絵日記ミケちゃん

水玉猫

笑う鬼さん

笑う鬼さん

 今日きょうは、クリスマス。

 みなさんは、サンタクロースさんから、プレゼントをもらいましたか?

 三毛猫のミケちゃんは、どんなプレゼントをもらったのかな。


 ミケちゃん、ミケちゃん、サンタクロースさんから、プレゼントもらった?




 ミケちゃんは、ニコニコ笑顔で「うん」とお返事。

 クマパンちゃんが、ミケちゃんの横から言いました。クマパンちゃんは、ミケちゃんと大の仲良しのクマのぬいぐるみです。

 「ミケちゃんはね、『鬼さんが笑っちゃうようなもの』を、サンタさんから、もらったんだよ」


 


 えっ、何、それ?




 「それでね、ぼくは、サンタさんから、絵の具箱をもらったの!」

 クマパンちゃんは箱を開けて、絵の具や絵筆を見せてくれました。




 あら。よかったね、クマパンちゃん。

 絵の具が減ってるから、もう、何か、描いたのね。




 「ミケちゃんが、描いたんだよ」と、クマパンちゃん。


 「クマパンちゃんだって、9月と12月は、いっしょに描いたじゃないの」


 「うん、ミケちゃん。絵を描いてる時、鬼さんじゃなくても笑っちゃうくらい楽しかったよね。」




 ??????????

 ちょっと待ってよ、ミケちゃん、クマパンちゃん。何のことだか、わからないよ。もっと、わかるように、話してくれない? 

 クマパンちゃんが仕方ないなって顔をしました。ごめんね、水玉は、物分りが悪くて。




 「ぼくのプレゼントの絵の具と筆で、ミケちゃんのプレゼントに絵を描いたの」




 ふむ。ということは、ミケちゃんがサンタさんからもらったプレゼントには、絵が描けるってことね。




 「そうよ」

 ミケちゃんは、サンタクロースさんからのプレゼントを見せてくれました。




 まあ、かわいいカレンダー。

 毎月ミケちゃんの写真が載ってるカレンダーなのね。

 ステキなプレゼント、よかったわね、ミケちゃん。

 あら、ミケちゃんの写真の横に、絵が描いてある。

 つまり、この絵を、ミケちゃんが描いったってことなのね。




 クマパンちゃんが口を尖らせました。

 「9月と12月は、ぼくも手伝って描いたんだよ」




 ああ、そうだったわね。クマパンちゃんも上手じょうずに描いたわね。

 ところで、クマパンちゃん、さっき、ミケちゃんがもらったプレゼントは、『鬼さんが笑っちゃうようなもの』って、言ったよね。

 どうしてカレンダーが、『鬼さんが笑っちゃうようなもの』なの?




 「来年のことを言うと、鬼が笑うっていうでしょ?」クマパンちゃんは、ほんと、このひと、物分りが悪いなって顔で言いました。「ミケちゃんたらね、カレンダーに、来年のできごと、もう、描いちゃったんだよ」


 


 あら、予定なら、いいんじゃないのかな?鬼さんだって、それくらいじゃ、笑ったりはしないでしょ。




 「ちがう、ちがう」

 クマパンちゃんが、大げさに前足を横にふりました。

 「予定じゃないんだよ。絵日記だよ」




 絵日記?




 「そうだよ。ミケちゃんたら、カレンダーを、来年の絵日記にして、ぼくの絵の具で、12月まで描いちゃったんだよ」




 ……それって、つまり、来年の絵日記を1年分、もう、描いちゃったから、鬼さんが笑う……ってことなのかしら、クマパンちゃん。




 「そうだよ。少しは、物分りが良くなったね」




 ……ありがとう、クマパンちゃん。




 「鬼さんだって、笑うといいよ」

 ミケちゃんが、うれしそうに言いました。

 「笑うってことは、楽しいってことでしょ?鬼さんが笑っちゃうほど、来年は楽しい一年になればいいなって、あたし、思うの」




 うん。それは、そうね。ミケちゃん。

 だから、鬼さんが笑っちゃうような楽しい来年の絵日記を、サンタクロースさんのプレゼントに描いちゃったのね。


 さてさて、ミケちゃんの目論見もくろみ通りに、これから来る一年が、鬼さんだって笑っちゃうような楽しい年になるのかな???


 2018年、ミケちゃんがカレンダーに描いた絵日記のお話を、毎月皆さんに紹介していこうと思います。

 もうすぐやってくる新しい年が、これを読んでいる皆さんにも、良い一年になることを願って。



2017年12月25日 クリスマスの朝。

水玉猫

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