第7話

そして、帰り道。

今俺は、麻琴ちゃんをおんぶしている。

正直に言うと、もの凄く辛い。

あ!勘違いしないでよ。別に麻琴ちゃんは重たいとかそういうじゃなくて、あのトレーニングのせいだ。

それだけは、誰がなにを言おうと、訂正するつもりは、ないから!

で、だけど、何故こんな、麻琴ちゃんをおんぶするという状況になってしまったのかと言うと……

『佑樹くん』

『ん?なに?』

『お願いがあるんだけど、いいかな?』

『別にいいけど』

『やったー!じゃあさ、おんぶして!』

『はあ?なんで、もう俺麻琴ちゃんをおんぶできるほど体力残ってないんだけど?』

『あ!それって、私が重いってこと‼』

『いや、だからね、麻琴ちゃんが重いだけじゃなくてね、そのー、体力がね……』

『そっか』

『あ、わかってくれた。それはよか』

『えい!』

と言うと麻琴ちゃんが、俺の背中に向かって飛んできて、そして、首に手を回してきた。

『ちょ!だから、無理だって!』

『知らない!お休み』

そして、麻琴ちゃんは、すやすやと眠ってしまった。

とまあ、こんな感じで、麻琴ちゃんをおんぶしているわけだけど。

「本当、辛いは、いろんな意味で、これ」

まず、体力的に辛いのもそうなんだけど、

麻琴ちゃんが、俺の首に手を回しているから、今俺と麻琴ちゃんの体は、ゼロ距離なわけで……そう、女の子特有のいい香りっていうか、石鹸のいい匂いがね。本当ヤバいの。

さっきまで、運動していたはずなのに、汗臭くないのはなんでなんだろうか。

だが、しかし!俺と麻琴ちゃんは、恋人ではなく、兄妹なのだ。だから、間違いなど起こしてはいけない。まあ、もし、恋人同士でも、間違いを起こしていけないのだけどね。

そんな、悶々とした時間は過ぎていき、遂に家の前まできた。

「はあー、やっとここまできたー。あと、もう一踏ん張りだ。頑張ろう」

その時だった。

寝言だと思うが、麻琴ちゃんが呟いた。

「デート、楽しかった………」

「はあー、だから、麻琴ちゃん今日のは、デートじゃなくて、買い物だからね………まあ、楽しかったには、変わりなかったけど」

そして、玄関を開けるのだった。

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