昔のお話⑪

その後、幼馴染が帰ってからスマホで「性欲がわからない」と検索して、ノンセクシュアルにたどり着きました。


たぶん、幼馴染の一件がなかったら自覚を持てなかったけど、「あ、これだ」って思うことができました。


諦めきっていたからでしょうか。

もう別に辛くもなかったです。

むしろ、今まで宙ぶらりんだった自分の居場所があできたことに少し安心したくらいです。


あれほどみんなと同じがいいと望んだ、中学のときに感じていたほどの恐怖感がなかったのは、ひとえに周りの環境が変わったからだと思います。

高校に入ったら、周りのみんなの考え方が大人だなって思ったから。


中学のときはだいたいみんなと違う考え方や、違う行いをするとハブられたり、輪に入れてもらえなかったりしたけど、高校のみんなは違いました。


中学の中で「ほんとこいつらガキだわ」とか思って周りを見下してた自分が恥ずかしいくらいに大人です。いろんな意見を持っていてちゃんとそれを口に出す勇気もある。

みんなが私の憧れです。


自分がノンセクシュアルだと自覚したことで色々吹っ切れました。

恋人を作らない決心は強まりました。(ホントのことを言うと一度断りきれずに先輩とお付き合いをして、キスで怖気づいて別れてもらいました…)

友達を大事にしていこうと思いました。

好きになった相手は思いを伝えないままに大事にしようと思いました。

好きな人が幸せでいてくれたら、もうそれで十分です。


正直、ノンセクシュアルなんて欠陥品とお付き合いしてもらうなんて、相手にとって時間の無駄になる。って思うこともあります。

男の子と付き合っても私は普通の恋愛をしてあげられないし、女の子との恋愛はまず難しいですしね笑


たまに、自分が周りと決定的に違うことで周りに理解されなくて傷つくこともあります。

私が、大丈夫って思えることと、これは普通友達ではしないってことが食い違って失敗することもあります。


でも、もう二度と自分のことを嫌いになることはないと思います。

もう嫌いになりたくないから。


「自分と一生付き合っていくのは自分、自分が自分のことを世界で一番愛してあげよう。認めてあげよう。誰が否定したってこれが誇るべき私という個性。」


って恐ろしく恥ずかしいナルシスト発言をしながら自分を抱きしめて、私は一生自分という厄介者とお付き合いしていきます。

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