hide creature6

 アギリは黒く塗りつぶされた壁の中へズブズブと入っていった。


 するとすぐに視界が白くなり別の場所に抜けた。あの部屋の壁より白い。眩しくて思わず目を細めた。


 アギリは中で真っ暗な空間が広がっているのを想像していたが。抜けたさきは真っ白な開けた空間だった。その空間の真ん中には白い大木のオブジェがあり、枝の先にはいくつものホログラムがあり世界中のニュース画面を写し出している。


 その根元にジャスティーは立っていた。そしてアギリを見るなりこう言った。


「ようこそ。''hide creature''へ」




 hide creatureは部外者の侵入を阻止するためどこかの地下にあり、出入口がない。


 そこで出入口の変わりをするのがさきほどの黒い液体だ。あれは壁に塗るとワープホールへと変化するらしくhide creatureにいる能力者が開発したらしい。


 ……と、アギリはジャスティーに説明された。


「へぇ……便利だね」

「みんなこれを使って出入りしているんだ」

「どういう原理なんだろ」

「僕もよくわかんない」


 hide creatureに所属すると個々の部屋用意される。そこを利用するものもいれば自分の部屋にワープホールを作りそこから通う者もいる。

アギリはもう少し窮屈なイメージをしていたがわりとフリーだった。個人の自由はちゃんと尊重されるようである。


 そんなかんなでアギリとジャスティーは広場を後にして、細長い廊下を進んでひとつのドアの前へとたどり着いた。アギリはドアを開ける前に壁に貼紙がはってあるのが目についた。


 乱雑な字で『共同すぺーす』と書いてあった。そのしたの方に小さくトマト………しかもなぜか潰れかけているのがかかれてあった。


「なぜ、トマト…………」

「まあ、気にしないでね」


 そういってジャスティーはドアを開けた。

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