはわかるが、二人の会話内容はあちらには恐らく聞こえてないだろう。


 アギリはハルの返事を待っている。


「………できるは、できる……けど、なんで……?」

「できるんだね?」

「……………うん……」


 ハルは自信なさげに頷いた。コントロールがそこまで得意というわけではないのはアギリもわかっている。しかし、やってもらうしかないだろう。


「じゃあ……浮かせてほしい時になったら合図送るから、その時に頼んだよ。」


 アギリは再び、目の前の男と女に向き合った。二人とも余裕の笑みをこちらに向けている。


「何話してたのかなー?作戦会議?」


 女がアギリに尋ねる。もちろん返事は帰ってこない。


「けど今更なにかしたって無駄だよ!いまからもっと楽しく遊ぶんだから!」


 女が笑いながら鉤爪のついた手を持ち上げた。男もそれに合わせるようにナイフを構える。


 時期に再び激しい戦闘になるだろう。勝ち目がないのは明白。ならば………


 作戦を実行するしかないだろう。


 アギリはハルの腕を自分の肩にまわした。


「えっ?………え?」


 突然の事にハルは戸惑っているが、アギリはもくもくと作業をしている。最終的にハルはアギリにおぶわれるかたちとなった。あの二人も予想外だったのだろうか、不思議そうにこちらを見ている。


「じゃあ、あとはよろしく」


 アギリは軽く呟き、軽く息を吸った。


「んー?それが作戦?おんぶ?」


 女が首を傾げた。男がそれに続いて答える。


「さあ……他に何かあるんじゃないですか?」

「まあ、的が一つになったから同時にできるようにはなったけどねぇー」


 二人の表情はまた、微笑み顔に戻っていた。そして目の前の少女に視線をむける。


 が、少女の姿は次の瞬間には二人の視界から忽然と姿を消したのだった。


 突然の出来事に二人の思考は一時的に停止する。


 背後からの物音により、思考はふたたび巡りだした時に後ろを振り向くと、そこには向こうへと走り去っていくアギリの姿があった。物音はアギリが地面を力強く蹴る音だった。


「なっ…………」


 驚いた表情の男の口からそんな声が漏れた。


 アギリはとんでもない速度であの二人の間を走り抜けたのだった。そして、今なお恐らく十六年の人生最大の全力疾走をしている。


 アギリの思考はただ走る事に集中していた。体が熱くなって流れる景色の一つ一つがはっきりと見えてくる。崩れてくる瓦礫、目の前にある障害物。その一つ一つを飛び越えてひたすら歩みを進めていた。


 そして前方に連絡橋が見えてくる。


「ハル!浮かせて!!」


 アギリは背中に背負ったハルに喉を震わせて叫んだ。ハルはアギリを掴んでいる手を握り返した。


 そのすぐ後、アギリは自分の体がどこか軽くなったように感じた。体が浮いたことにより、アギリはさらに加速する。最新式の電車の仕組みがこんな感じだったような気がする。


 目指していた連絡橋はすぐ目の前だ。アギリは大きく一歩、二歩と踏み込む。



「うおっりゃあああああああ!!!!」


 そして、雄叫びをあげながら三段跳の要領でアギリは、大きく上に飛んだ。


 アギリの大ジャンプは、連絡橋の上にまで到達して、落下を始める。


 ダン!!!


 大きな音がして着地の衝撃がアギリ達の体に走る。二人が降り立った連絡橋も心做しか少し揺れたような気がした。


 なんとかジャンプで連絡橋の上にたどり着くことはできたが、安堵している暇はない。アギリはそのまま連絡橋を後にして、再び走り出した。


 二階の通路は瓦礫がないことではないが一階より散らばっているものは少なかった。

 だが、時折上から所々瓦礫が降ってくる。その降ってくる瓦礫をするすると避けてアギリはひたすらメイン広場を目指す。


 メイン広場があるところは大きな吹き抜けになっていて今朝やってきた時にはたくさんの人でごった返していた。今はあちこちに物やオーナメントが散乱していて人影はどこにもない。

 メイン広場の二階にはすぐ側にフードコートがある。そこもカップや割れた食器か散らばっているのが見えた。


 アギリの目指す場所はフードコートのある場所から吹き抜けを挟んで反対側にある。アギリはそこに向かって一直線に走っていく。


 目の前に見えてきたのは一面ガラス張りの壁だ。


 果たしてどれほどの強度なのか。


 アギリはそのままの勢いで、ガラスに向かって突っ込んだ。


 ガッシャーン!!


 ガラスが激しく割れる音と共に、辺りの空気が外の少しひんやりとしたものに変わるのを感じた。ガラスの破片が太陽の光を反射してアギリの目に入る。


 アギリ達はガラスの破片と共に、綺麗に弧を描いて黒いアスファルトへと着地した。


 二人が降り立った先は大量の車が立ち並ぶ駐車場だった。今は避難を終えた人々でごった返している。その中に自警団の制服を来た人も何人かみうけられた。


 そして、その場の全員が突然ガラスを突き破って現れた少年少女を驚いた表情で見ていた。


「………おい!お前ら……!!」


 聞き覚えのある声がして、アギリはそちらを振り返った。そこには慌ただしくこちらに向かってくるKPの姿があった。


「あ、KP……ミズキは?」


 アギリは真っ先にそれを口にした。


「大丈夫だ。さっきまで一緒にいた………で、お前ら、今あそこから飛び出してきたよな?俺そんなこと言ったっけ?」


 KPが動揺丸出しで言った。もちろん彼はちゃんとした避難経路を二人に伝えている。


「いやー、ちょっと色々あって……」

「色々…………詳しくは、後で聞くからな。とりあえず怪我を見せた方がいい。」


 KPが促す方向には既に、自警団の者らしき人がこちらへと歩いてきていた。

 背負っているハルを見て、足を怪我したのかと思ったようで担架を持ってこようとしていた。


 だが、二人とも特に大きな怪我がないことを話すと団員は安心したような表情を浮かべて、担架の代わりに簡易救急セットを持ってきた。


 アギリは手当を受けるに当たって、ようやくハルを降ろしたのだった。

 ハルを降ろした瞬間に、アギリの体から途端に力が抜けていき思わずその場に座り込んだ。


 そしてアギリがはあ、とため息を着くと共に緊張も体から抜けていったようで、変な汗が体からふきだしたのだった。







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