第十二話:『伝説の剣の場所を示す書の場所を示す石碑のいの文字』

「人は人生を経て成長する、つまり俺は多くの成長をしてきたことになります」

『人生とは人の生と書きます、貴方は人として生きていないでしょう』

「哲学ですね」

『屁理屈のつもりで言いましたけど』

「とは言っても料理は上達しましたよ、アヒージョできました」

『前世ヒモだったと言う話だけでは脈絡が感じられませんね。貴方の体から出たオリーブオイルを使っていませんよね』

「やだなぁ、自分の体液を混ぜるなんてヤンデレなことはできませんよ」

『ヤンデレも自分体内から出したオリーブオイルは使わないでしょうからね』

「ただオリーブオイルの声が聞こえるようになりました」

『精神をやられましたか』

「いえいえ、こう、オリーヴオイルを通して食材の状況とかが感覚でわかるんですよ」

『料理人でたまにある症状ですね、確かに美味しいです』

「今のところオリーブオイル限定ですね、今度は別の食材にならなきゃ」

『では目安箱をどうぞ、私は甘い物が好きなので砂糖でも引いてください』

「はい、では失礼して」

『女神の服に手を突っ込もうとしないでください、失礼通り越して不敬です』

「ノータイムで煮えたぎったアヒージョをぶっかけてくるとは、容赦が無い」

『煮えたぎったアヒージョをぶっかけられて平然としている貴方に恐怖が湧いてきましたよ』

※残ったアヒージョはスタッフ(マンドラゴラ)の肥料となりました。

「忍者のスキルが上がってますから」

『忍者の使ったヒモでしょうに』

「お題はっと、コウさんより『伝説の剣の場所を示す書の場所を示す石碑のいの文字』」

『もう一度どうぞ』

「『伝説の剣の場所を示す書の場所を示す石碑のいの文字』」

『なるほど、良く分かりませんね』

「明確に内容を書いてありませんか」

『いえ、お題を投稿した方の意図がと言う意味です』

「確かに、伝説の剣の場所を示す書の場所を示す石碑ですと文明的に退化してますよね」

『そこではないです』

「でも普通なら伝説の剣の場所を示す石碑の場所を示す書のいの文字の方が段階的ではありませんか」

『そうでしょうか、そうかもしれませんね、どうでもいいですけど』

「これで良いなら伝説の剣の場所を示す書の場所を示す石碑の場所を示す伝説の剣みたいなのもありって感じですよね」

『そろそろややこしいのでその流れは止めましょう』

「オプションといってもなぁ、物語中盤で役目を終えそうなんですよね」

『そうですね、通過点に過ぎないでしょう』

「うーむ、それだと人生に満足するのが難しく感じますね」

『その目的を覚えていたことに私は衝撃を受けています』

「貴方とのゴールインなら満足できそうなのですが」

『死んで出直してきてください』

「今って死んでいる扱いでは」

『そうでした』



『ふむ、彼ほど美味しいアヒージョが作れませんね。料理が負けているのは女神として実に不服です。彼に食べてもらった時に自分の方が美味しいとか言われたら屈辱も良いところです』

「ただいま戻りました」

『おかえりなさい、そして喰らいなさい』

「帰ってくるなり煮えたぎったアヒージョをぶっかけられるとは。ああでも美味しいですね」

『そうですか、それは良かった。そして嬉しさ以上に恐怖が増します』

※残ったアヒージョはスタッフ(マンドラゴラ)の肥料となりました。

「ちなみに特に変哲も無いファンタジー世界の伝説の剣の場所を示す書の場所を示す石碑のいの文字になって来たのですが」

『長いので省略してください』

「石碑のいの文字ですねこちら写真です」

【伝説の剣の場所を示す書は最北の洞窟にて紅きドラゴンの守護下に眠る】

『ふむ、書物と言う時点でツッコミが出てしまいそうですが、いの文字がありませんね』

「ありますよ、これが動いた時の写真です」

『移動しちゃダメでしょう』

【伝説の剣の場所を示す書は最北の洞窟│て紅きドラゴンの守護下に眠る い】

『あ、いました。なるほどひらがなのにの文字には確かにいが含まれていますね』

「変身能力としてひらがなのこにも素早く変身できますよ」

『回転能力の間違いでは』

「ちなみにいの文字として認識できれば他の文字も動かせましたよ」

【ム説の剣の場所を小す書は最北の洞窟│て紅きトノコンの守護下│眠るイいいいいいいい】

『濁点やカタカナもいけましたか、ですがこれでは怪文書ですね』

「剣の部首であるりっとうはいっぽかったのですがりとしての判定が強く流石に難しかったですね」

『わりとどうでも良い』

「まあ普段は大人しくしていたんですがね」

【ム説の剣の場所を示す書は最北の洞窟にて紅きドライゴンの守護い下に眠る】

※これは伝説の伝からカタカナのイと横になっているひらがなのいを抜いています。

『ジッとしていませんね、ドライゴンとか言われたらちょっと信じてしまいそうです。あとしゅごい』

「女神さまのしゅごいって可愛い、耳が幸せになりそうです」

『後で鼓膜にアヒージョ流しこんであげましょう』

「中耳炎になりそう、ちなみにドライゴンとは果物であるゴンを天日干しにした食材です」

『ドライなゴンですか、ゴンとは』

「世界特有の果物で硬い皮に覆われていて実が大きくなると落下して大きな音を立てます」

『なるほど、それでゴン、貴方の行く世界の神々ってネーミングセンスに欠けてる場合多いですよね』

「ちなみに最初に来た勇者はム説ってなんだ?って顔をしながら最北の洞窟に落ちていた赤カビの生えたドライゴンの凄い下を掘っていましたよ」

『ム説と言う時点で疑問に思って欲しかった。そしてしゅごいしたを掘ったのですね』

「流石にその噂が流れてきた時にはやらかしたなと反省しまして、少し移動しました」

『貴方に反省する心があったとは衝撃的です』

【ム説の剣の場所を示す書は最北の洞窟にて紅きイドラゴンの守護い下に眠る】

『本当に少しですね、そしてしゅごい動いていない』

「文字の移動って体力を使うんですよね」

『一番左端から動いたくせに、そもそもイドラゴンってなんですか』

「イドラゴンとはイドラのゴンです」

『良く分かりませんね』

「イドラとは人間の先入的謬見(偏見、先入観、誤りなど)を帰納法を用いて説いたものです」

※ウィキペディアより

『急に難しい話になりましたね』

「偶像や幻影と翻訳されるそうです、ほら人から貰ったお菓子が美味しく感じたりするじゃないですか、ああいう存在しないけど存在しそうな感じの奴です」

『なるほど、そしてイドラのゴン、幻影のゴンと言うわけですね。なお分かりません』

「二人目の勇者はなるほど、ム説かと最北の洞窟で浮かんでいた幻影の紅いゴンの凄い下を掘っていました」

『何がなるほどなのか、幻影が見えているあたりかなり頭が飛んでいますね、そして二人目もしゅごいしたと読みましたか』

「これらを不思議に思ったのは最北の洞窟にいる紅きドラゴンです」

『先に勇者二名に思って欲しかったですね』

「自分の住処の前に凄い穴が掘られ、どう言う事だと思ったドラゴンは石碑の所に来ます」

『石碑の存在を知っているあたり知的なドラゴンですね』

「流石に悪戯したのがバレると不味いので急いで戻りましたよ」

【仏説の剣の場所を示す書は最北の洞窟にて紅きドラゴンの守護い下に眠る】

『ジャンルが変わってきていますね、そしてしゅごい戻れていない』

「石碑を見たドラゴンはなるほど、しゅごい下と読んでしまったのだなと納得します」

『納得してしまいましたか』

「しかし悪戯されてしまっていることにも気づいた為に修正して帰っていきます」

伝説でんせつルナグレイズソード場所ばしょしめセスタグリモワール最北さいほく洞窟どうくつにて紅きドラゴンブレイジングドラゴン守護下しゅごかねむる】

『ルビを振ってくれましたか、しかし逆に読みにくい』

「しかも正式名称まで書いてくれましたからね」

『しかしルビまで書かれては貴方も悪戯が難しいでしょう』

「はい、なので仕方なくオプションの力を使いましたよ」

『使っちゃいましたか』

「以前忍者世界に異世界転生していたのに忍術を殆ど使わなかったので覚えていきました」

『文字が忍術とな』

「これが分身の術を使った時の光景です」

伝説いでんせいつのいルナいグレイズいソード場い所ばいしょしいめセスいタグいリモいワールい最い北さいいほく洞い窟いどういくついにいて紅いきいドラいゴンいブレイジいンいグいドいラいゴいン守護い下しゅごいかねむるい】

『最早ただのバグですね』

「現れた三人目の勇者はなるほどと言います」

『そんな馬鹿な』

「どうも暗号と思ったらしく、とりあえずいを抜いて考えれば良いなと」

『なるほど賢かった』

「そしてさほくの洞窟にて紅きドラゴンを倒しました」

『ルビの方で読んじゃいましたか、漢字で読めば最北なのに』

「不思議に思ったのはさほくの洞窟にいる紅きドラゴンです」

『さほくってどこですかね』

「この世界の最南端にある地方の名前ですね」

『無駄に遠い』

「特になんのアイテムも無いのに勇者が襲って来る、どう言う事だと思ったドラゴンは石碑の所に来ます」

『そう思うのは自然でしょうね、そしてどうして石碑のことを』

「ドラゴンネットワークだそうです」

『社交性が高い』

「石碑を見たドラゴンはなるほど、さほくとルビの方で読んでしまったのだなと納得します」

『頭もいいし察しも良いですね』

「しかし何も持っていないのに襲われては堪らないと修正して帰っていきます」

『でしょうね』

【さいほくのどうくつにいけ】

『ざっくりしてきましたね』

「再度分身の術を使いまして」

【いさいほいくいのいどいういくいついにいけ】

『また暗号に』

「四人目の勇者がささっと解読します」

『いを抜いたと』

「ちなみにいをぬくとこうなります」

【さほくのどうくつにけ】

『またもやさほく』

「四人目の勇者はこれが伝説の剣のヒントだと考えさほくの洞窟に大量の毛をばら撒きます」

『伝説の剣のヒントだと考えるまでの頭脳があって取った行動がサイコな件』

「不思議に思ったのはさほくの洞窟にいる紅きドラゴンです」

『むしろ不気味に思ったでしょうね』

「ですが察しの良いドラゴンはまたいを抜いて行動したんだなと石碑の元へやってきます」

『勇者の謎の奇行を前にして本当に察しが良いですね』

「そして修正した石碑がこちら」

【↑.】

『最早ただの看板ですね。しかしこれでは貴方の存在が消えてしまっていませんかね』

「実は消される寸前、縮小の術を使い隠れていたのです。こちらが術を解除中の写真です、分かりやすいように並べました」

【↑.】【↑ぃ】【↑い】

『謎のピリオドの正体は貴方だったのですね』 

「ちなみにこれを見た五人目の勇者はパリピだったのでテンションが上がって何処かに行きました」

※ぱーりーぴーぽー

『うえいですか、その人物は最早勇者ではない気がするのですが』

「不思議に思ったのは最北の洞窟にいる紅きドラゴンです」

『どうやって不思議に思ったのか』

「テンションの上がった五人目の勇者が意味も無く最北に北上し、洞窟の中でパーティを始めたのです」

『とんだ傍迷惑ですね』

「石碑の元へやってきたドラゴンは驚愕します、何せ自分の作った石碑が看板に変えられていたのです」

『ブレイジングドラゴンの手製でしたか』

「ドラゴンは↑いでテンションが上がったのだろうが、最北にまでやって来てパーティをするとはなんと行動的な勇者なのだろうと関心します」

『賢いはずなのにどこか愚かなドラゴンですね』

「こんな看板で辿り着くとは奴はきっと宿命を持った真の勇者に違いないとドラゴンは思います」

『物は考えようですね』

「そして五人目の勇者に自らが守護っていた伝説の剣の場所を示した書を与えます」

『与えてしまいましたか、しかし勇者に渡ったのならば良しとするしかないのでしょうね』

「ちなみにオチとして五人目の勇者は漢字が読めず、勇者としては特に活躍することも無くコンサルタントとして人生を全うすることになります」

『良しとはいかなかったようですね』

「その後俺の住処の石碑は遠い未来の先までパリピの聖地として祀り上げられました」

『どうしてそうなった』

「石碑を読み解き力を得た勇者はドラゴンから貴重な贈り物を賜ったという伝説が残りまして」

『物は捉えようですね』

「しかしマナーの悪い連中が記念にと石碑を削って持ち出したのです、そして小さくなった石碑は更にマナーの悪い奴が持ち《ルビを入力…》去ってしまい紛失してしまいました」

『何と言うか聖地の悲しい宿命を感じますね』

「そう言ったわけで戻ってきました、色々と不満足でした」

『祀られる程度で貴方が満足するはずもないですね』

「それでお土産のゴンです」

『それ食べられるんですか』

「ちょっと硬いので切り難いですが、よいしょっと、はいどうぞ」

『どれどれ、ココナッツですねこれ』

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