第24話 焼きそばの名前じゃなかった

 動こうとした先輩が唇をかんで、大きな砲をこちらへ向けている兵士たちをにらむ。ラヴィニスは私のそばでにこにこしたままだ。


 違う国らしき兵士たちが、その砲や弾頭を見て何か対応するのか、あわただしく動き出した。


 その動きを、私たちだけでなく、ラヴィニスの部下たちも見ている。


 兵士たちの足音と、時々地震が起こる以外、音がしないような錯覚がする。その中で下っ端が一人、授業中の小学生のようにびっと勢いよく手を挙げて早口で叫び出した。


 一斉に沢山の目がそいつを向く。私には、そいつが私に向かってタックルしようと走り込んでくるように見えた。そいつも多少唱石を使えるみたいだ。私は、エリートっぽい五人以外の適合者はしょぼいと油断していたから、対処できずに突き飛ばされた。そいつはラヴィニスの手首を切り落とし、距離を取ると、掲げ持って、軍歌ぽいものを歌いだした。各国軍の兵士が何人か騒ぎ出す。


 ラヴィニスの呟きとそいつ自身の言葉で、私はそいつが、欧米の一部で有名な過激な政治団体の構成員だということを知った。


 地震がひどくなり、遺跡や周りの岸壁が大きく崩れ出したので、私はラヴィニスを担ぎあげて飛んだ。


 洞窟を抜け、トンネルを抜け、山肌から離れて辺りを警戒していると、山の向こうから、UFOが上がってきた。丸いどんぶりをひっくり返し、ボールを下にくっつけたような、昔のSFっぽい円盤型した、黒や抹茶色の巨大なUFOがひとつずつ浮上して、五つくらい浮かんだところで、消えた。


 トンネルの入り口が爆発して、戦車とか変な飛行機?が出てくる。周りの反応を見聞きしている限り、昔の戦争当時のものでも変なビーム砲が鎮座してたり、ありえないオーパーツ的材質で装甲が増してあったり、妙にでっかかったり、逆に小さくて高性能だったりするらしい。

 UFOと飛行機が縦向きになったみたいな変な奴がどんどん飛び立って、あっちこっちに散らばっていく。そして、飛び去らないものは、辺りをめちゃくちゃに攻撃してる。


 逃げ惑う兵士やこの期に及んでまだ歌をちょこちょこ継ぎ足してるラヴィニスを、あとから次々沸いたUFOやら魔改造戦車やらの攻撃から守るだけで手いっぱい。


 謎の兵器いっぱいとラヴィニアの歌、早く両方何とかしないと世界がやばい。



 急にサユちゃんとマイカちゃんが近づいてきて、ラヴィニスを拘束して私の腕から引っ張り出した。


「おじさん、ちょっといいかな。」

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