伊太利のナポリに【ナポリタン】が無いように、仏蘭西に【フランスパン】は無い

 日本人に限らず。人間は、比較的割と【誤解】しやすい。


 当たり前だと思っていることが、実は非常識だったりといったことはよくあることです。


 頷くことが肯定で、首を横に振ることが否定とは限らない、真逆のブルガリアの風土もある。

 ブルガリアにブルガリア・ヨーグルトというものも、実は【ナイ】。メーカーが売り出すネーミングを決める際、語呂がよかったからだとか。


 誤解し、誤解される。あるあると思うこともあり、ナイナイと呆れ果ててしまうことも。


 日本のイタリアンにはナポリタンはあるが、現地イタリアにはナポリタンを知る人は、日本通な人に限られる。

 そもそも、ナポリタンは日本人が作り出したもの。


 カレー大国であるインドでも、日本でいうところの【カレーライス】はなかったり。

 日本独自の文化と融合し、進化した結果とか。


 他にも、フランスには【フランスパン】というものは存在しない。

 フランスパンと瓜二つのパンは、別の名前で売られている。その名前は、バゲットや、ソフトフランスとされるバタール。

 フランスの方からすると、フランスを代表するパンは【クロワッサン】なのだとか。


 メロンパンにメロンが全く入っていなくても、メロンパンはメロンパン。


 日本でパンといえば食パンだが、その食パンという名称そのものは、実は日本人が命名。

 日本では定番は角形食パンが当たり前だが、海外では山形の食パン【ブレッド】が定番だったり。

 パン屋が山形だと大量運搬の際に押され潰れてしまうため、省スペースを追求した結果と言われている。



 では、フランスパンといわれているバゲットと、柔らかな食パンの違いは、粉の種類が違う。

 同じ小麦粉でも、中力粉と強力粉の違いが大きいそうな。ちなみに、製菓などで使われるスポンジケーキには、薄力粉が多く使われている。


 薄力粉/中力粉/強力粉のそれぞれの違いは、小麦由来の蛋白質であるグルテンの含有量。

 それぞれが用途によって使い分けられている。

 ちなみに、小麦粉といわれるものは、日本では、大体が強力粉を指す。ヨーロッパの方では、中力粉が主流。中東では、強力粉が主流。


 薄力粉はスポンジケーキやクッキー、製菓/お菓子作りに向いていることが多い。

 中力粉はパスタやセミハード系のパン。

 強力粉はうどんやソフト系パン。



 ちなみに、かの有名な【迷 惑な 】。


「パンがないなら、お菓子ケーキを食べればいいじゃない」


 かのフランス王妃、マリー・アントワネットが言い放った【とされた】この言葉は、実はある意味で真理であり、実は、間違っていない。ただ、多くの誤解と曲解も含まれている。


 パンに使われる小麦粉より、製菓に使われる小麦粉の方が、実は当時は【安く】手に入る。

 その理由として、製菓用の薄力粉とされる小麦粉は、実は製粉されてから相当の時間が経過した、古い粉を指すことから。主食(製パン)用とされる製粉間もない小麦粉と比較すると当時は【割安】。【だから】、ある意味で【は】間違っていない。込められた本当に必要な情報が削ぎ落された結果、「パンがないなら、お菓子ケーキを食べればいいじゃない」とされているのだとか。


 マリー・アントワネットの博識さが垣間見えるものの、残念なことながら手に入れるためのお金すら乏しかった当時の実情には疎かった。


 貧困に喘ぐ当事者達からは、そんな真心が込められていたとは、思いもしなかったのだろう。


 そして、そんなものすら既に売り切れて無くなってしまうほどに困窮していた人々の方が多かったとは、思いもしなかったのだろう。


 数多の革命の歴史上を返り見たところ、偏った情報に振り回された結果。本当に必要とされる実情報が届かなかったことによる、誤解と曲解が革命などの悲劇や不幸を産み出すのかな。

 革命を起こした裏側には、言葉と真実をねじ曲げて覆い隠し煽った結果がもたらしたものと思われる。


   ・・・   ・・・   ・・・


 ちなみに、現代の薄力粉は【古い物】ではなく、小麦粉を加熱処理することで、小麦由来蛋白質グルテンを加熱により【分解を促進】させたものが主流なのだそうです。

 現代では【決して】古い小麦粉が売られていることはない・・・はず。

 ただ、過去の時代においては買い置きして、製菓に適した状態になるまで保存するまで待っていたこともあるのだとか。


 そもそも、そんな品質管理をするよりも、加熱処理して早々に捌くほうが維持費用や管理が楽という実情がある。



 過去の社会も現代社会も、その先の近く遠くの未来の社会も、誤解と曲解フェイクニュースで満ち溢れながら、様々に移り変わっていくのだろう。



 ついでのことながら、自作自演を指す【マッチ・ポンプ】というのも、英語圏には存在しないのだそうな。日本限定だから通じる、【和製英語】なのだとか。さらに言うと、言い出しっぺは政治家がとっさに使った一言が報道された結果だとか。



 ちなみに、フランスパン=バゲットの寿命は短いとされている。

 焼き立てから最初の三十分で香りが死に、三時間で味が落ち、五時間ほどで食べられたものではなくなる位に固くなるそうな。

 いわゆる、賞味期限=美味しく食べられる期間が非常に短い。

 なので、私がヨーロッパを旅した際のパン屋では、既に焼けた在庫があっても焼き立ての方のパンを売ろうとしてくれるお店が多い。


 時間が経ち、食べられないくらいに固くなったパンを食べる方法として、フレンチ・トーストという、固く食べ辛いバゲットをも柔らかくする調理法が作られたのだという。



 世の中は意外と知られていない謎知識に満ち溢れ、知れば知るほど面白い。

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