第5話 赤鹿村は大混雑です。

 お父さんはシンジ君にサイトでのボランティア募集を一時中止して、ウェイティングページを作ろうかと相談してきました。


 「そうですねボランティアの方は100名近く活動していますし、泊まるところが手狭に成って来ました。」


 シンジ君答えます。村から2キロ程離れた所に、廃校になった小学校があるので、テント等の自前の宿泊道具がない方が寝泊まりしています。


 シンジ君はお父さんと相談して、一時ボランティア募集を中止しました。そのかわり待機ボランティア募集のページを作り、活動していた先任のボランティアの方が抜けた時に、随時来てもらう事にしました。シンジ君はすぐサイトの修正にかかります。


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 でも募集中止や中止を知らなかったボランティア希望の方は、続々と大きな荷物を背負い、フーフー言いながら赤鹿村を目指しているのです。


 赤鹿村に通じる1本道もボランティア希望の車で、あちこち渋滞が始まりました。もちろん獣人を一目見ようという人達の方が多いようです。駐車場が圧倒的に少ないのです、お父さんは頭をかかえコロルさんに、あるお願いをしたのです。


 動かないクルマの中の人は、段々イライラして引き返す人も出てきました。1台の車の家族は中々進まない事に半分諦めかけていました。ふと渋滞の先の方から声が聞こえ、それがザワザワと大きくなってきたのです。


 窓を開け運転のお父さんが顔を伸ばすと、シンジ君とアケミさんと一緒に、コロルさんと娘のベルちゃんと、お友達の猫族の子供と大人の獣人の方が、リヤカーを引きながら渋滞している、それぞれの車1台1台にお茶やお菓子を配ています。


 「今はすごく混んでて一二ヶ月したら、落ち着くと思いますので、今日の所は引き返してもらえませんか?」とシンジ君は話しています。コロルさんと娘のベルちゃんは「触ってもいいよだわん。」と窓から手を入れています。


 猫族の子供は始めて見る日本人の小さな子供に「にゃんにゃん」言いながら逆に子供の手や足を触り始めました。家族の皆んなは始めて見る獣人の子供や大人に感激して、恐る恐る触り始めました。「わー本物なんだ!これがモフモフなんだ!」「明日皆んなに自慢しよう。」家族の皆んなは大喜びです。


 コロルさんなんかは、触られ慣れてきたのか口の中まで見せています。車の家族は人生初めての異種人類遭遇に興奮して、イライラしていた気分は飛んでいき、車のトランクを開けて、用意してきた食料などを大人の獣人達と一緒に、リヤカーに積んでいます。


 流暢な日本語で「この箱にはどこにトカゲが入っているの?」犬族のかっこいい青年が聞いてきました。車のお父さんは「いやあのあのエンジンがあって、油を燃やして走るんです」とかお互い?で話が噛み合っていません。


 先頭の数台がホコホコの気分で、Uターンして帰っていきました。


 交代の獣人達が、リヤカーの上に獣人達の子供達を乗せてきました。コロルさん達と入れ替わり、今か今かとワクワクしながら待っている、残りの渋滞中の車の人達の相手を始めました。


 写真を撮りまくる人達に、シンジ君はブログやツイターに載せてもいいですが、大混雑していますので現地に来るのは、しばらく控えてほしいと、コメントを入れてくださいと頼んでいます。


 夕方には渋滞は無くなり、フラフラになって帰ってきたシンジ君、お父さんに報告した後で『引きこもりの身ではきつかった。』と体力の無さを痛感しています。アケミさんは平気な顔で、いつもの仕事に向かうのでした。


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 異種人類の遭遇にウイルス感染が心配ですが、一応それは無いという設定になっています。






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