涙。2nd

あれから私は、学校を本当に辞めた。

そして、先生のところにお世話になっている。

通信制で今のところ高校は頑張っている。

寝ても寝ても、単位を落とすことはないから、自分のペースで頑張れる。


「ただいま。」

「おかえり先生。」

「おいおい、もう先生じゃないぞ~。」

「あ、つい……。」


もうすでに3ヶ月くらいは経つのに、未だに先生って呼んでしまう。

山田恭弥。恭弥って呼べって言われてるのに……。


「由姫。今日はどこまで出来た?」

「……ここまで。んと、10ページ。」

「へぇ、流石だな。もともと勉強はできる方だもんな。」


褒められて嬉しくなる。

名前を呼ばれるのは未だに慣れない。

くすぐったくて、恥ずかしくって。

顔がまともに見れない。


「ん?どした?由姫」

「……まだ、名前呼び、慣れなくて。」

「ふっ、可愛いなぁいつまで経っても。」

「……子ども扱いしないでよ。」

「してないよ。おいで。」


手を広げておいでという恭弥さんの腕にすっぽり収まる。

背中を向けてだけど。

この方が、顔見えないし、でも抱きしめられてる感じが、好きだから。


「まぁ、年は離れてるけどさ、大事な大事な恋人だと思ってるからな。」

「……うん。」


直接好きって言われるより、すごく恥ずかしい。

でも、嬉しい。

私はちゃんと愛されてるんだって思える。

でも、時々不安になる。

恭弥さんの職場には、綺麗な先生がいたり、若い人がいたり、私と同じ高校生だっている。

いつそっちへ行ってしまうか分からないから、怖い。


そんなことを考えると怖くて怖くて、おもわず恭弥さんを抱きしめてしまう。


「……大丈夫だよ。俺はどこにも行かない。」

「……うん。」


すぐに、わかってくれる恭弥さん。

私もわかってる。

恭弥さんは、ちゃんと私を愛してくれている。

不安になることは何も無い。


「飯食うか。」

「ん。今日は、肉じゃが。」

「お。由姫の作る肉じゃが大好きなんだよな~。」


きっと不安になるのは、まだ理由はある。

恭弥さんは、まだ私に手を出してくれない。

しても、キスまで。

私に魅力がないのかなとか思っちゃう。

けどそれは、恭弥さんなりに、私を大切にしてくれてるってわかってる。

けどまぁ不安にはなる。


「はい、食べよ。」

「いただきます。」

「いただきまーす。」


不安にたくさん思うけど、大丈夫。

愛されてるって、信じとこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る