ファーストキスはレモン味、って誰が言ったの。

ファーストキスって、レモン味だと思ってた。

そんなことなかった。

何レモン味って。

最初に言った人、レモン味の飴でも食べてたんじゃないの?


「全然レモン味じゃないね。」

「それな。」


さっきまでモモ味の飴食べてた私と、

さっきまでリンゴ味の飴を食べてた彼。

でも全然、そんな味はしなかった。


「てか、味なんてしなくね?」

「しない。……触れるだけだから?」

「……あーね。」


表面だけで、味がするわけないか。

味を感じるのは、舌だし。

唇同士じゃ、味なんかしないか。

かと言って、そんな、えっちなキスをする勇気もなく、まともに顔が見れない。


「……。」

「……。」


彼も同じらしかった。

くっそ恥ずかしい。

もうこの話題終わりにしようかな。

そろそろ課題しなきゃだし。


「……ねぇ、ここわかんないんだけど。」

「……どこ。」


今はテスト期間なわけで、明日で最後で、赤点全力回避しなきゃならないわけで。

と、なんとか頭を勉強の方へフル回転させる。

明日は数学と日本史。

いつも通りやれば、できるやつ。

だから、上を目指して。


「ここは、これを代入して、」

「うん、こう?」

「そうそ……」


ぱっと顔をあげれば相手の顔がすぐそこに。

さっきまで変な事考えてたから恥ずかしい。

くっそ集中出来ない……。


「……これであってる?」

「あってる。」


なんとか雰囲気を勉強に戻したい。

……けども。

小っ恥ずかしい空気はなかなか戻らないわけで。

どうやったら戻んのこれ。

いっそやるしか……????


「変な事考えてんじゃねぇよ。」

「え?!」

「顔に出すぎ。バレバレ。」

「……。」

「集中しろバカ。」


……くっそむかつく。

バレバレとか。最悪かよ。


「……おわったらな。」

「へ?」

「全部終わったら、続きな。」

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