第19話 屁理屈ではない、殺るか殺られるかなのである

いいかいジョー・・・・  ちっとばっかし痛ぇ目にあわなきゃならねぇだろうが

百の理屈よりも体で覚えるんだぜ

おめえの肉と骨のきしみで吸い取るんだ。      


                         丹下段平 「あしたのジョー」より



今日は大した話じゃないです。



私は拷問マニアで処刑マニアなので、ナチスのゲシュタポとかKGBとか特高警察とか中世の魔女狩りとか大好きなのですが、アレですよ。


今日もジムに教えたがりのおっさんらが複数人おって、入会したばかりの若者に技術的な事をいろいろ吹き込んでたですよ。その人らは他人様に教えるほど実力の伴っていない人たちです。


16年のキックボクシング経験と豊富な拷問知識から、このままでは絶対この若者がアカン選手になると危惧した私は彼のマススパーの相手を務めることにしました。

まぁ私もあんまり手荒な事はしない方ですが、こういうのは口で教えるより、身体に直接叩き込むに限ります。


若者は所詮慣れてないので、テキトーにあしらっていただけで1Rの終りからバテはじめ、2R目でちょっといぢわるして首相撲でネチネチとケガさせないように体力を奪い、3R目に前後不覚のタコ踊りをしている彼の頭を両手のグローブでつかんで、23秒間くらい前後左右上下にブンブン振って脳みそをシェイクしながらヨーグルト状態になった彼の頭脳に

「格闘技は屁理屈じゃねぇー!殺るか殺られるかじゃー!」って吹き込みました。


で、彼がついに体力を失って動けなくなったところに

やさしく語りかけます。

「痛い所はないかい?

いくら周りが、こう蹴れ、こう来たらああしろなんて言っても、それを実行するにはまず自分が練習を数こなすことが大切さ。策なんか練ってても意味なんかないのさウフフッ…」と吹き込みました。厳しくしてから優しくするとか、イスラム国が自爆兵を洗脳する時によく使う手法です。


本当は周囲の教えたがりのおっさんらに言いたかったことなんですが、そのおっさんらは相変わらず「掴まれないようにこうしてああして~」とか言っていて、お前らも全員まとめて脳みそヨーグルトシェイクにしたろかと思いましたが、そんな事をしても、おなかが減るだけなのでやめときました。


私も若い頃に真面目に取り組んでなかった事を後悔してはいますが、それでもこのおっさんらとは、今までに流した無駄な努力のクソ涙の量が違うと思います。

確かに私は効率悪く、頭悪いやりかたで遠回りをしました。

でも近道なんかないのも事実です。


実際、あのおっさん連中が吹かしている技術や知識がそんなに大したものなら、是非とも私との対戦を通じて実証して欲しいと思います。まず実行できませんから。


今時の人はみんな「はじめの一歩」を読んで、格闘技はそういうものだと思っているみたいですが、

私が大切にしているの」は「あしたのジョー」だったので・・・


ああいう実力の伴わない技術偏重型の人たちを野放しにしておくのは格闘技界としてどうかと思いますが・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る