しあわせだね、メアリー。

遊月奈喩多

Tale1.メアリーとおじさん

 森の近くにぽつんとある、小さなおうち。

 そこには、メアリーが住んでいます。太陽の光を受けて輝く金色の長い髪の毛と、そんな太陽に負けないくらい明るい笑顔がとても可愛らしい、素直で明るい女の子です。


 おうちには、メアリーのほかに、おじさんが住んでいます。

 クマのように大きな体をしていて、のそのそと歩くところなんて本当にクマみたい。だけど、とっても優しくて力持ちで、いろんなことを知っている、メアリーの大好きな人です。お菓子作りもとっても上手で、このあいだ作ってくれたマフィンなんてほっぺたが落ちそうなくらいおいしかったのです!


 メアリーがおじさんのことを好きな理由は、他にもあります。

 おじさんは、メアリーに毎日ご飯を食べさせてくれます。美味しくて、食べる時にはいつも顔がにやけてしまいます。温かいミルクだって毎日飲ませてくれますし、お風呂にも入れてくれます。それに、寝るときなんてメアリーが眠りにつくまでずっと傍にいてくれるのです。

 優しくメアリーの肩を抱いて、傍で笑ってくれています。

 そうして、何度もメアリーに囁いてくれるのです。


 だいすきだよ、メアリー。

 だいすきだよ、メアリー。


 そんな優しい声に包まれて、メアリーは夢の世界へ旅立つのです。いつも先に眠くなってしまうから言えないけれど、メアリーもおじさんに言ってあげたいのです。

 おやすみ、おじさん。

 わたしもおじさんのこと、大好きだよ、って。


 ずっと一緒に、ふたりのおうちで仲よく暮らしたいと願いながら、メアリーは眠ります。


 おやすみ、おじさん。

 また明日もいっぱい遊ぼうね。

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