第19話 2018年に読んだ本から。

 あちこちで書きまくってる通り、私生活上でもカクヨム上でも大変だった2018年が去り、2019年がやってまいりました。平成はの三月いっぱいまでのようですが、感慨といったものはとくにありません。ただ旧年よりは充実な年にしたいなという思いがあるのみです。


 さて、今年も年をあけたタイミングで一年の振り返り企画として読んだ本のうち印象深かったものを紹介することのしました。

 といっても、2018年の趣味の時間はカクヨムの「カク」に費やしていたせいでほとんど本が読めませんでした。ここ数年では一番読めなかった年になりますね……。おかげで積読はたまり、図書館には迷惑をかけ……と遠い目をしてしまいます。

 そんな中でもやはり心に残る本というものはあるものです。むしろあまりよめなかったからこそかもしれません。


 前置きを長くしても仕方ありませんのでそろそろ本題に入ります。書評などではありませんが、今回もちょっとしたあらすじや感想を添えておきます。ものによってはネタバレしてしまうかもしれませんが、ご容赦ください。




・『次元を超えた探し物  アルビーのバナナ量子論』

  クリストファー・エッジ、横山和江訳

 アルビーの両親はともに高名な科学者。しかし、ママがガンで世を去ってしまう。その事実がなかなか受け入れられないアルビーとパパだが、ある時図書館でパパの書いた本を読み、量子力学のことを知る。量子論の世界ではパラレルワールドがある→ならばどこかにママの生きている並行世界があるはず……と考えたアルビーは段ボールと腐ったバナナとお隣さんの猫とママの遺したパソコンでパラレルワールドを行き来する装置をDIYして並行世界を旅するのだった――という筋のジュブナイルな児童書。みんな大好きだけど私はなんだかよくわからない、シュレディンガーの猫が出てきます。

 SF嫌いじゃないけど難しいことよくわかんないなぁ……な私のようなやつでも楽しめる読後さわやかな物語なわけですが、印象深いのはスマホやタブレットあったりまえな現代の子供の生活が自然と出ているところ、また科学者の両親が、二人の結婚式は粒子かなにかの研究に最適な洞窟か何かで自分たちの好きな曲(何かはわすれてしまいましたが洋楽の有名な曲でした)をかけるといったプランを練っていたせいで、イギリスの田舎町に暮らしている保守的なパパのおじいちゃんを「教会で式をあげんのかい!」とばかりにびっくりさせるといった何気ない描写が好きでしたね。

 こういう描写で「科学者カップルや、科学者を身内に持つ人の感覚ってこういものかも」という説得力を出すのはやっぱり翻訳ものに一日の長があるように思います。



・『メガネと放蕩娘』 山内マリコ

 かつては隆盛をきわめた歴史ある地方の商店街、しかし現在はその凋落も激しい。そのことに気が付いた商店街の書店の娘で「町っ子」としての自覚のあるアラサー市役所職員の姉が、元ヤン気質のシングルマザーな妹が東京から帰郷してきたのをきっかかけに商店街の立て直し事業にのりだすのだが……という、地域おこしがテーマの小説。

 みんなが同じ夢や目標を掲げてプロジェクトに取り組んだお陰でプロジェクトは大成功、やったーばんざーい! という風にはいかないところに商店街再興や地域おこしの難しさを感じさせる、ルポタージュ風味の強い小説でもあったように思う。

 そもそもどうして「商店街」を残しておきたいのか、それはノスタルジーやエゴではないのか? そもそも街とは何か? という問いかけに発展してゆくところが、ロードサイド文化や都市文化について書かれることがが多いこの著者ならではな視点だな、と思ったような記憶が。



・『ジェリーフィッシュノート』 

  アリ・ベンジャミン、田中奈津子訳

 最悪の別れ方をしたまま引っ越した親友のフラニーが海でおぼれて死んだと聞いたスージー。その事実がなかなか受け入れられないスージーは、フラニーはただ海でおぼれたのではなく、猛毒のクラゲに刺されて死んだのではないかと考える。ひたすらクラゲとその研究者について考えたスージーは、信頼できそうな研究者に会うためにたったひとりでオーストラリアへ旅立とうとする。

 女子と女子の関係を扱った翻訳もののYA。フラニーが死んだと聞かされたあとの現代パートと、大親友だったのに、思春期を迎えて一人先に大人の世界へ旅立ってゆくフラニーに独自の世界観を有するためにみんなの輪に入れず置いてきぼりを食らってしまうスージーの孤独と焦燥を募らせる過去パートが交互に語られる構成になっている。

 この過去パートが、小学校高学年以上の女子社会あるあるといった感じでとにもかくにも胸をさすといいますか、胸を引っかかれてとにかく堪らなかったので印象深い。



・『ザ・ガールズ』 エマ・クライン 堀江里美 訳

 中年女性であるイーヴィーが住み込みで管理している別荘に、持ち主のドラ息子とガールフレンドらしき少女がやってくる。見るからに家出中の二人をとりあえず受け入れることにするイーヴィーは、ドラ息子の顔色をうかがうようなガールフレンドの少女・サシャから目が離せなくなる。

 1969年にミュージシャンの家を襲撃して男女四人が惨殺されたという世間を大いに騒がせた猟奇事件の犯人グループに、当時十四歳のイーヴィーは強いかかわりを持っていたが、彼らから最後の犯行に誘われなかった為に事件には関与しなかったという経歴を持つ。そのためにボーイフレンドの言動を受け入れようとしてしまうサシャにかつての自分を重ねてみてしまうのだった――。

 チャールズ・マンソン事件を題材にした小説だけどもあくまでもそれはモチーフで、自己評価が低い思春期の少女が、異性からの評価を絶対視し場の空気やノリに逆らわずにへつらうことで「自分は必要とされている」という感情を埋めようとする痛ましさや辛さに主眼が置かれたような小説。とりあえず仲良くしているけれど根本的に話が合わない幼友達との関係に倦んでいた時に、自分とは違う環境で育ってきたような年上の不良っぽい女性に憧れてしまう――というようなところも、普遍的なものがあってよかった。裕福であっても家庭環境に恵まれない家の子だったイーヴィーを後に猟奇事件を起こすことになるグループに誘うことになるスザンヌの関係がやっぱりよかったですね(この辺はまあ、私の趣味というやつですが)。

 読みながら、数年前に世を騒がせた某オタキング氏の愛人騒動などが典型的なサブカル系文化人に心酔して利用されていると気づかないまま利用される女子の問題などを思い出してしまわずにいられない小説でした。



・『完璧じゃないあたしたち』 王谷晶

 シケた地方に住んでたり、働けど働けど貧乏だったり、ろくでもない親の下で暮らさざるを得なかったり、東京にいたけれどさまざまな理由で故郷に帰らざるを得なかったり、なんとなく結婚したらなんとなく主婦になっていて義両親の介護なんかをしているような主婦になっていたり、東京にいる外国人同士だったり、どこにでも普通にいるような、特にきれいでもかわいくもなく、年代もさまざまな女子がもう一人の女子と出会って何が起きるかを書いた短編集。

 この世界への違和感を抱いている一人がもう一人と出会って爆発する様がとにかく胸を打つといいますか、ああこういうのが読みたかったなといいますか、もっと言えば、あまりかわいくもきれいでもないがゆえに尊い女子と女子の世界はずっと書きたかったけどそういうのはプロがすでに上手くやってらっしゃるよなぁ、そりゃあ……とせんもない敗北感にとらわれたりした小説集でした。

 好きなのは、だんだん淡水魚に変化してゆく幼馴染をため池に放しにゆくようすを北関東のヤンキー女子目線で語ったもの、落ちぶれた演歌歌手の娘が図抜けた歌唱力を持つ女と出会って何が起きたかを語るもの、夜逃げした居酒屋にたまたま出くわした二人の女が軽トラで逃亡するもの、客に罵られながら場末のスナックで働く女子と中国人ホステスのふれあいを語ったもの等でした。



・『三美スーパースターズ最後のファンクラブ』

  パクミンギュ 斎藤真理子訳

 1982年、主人公がなぜか名門中学に入学することになった記念すべきついに韓国でも開幕したプロ野球。地元チームである三美スーパースターズを当然のように応援することにした主人公たちだったが、その球団はとんでもない大敗記録を打ちたてることで話題を呼ぶようなありさま。地元民や野球少年たちに恥の感情を植え付けてはその心を打ち砕き、数年後には消滅し、主人公は名門大学に入学する。

 時代が過ぎ去って1998年のアジア通貨危機で身も心もボロボロになった主人公の精神を、かつてのダメ球団が救うことになるのだった――という感じの小説。

 パクミンギュのデビュー作らしい小説。この人の小説はSF的というか、奇想寄りのものが好きなところがあるのだけれど、いい意味で軽くて笑えるところが多いのでやっぱり好きだな~……となっていた。あまりにダメすぎる地元球団に絶望し、強豪チームのファンの前でダメすぎる地元球団グッズを持っている中学生の屈折した心理などの書きっぷりが切ないがとにかくおかしかった。



・『彼方の友へ』 伊吹有喜

 かつて少女たちに絶大な人気を誇った『乙女の友』という少女雑誌に、ある男の口利きで小間使いという形で働くことになった佐倉ハツ。父親は行方不明で女学校には進学できず高等小学校しか出ていないハツにとっても『乙女の友』は手の届かない夢のような雑誌だった。なんのコネももたない無力な少女であるハツが編集部で働けるたのは戦争を直前に迎えた時代の思惑もあったのだが、ハツは特に憧れの存在だった主筆の有賀や美意識の高い画家の長谷川の影響を受けつつ賢明に働き、記者から作家として成長しながら戦争へと突き進む時代を生きてゆくのだった。

 伝説的な雑誌『少女の友』の世界をモデルに、名もなく後ろ盾もない少女が運命に導かれるような形でめくるめく体験をしながら成長するという王道の少女漫画・少女小説的な展開が懐かしくも嬉しくて楽しい小説だった。『少女の友』の名編集長だった内山基、この当時は売れっ子挿絵画家だった中原淳一、そのほか戦前戦後の有名人をモデルにしたらしき人達が出てきてロマンを感じた。

 小説内に登場する架空の小説が気になるという癖が私にはあるのだけれど、『乙女の友』の連載小説や掲載されるに至らなかった小説がその癖を刺激しました。ハツのライバルという形になるベテラン女性作家が書こうとしたけれど没になった古代ギリシャの少女たちが集う学び舎の小説とか、ぜひとも読んでみたかったものです……。

 


・『ミシシッピ・シークレット』 リジー・ハート 安藤由紀子訳

 ミシシッピ州ビロクシーで銀行員としていやいや働きながら、毎夜パソコンに向かい心血注ぎながらカウボーイ詩人が登場するロマンス小説を執筆している冴えない三十代未婚女性のはずのルシール。なのに、本人の知らないところでな妙な組織に身辺を嗅ぎまわられている。彼女や彼女の行く末をとにかく案じている兄夫妻の周辺で怪しい人物が現れる中、ビロクシー在住アマチュア女性作家集団WOMBのメンバーもそれぞれ不可解なトラブルに巻き込まれる。それはどうやらルシールを狙う謎の組織にかかわりがあるようだ……というところから、元ナチスのスパイやら宇宙人やら遺伝子を改造した謎生物やらが出てくるけれど、ヒロインのルシールは最近できた吸血鬼みたいな外見の恋人と常に自分が執筆しているカウボーイ詩人の登場するロマンス小説のことで頭をいっぱいにしているのでした――という、なんだかとてもB級アクションな小説 

 昔々買っていた小説。どんな拷問にも耐え抜いてきた歴戦の極悪スパイがルシールの書くロマンス小説を朗読するとあっさり許しを請うて重要情報をゲロったところを妙によく覚えていたけれど、ほかのところをあまりよく覚えていなかったので読み返した小説。そしたらまあ、個性がきつくて妙な性格のお姉さんたちが自分の夢や願望を叶えるためにムカつく奴をぶっ倒すというアホらしいけれど非常に私好みな小説であり、つくづく三つ子の魂百までなんだな……と思い知らされたために思い出深い読書となった。

 作中では常識人的な立場にあるけれど昔のテレビドラマのコスプレをしていちゃつくのが趣味なルシールの兄夫妻(妻のアイリーンが私好みの人だった)だとか、性格や境遇に一癖二癖抱えているけれどいつか自分の書く本を出したいと夢見て活動するWOMBの面々がそれぞれ個性的なファッションに身を包んでいて、映像映えしそうなところもよかった。

 投稿サイトをの隆盛から、小説を書く人口がこれだけ多いということや、いわゆるう完成度の高い小説のみが人々の心を打つのではないということがが立証されたような現在こそ、身内からさんざん馬鹿にされても、大切な作品を仲間たちから拷問器具扱いされても、己のロマンを詰め込む小説を書き続けるルシールは現代日本でこそ輝くヒロインの一人なのではないだろうか……と適当なことをぶち上げておく。東京創元社さんは復刻すると良い。売れるかどうかはわからないけど。



・『降伏の記録』 植本一子

 ここ数年新刊が出ると読んでいる、写真家・植本一子さんのエッセイというか日記というか、私小説的な本。実母と絶縁したあと夫である癌に侵されているラッパーのECDさんの闘病の日々が書かれる。

 とにかくすごいの一言しかない。闘病中で苦しむ夫がいる家にいるのがつらい、一緒にいたくない等読んでる方が「そんなことまで書いていいのか?」と心配になるようなことがあらいざらい書かれている。日々のことに疲れて誰かにすがらないとやっていられない心境や、信頼のおける仕事仲間や友人の一言で傷ついたことなど、無関係な立場にいるとつい訳知り顔で「もうちょっと上手にやりなよ」と賢しらな口を挟みたくなるようなことも全て。そこまで吐きつくさないとやっていられなかった心境があとがきにかかれているけれど、これもまた迫力がある。

 植本さんの本を読むときは大体、ここまで書きつくしてくれている人がいるから、救われるところもあるよなぁ……という心境でいつも読み終える。今回もそうだった。



・『スタア誕生』 金井美恵子

 親の都合で小さい頃の一時期預けられていたモナミ美容室には三人の娘と一人のマダム、京都の撮影所にいたことがあるおばあちゃんがいて、とりとめのないおしゃべりをしていた。話題になっているのは、みっちゃんと呼ばれているかつて美容師見習いだった女の子のこと。彼女はニューフェイスとして撮影所の大部屋女優になっていた。彼女が送る手紙や、大人たちの噂話、映画の記憶がまだ子供だった語り手の中で溶け合って記憶されている――。

 好きだった『噂の娘』という小説の続編。少女時代の記憶に揺蕩っていたあたりから現代のシーンにさっと連れていかれる、夢から覚めるような重力にとらわれるようなあの感覚が本当にすきなんだけれども、これ以上何をどう語っていいのかわからんというか、おれに金井美恵子の小説について語ることができるものか! 恐れ多い! と誰かに対して逆ギレして終わる。とにもかくにも新作が読めてうれしかったです。読んでいた最中、書いていた箇所にモロに影響が出てしまったところがある。恥ずかしい。



・『リンドグレーンの戦争日記 1939-1945』

  アストリッド・リンドグレーン 石井登志子訳

 三十二歳の事務員で主婦だったリンドグレーンが、第二次世界大戦前夜から終戦までの日常を記録した日記。新聞記事をもとに当時のソ連やナチスの動向に両陣営に対する怒りや恐怖、フィンランドやノルウェーに対する同情、物資に不足するなど不自由な生活を強いられていてもヨーロッパでほとんど唯一平和な日常をすごすことができるスウェーデンで生活できる複雑な感情、戦争中であってもそこにある日常生活の喜びや悲しみなどが綴られる。そしてまた途中から検閲局につとめていたこともあって亡命してきたユダヤ人の手紙等を通じスウェーデンから海を挟んだナチ占領下の様子を知ることができた立場での意見なども。

 とにもかくにも非常に詳細な記録かつ自分んの意見を形にあらわした日記なわけであるけれど、これを記録していたのはまだまだ作家デビューする前(1945年にピッピの出版話が出てくる)の、夫が名士だったために比較的余裕のある立場にいたとはいえ社会的には普通の主婦だったころに誰に勧められたわけでもなく自主的に「これからのことは記録せねばならない」と思い立って日記を書き始めたということが何よりすごい。作家になるべく生まれた人は誰に言われなくてもそうなるべく行動してるんだなあ……というしかない。でもってこの日記を書き続けた日々が後の傑作につながっているんだろうなあ、と。

 この当時のソ連の動き、フィンランドやロシアに対して何をどうした、そしてスカンディナビア半島で生きる人々はどう感じたか、ナチスに対して手一杯でソ連に苦しめられる北欧の人たちは後回しにせざるを得ない連合国に対する歯がゆさのようなものが克明に描かれているので、第二次大戦ものを書きたい人の資料としてもかなり有益な本なのではないかと思う。

 それにしても検閲局でユダヤ人に送られてきた手紙を読むことによってナチスのホロコースト事情をそれなりに接することもあったのって一介の主婦にとっては大変な重圧と負担のある仕事だったのではないか……と想像してこっちの胃まで痛くなるのだけど、そんな中でも長男で高校生のラーシュは友達と遊び惚けるは、ダンスパーティーに行くわ、危うく落第しかけるわでリンドグレーンに心配をかけまくり、ラーシュ! お前! せめて勉強だけはしろ! と声をかけたくなるところに味わいがあった本。――まあ、ラーシュもきっと青春期で悩まざるを得ない事情でもあったのだろう、きっと。



・『最後にして最初のアイドル』 草野源々

 大成できないまま死亡したアイドルを生き返らせた結果進化したすごい生き物になってとんでもないことになる表題作と、ソシャゲ廃人が転生した世界で異世界でアメーバ状の生き物からずんずん進化してガチャを回してゆく「エヴォリューションがーるず」、発声器官を進化させたことで重力を自在に操れるようになった声優が太陽系を暴れまわる「暗黒声優」の三本立てな最近話題の百合SF小説集。

 このあらすじで私がSF小説について語れる力がまるでないことはお判りいただけることと思う。わからないがわからないなりに「おお、なんかしらんがムチャクチャですげえな」という感想にたどりついたということは面白かったのだと思う。地球から重力が失われてゆくスペクタクルな光景と色々とガラッパチな女の人たちが宇宙を派手に暴れまわる様子がわかりやすかった「暗黒声優」が非常に好みでしたね。ドロシー・ウェストさん風なしゃべり方をするキャラクターがいたのもちょっと嬉しかった。



・『優しい嘘』 金呂玲、 金那炫訳

 中学生の少女、チョンジが自殺する。親友ファヨンの誕生日プレゼントにMP3プレイヤーをねだって母親に断られた次の日だった。一見なんの問題もなかったチョンジはなぜ自殺をしてしまったのか、どうして自分たちはそれに気づけなかったのか、姉のマンジはそれを突き止めるべく動いてゆく。そしてチョンジの親友という立場でいながら実はチョンジをいじめていたファヨンは動揺し、二人の同級生でチョンジとマンジ姉妹にかかわりのあるミラは複雑な感情をつのらせる。

 韓国のYA風小説。少女が自殺したあとに浮かび上がる、いじめに貧困問題、DV、親同士の不倫問題――という、一筋縄でいかない諸問題が横たわる様子が描かれる。

 マンジ・チョンジの姉妹は母子家庭、マンジの親友のミランとチョンジとファヨンの同級生であるミラ姉妹で父子家庭育ちで、その父は暴力的な上にチョンジ・マンジの母と不倫をしている。いじめっ子のファヨンも昔ながらの町中華屋の娘であまり裕福ではなく忙しい両親からは放置気味に育てられている。少女の自殺の背後には現代社会の閉塞感と息苦しさがあり――という風に読みたくなるが、十代女子の人間関係を描いた小説として普遍的な良さがあったと思う。ただし訳文はどうにかしてほしかった……。

 しかし登場人物たちがおやつ感覚でジャージャー麺をよく食べていたのが印象的だった。お好み焼きとかタコ焼きとか、そういう位置の食べ物なんだろうか。



・『スチーム・ガール』

  エリザベス・ベア 赤尾秀子訳

 蒸気機関の発達した架空のアメリカ西部のラピット・シティ。そこの娼館の縫子の一人であるカレンは夢のためにお金を稼ぎながら仲間たちと平穏に過ごしていた。そんなある日、インド人の少女プリヤが店に飛び込んでくる・プリヤは街の有力者であるバントルに追われていた。カレンはプリヤに惹かれて彼女を守ろうと決意する。そのころ同時に街には背中を鞭うたれた娼婦の変死体が発見されるという事件がおこり、その犯人を追って黒人の保安官がやってくる。どうやらこの事件とバントルの悪だくみがこの街で進行しているようで――というような、スチームパンク少女小説風百合活劇。少女が蒸気機関で動く各種ガジェットが登場していたような気がするがメカ類に関しては脳が働くなるところがあるため、記憶があやふやですみません。

 展開に引っかかりを感じないでもなかったが、人種民族性的嗜好その他各種マイノリティの合同チームが悪い人々に対抗する展開は好みといえば好みであるし、カレンもプリヤも意志が強く勇敢で賢い女の子である点がやっぱりよかったなあ……と。というか、これを読む数か月まえに娼館百合小説書いていたので、書き終えてから読み出してよかったとしみじみ感じた小説でもありました。書く前、もしくは書きながら読んでいたら確実に影響受けてましたね。



・『デートクレンジング』 柚木麻子

 アイドルグループ「デートクレンジング」の名物マネージャーだった実花。心血そそいで支えてきたグループが解散して以来どうにも元気がなく、婚活など本来のキャラクターではなかった行動に向かいだす。婚活ブロガーと交流を深め、もともと持っていた魅力を失ってゆくような親友の姿が、美人で女性アイドルを追いかけていた実花を学生時代から見ていた佐知子は見ていられない。が、主婦という立場からはうまく言葉が伝えられない。二人はよくある「女の友情は長続きしない」の言葉におちついてしまうのか――という小説。

 女の友情とは、アイドルとは、同性が同性を応援したくなる感情とは……? という個人的に好きなテーマを扱っていた小説。ただちょっと理念や理論を語るところが多くて物語としての躍動感に欠けていたのが惜しかったなあと思わんでもない。もっとはっちゃけてもいいのになあ、と。

 ただやっぱり好きは好きで、特に佐知子と実花の間に割って入る婚活ブロガーの志田さんがいいキャラクターだった。 



・『飛ぶ孔雀』 山尾悠子

 地域の名所のような大きな庭園、ケーブルカーのある山と温泉の下にある地下の街からなる不思議な世界でおきる不思議な事件に纏わる物語二編。同一の世界でどういつの登場人物が登場しているし、私たちのよく知っている世界とその裏側を描いたようなそうでもないような幻想小説。

 おれに山尾悠子の小説が語れるわけないだろう! ともう一回逆ギレして終わるが、やっぱりこういう何がどうなってるのかさっぱりわからないけれどなんとなしにすごいなあと見上るしかない小説を読む体験は定期的にしておきたいものだと思う。それにしてもいつか山尾悠子の小説を読んで「なんかよくわからんけどすごいなあ」以外の感想が出てくる日がくるのだろうか。



・『スピン』 ティリー・ウォルデン 有澤真庭訳

 五歳から十七歳までフィギュアスケートの選手だったティリーの十二歳前後からスケートをやめる決意をする十七歳のころまでの日々を描いたグラフィックノベル。急な引っ越しで訪れた新しい街でのこと、ライバルとのこと、いじめに母との不仲、試合前の緊張、同性のことが好きな自分、もう辞めたいと思いながら続けているスケートのこと。悩みも喜びもかなしみも大きい十代の生活を描かれている。

 スケート選手としての日常も書かれているが、メインなのは中高生女子の悩みや喜びなど普遍的な日常生活でドラマチックなことは特に描かれない。たまたまスケートをやっていて、恋愛対象が同性である女の子の学校生活や家庭生活といったものが書かれているだけなのだけれどそれが読んでいてひたひたと胸を打つのである。余白を活かした絵と無駄のないセリフの効果なのか。グラフィックノベルという形式がぴったりに思えた一冊だった。



・『オブジェクタム』 高山羽根子

 町のどこかに貼られる謎の壁新聞、それを作って貼っているのが自分の祖父だと知って以来、誰にも内緒でその手伝いをしている少年。壁新聞づくりを通じてその町で暮らすいろんな人々の輪が膨れ上がり、暴走する幼稚園バスにのって祖父の作り上げた美しい光景をともに見る表題作ほか二編を収めた高山さん短編集。

 読むのは好きなんだけどなにがどう面白いのかを語るのは本当に難しいんじゃよ、おれには無理なんじゃよ……となってしまう奇想よりのSF小説。この本もそんな感じで。でも収録作はどれもいいのでこれを読んだ人はぜひ読んでくれえ。特に表題作を読んでくれぇ。ピエロメイクの女の子が呼び出した幼稚園バスに乗って町を走り抜けてくれえ(そういえば最近書いた自作小説に暴走バスに乗る展開を出してしまったけれど明らかにこの小説の影響ですね。本当に影響受けやすいので恥ずかしいですね)。芥川賞の候補になられた高山さんの健闘をお祈りしております。



・『名もなき王国』 倉数茂

 数作の幻想小説を発表してそのままひっそり文壇から姿を消し数年前に世を去った幻の作家、沢渡晶。沢渡晶の作品の読者である売れない作家の私は、沢渡晶の甥である新進気鋭の作家である沢渡瞬と出会う。私、沢渡晶、沢渡瞬、三人の人生とそれぞれが生きた時代の年代記が、幻想小説にSF小説、エッセイ風の私小説、読み捨て風のアクション小説など、三人の手による様々な趣向の小説とともに語られる小説。

 語りとは騙りである、というのを地でやってくれている、とにかく嬉しい小説。特に、沢渡晶の作品を昭和の幻想作家の名前を出して、彼らと比較して語ってみたいとうそぶくような序文からしてももうとにかく期待値が高まるというものじゃないかという。その期待に応えてもらった気がして大変楽しい読書でございましたというほかない。何重にも虚構が重ねられている小説なので、最終章で明らかになる真相らしきものもやっぱり嘘であってほしいなと思う(いやまあ小説なんだから嘘なんですが)。

 小説はこれくらい過剰にやった方がいいよな、絶対……などと自分の実力を鑑みないで目標を高めに設定してしまったせいで、自作執筆の際に痛い目に遭ったのかもしれない。



・『いっぴき』 高橋久美子

 チャットモンチーのドラムで作詞家だった高橋さんのエッセイ集。チャットモンチーの歌詞が好きだったこともあり読んでみた。

 四国の田舎で生まれ育ち、吹奏楽に打ち込み、徳島の教育大学時代にバンドをくみ、上京してチャットモンチーとして活動をしつつ個展を開いたり、解散したり、結婚したり、実家の農業を手伝ったり、そんな日々のことが書かれている。

 チャットモンチーの歌詞はまあ~こんなパワフルな方が手掛けていらしたのか! という衝撃が大きい。吹奏楽部に打ち込んでいた中高生時代、大学の文化祭や、個展のために人をかき集めてばりばりと準備していた日々のことを書いたエッセイを読んでそのパワーに圧倒されそうになる。あの歌詞はこんな人から生まれていたのか……私はダメだ……部活のために朝練とか、もうその段階でダメだ……と自分と比べてへこむ。

 それにしてもミュージシャンの人はすごく味のある文章を書かれる方が多い気がするけれど、この人もそのタイプだなあ。パワフルさに圧死しそうにはなったけれど、また本を出されたときにはぜひ読みたい。



・『新しい名字 ナポリの物語2』

  エレナ・フェッランテ 飯田亮介訳

 ナポリの下町を舞台に繰り広げられる、才能も美貌も兼ね備えていたのに高い知能とセンスにみあった激しい気性と自尊心から周囲を傷つけてしまうリラと、そのリラに複雑な感情をいだきながらも強い影響を受けて優等生としていきてゆくエレナ、二人の少女の物語の青春篇。食料品店を経営するステファノと結婚したリラ。十七歳で地元で一番の名士で裕福な家に嫁いだ若奥様として贅沢を享受する。リラが取り仕切る店も繁盛し、傍目には羨まれるばかりの状況なのに、披露宴の場でみせたステファノの「裏切り」をリラは許すことができず、すっかり結婚というものに失望しきっていた。対してエレナは婚約者であるアントニオと優等生のリーノという二人の男性の間で心が揺れて成績を落とす。兵役の恐怖におびえるアントニオの心労を取り除こうとして行ったことが原因でアントニオと別れることになったエレナは再び勉学に打ち込み優等生の座に返り咲く。勉強を通じて故郷であるナポリの下町以外の世界に出てゆこうとするエレナに対し、リラは新婚家庭や実家の柵から逃れられない。そんなリラは夏の海で不倫の恋に溺れることになるが、それはエレナが心惹かれていたリーノだった――ということで当然修羅場を迎えて読者はあわわわ……となり、大学生になったエレナは作家デビューしたところで三巻に続く。

 『ナポリの物語』の二巻。一巻でもリラを取り巻く状況は地獄だったけれど、二巻では一層の地獄みを増す。わかりやすく言うと「サマーウォーズ」放送中にタイムラインにあふれかえる呪詛の対象になるような、夫の実家や昔家にやってきた親戚のオヤジみたいなのとそれを甘やかすのをヨシとする女性陣だけがいる狭い社会の中で、美貌と高い知性とセンスと激しい気性を持って生まれたリラが幸せに生きることもできず誰からも理解されず鬼っ子として孤立してゆく様子が一巻に続いて語られるわけです。そういう語り方をすると詰まらなそうですが、とにかく個性ゆたかなナポリの街の人々やらエレナの学生生活やら1950-60年代のイタリアの風俗事情を交えた物語があいかわらず抜群に面白い。少なくない登場人物が絡み合う人間関係の交錯っぷりが面白いのですよ。この辺すごく物語づくりの勉強になりそうです。



・『地下鉄道』 コルソン・ホワイトヘッド 谷崎由依訳

 十九世紀アメリカ南部、綿花摘みの奴隷として三代にわたり劣悪な農場で働かされてきたコーラ。母のメイベルが農場を去り、奴隷狩りにとらえられないまま行方を絶ったが、一人のこされたコーラは後ろ盾もなくしてとりまく環境は一層悪くなる。そんなおり青年シーザーとともに脱走することをもちかけられる。奴隷解放論者たちで結成された組織「地下鉄道」をたよって北部に脱出しないかというのだ。かくして支持者たちが地下にこっそり作った鉄道に介して母が出て行ったかもしれない外の世界へ逃げ出す。そのあとを怖ろしい奴隷狩りのリッジモンドが追いかけるのだった。

 コーラの物語の合間合間に、アフリカから連れてこられたコーラの祖母や、リッジモンド、コーラの道中にしりあった人々の背景が短編として語らえる。地獄めいたジョージア州をたどり着いた、別天地みたいなサウスカロライナはディストピア、さらにそこから逃れた先はストレンジフルーツの林の向こうにある白人至上主義者の街だったりするし、とにもかくにも暴力に継ぐ暴力! 地獄の先はまた地獄! 悪夢は終わらない――みたいな展開が続いて面白いけれど読みながらうなされそうになっていた小説(まあ人種差別問題は解消されたとは決していえないわけで「悪夢は終わらない」な要素を印象づけたのは正解なのかも)。対外主義を極めるトランプ政権下で読まれた黒人差別問題とかアメリカの暗部をえぐるという側面もあるのだろうがけれど、奴隷狩りのリッジモンドがちょっと漫画映えしそうなキャラクターだったせいで、今となってはバイオレンスホラー小説だったんじゃないかという気持ちが強まる。作者の人ももともとホラーを愛好する人のようだし。

 面白いがメンタルの調子が悪い時に読む本ではなかったなとなりつつも、暴力とはこのように一切の容赦なく書くべきだな、という意味で勉強になった小説でもありました。



・『わたしたちが火の中で失くしたもの』 

  マリアーナ・エンリケス 安藤哲行

 アルゼンチンを舞台に繰り広げられるホラー短編集……ということになっているが、私好みの奇想の話が多かった短編集。語り手や主人公には女性が多い。表題作は夫や恋人に火を点けられた経験をある女性たちがやがて自ら火をつけるようになり……というもの。ほかにも、酷い殺され方をした子供が実は毎日見かけていたホームレスの汚い子供だったのではないかという考えに取りつかれる女性や、働いている児童保護施設でほんの一瞬目を離したすきに事故をおこしていしまって社会や恋人から糾弾される女性、気の合う女友達との二人旅に偉そうで権威的な夫が着いてきて要らんトラブルを起こしまくる――というタイプの、じとじとしてくるタイプの怖くて生理的な圧迫感を覚えるたぐいの嫌な世界が描かれる。

 超自然的なことが起きる物語もあるが、怖いというよりも不気味、それよりなにより腐敗し格差が広がり閉塞感ばかりただようアルゼンチン社会が怖いという印象が強まる。社会のひずみやゆがみに悪いものは現れ、それに対抗するという形で話は進むので読後感はわるくなくむしろ解放感がある。ティーンエイジャーの女子が出てくる物語もあって、特に女子ふたりの物語である「オステリア」が大変好みでよろしかった。



・『エリザベスの友達』 村田喜代子

 結婚してすぐのころ、世間では戦争で大変だった時代に天津租界の若奥様として華やかに暮らしていた初音さんは、現在90をこえ介護施設で暮らしている。認知症を患っているので記憶は過去をさかのぼるばかり。初音さんの面倒を主にみている二女の千里と姉の満州美は初音さんの様子を見守り、年々語る人のいなくなる戦中の満州や大陸のことに想いを馳せる。窮屈な日本社会から一時自由になり、イギリス租界やフランス租界の先進的な気風に接していた初音さんは駐在員の奥様仲間たちとイングリッシュネームで呼び合っていいたが、ある日突然、そのメンバーの中にはいなかったはずの名前「エリザベス」を名乗りだす。エリザベスは初音さんが直接遭ったことのない天津租界の元住人でもあるラストエンペラー溥儀の妻・婉容のイングリッシュネームだった。どうしてその名前を初音さんが名乗りだしたのかは娘たちにはわからないが、過去の世界にまどろむ老人たちの世界を見守る――というような小説。もうちょっと上手に内容を紹介できるようになりたい。

 村田喜代子さんの小説はとにかく読み心地がいい。しかし何がどうすばらしいのか説明するのが難しい。とにかく本当によかったとしか言いようがない小説。認知症小説というよりも、語られなかった戦中戦後の社会のありようをこういう形で形にしてくれた小説というような側面が強いような。そしてこの小説で興味がわいた婉容のことをさくっと調べたのちにすぐさま凹む。

 天津租界で夢のようなひと時を過ごした奥様たちは戦後辛酸を舐めながら(それでも開拓団の人々よりはずいぶんマシだった)、内地へ引き揚げる。一時期天津租界で暮らしていた欧風の教育を受けた満州国皇帝の妻も、今まで受けてきた教育とはなにもかもが反する宮廷生活で阿片におぼれて精神を病み、戦後は八路軍にとらえられて獄につながれたまま世を去ったというエリザベスも奥様達の一人とみてよいのだろう。今はもうないかりそめの街で魂を溶け合わせてゆく――という風に読んだせいで、なんとなく泣きたくなるような読後感に襲われたが、全然この小説の良さをつたえられてねえな! という己のふがいなさにやきもきする。



 ――近刊のほかに古い本も混ざっていますが、商業で出版されたもので印象深かったものは以上になります。ほかにももう少しありますが、ちょっと疲れた……。

 昨年から続いていた、児童文学とYAが読みたいブームを引きずりつつ、開き直って自分の好きな系統の小説ばかり読んでいた一年だとまとめることができるような。あまり読む時間がとれなかったせいで読む本を絞る必要が生じ、結果こういうことになったのでしょう。

 追加で付け足しますと、自作のタイトルに借用したので読まねばならぬという気持ちが強かったシャーマン・アレクシー『ローン・レンジャーとトント、天国で殴り合う』がやっと読めたこと、久しぶりに読んだラノベの『メルヘン・メドヘン』シリーズが楽しかったことなどが記憶に残っております。

 そんな中でベストを一つあげますと、『リンドグレーンの戦争日記』になりますかね。読み応えがあったのはもちろんだけど、作家になる人は自主的にこういうことをやるんだよ……なインパクトが大きかった。あと、ラーシュは勉強をしろ。



 ほか、2018年は本格的に同人誌を積極的に購入した年でもありました。


 中でも柳川麻衣さん、あずみさんの共著で、同性婚が一般化して珍しいことではなくなった社会を舞台にした小説集『WEDDING INVITATION』が大変好みに合致していたこともあって、お二人の本をよく読ませていただいておりました。

 特に、あずみさんの『ワスレナウタ』という百合小説がたいそう素晴らしかった……。

 閉鎖された都市で名誉ある歌姫に選ばれるために才能と美貌を持つ少女たちが修練を積む施設とか、そこで繰り広げられる嫉妬と愛憎。圧倒的な才能を前にしたときの敗北感。誰からも愛される令嬢の歌姫に侍女として仕えている、なにもかも正反対の境遇で育った少女がかつてのライバルだった相手に向ける複雑な感情だとか、ああもう良かった……。欧風の世界観も美しかった……。語彙が大変なことになってしまっておりますが、こういう小説が商業出版で読める世の中にならなくちゃダメだと思うよ……。


 私は女子と女子の一言では言えない感情が交錯っぷりを描いた小説を好んだり書いたりするもので、なんとなくではありますが「こういうのを書きたい」という世界のイメージがあるわけですよ。そしてお二方の書かれる世界はかなりその北極星的なところにあるといいますか、あの星があれば迷うことはないというようなそういう存在に近いわけですよ。なのに私ときたらすぐになにかというと拳で会話したがる登場人物しか出てこないガサツなものばかり書いて……! ポラリス見失って迷子になってばかりじゃないか……っ! と、己との資質の違いに膝をおらずにいられませんでした。



 ともあれ、以上が2018年に読んだ本の一部となります。

 

 2019年はもうちょっとインプットに重点を置きたいですね、積読の山がえげつないことになっていますし。


 最後になりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

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