正しい「解」を求めて、繰り返す時空の先に待つものとは?

タイムリープ。
SFというジャンルにおいては、王道のテーマと言っても良いかと思います。
この作品の特徴は、その手の内が序盤に明かされているところ。
さらに物語は単純明快。

 なんどもなんども二日間をやりなおす。
 ただ、想い人の謎の「死」の真相を知るために。

ネタバレにならない程度に申し上げますが、
本当、わりと何度も、タイムリープします。
それだけに、途中で退屈になってしまう危険をも孕んでいるこのテーマ。
しかしこの作品においてそのような心配はございません。
明かされる謎と、新たに生まれる謎。
そのバランスが絶妙で、中だるみしないで一気に読めます。

特にタイムパラドックス説明パートにおいては、
小難しい言葉が用いられがちな場面でも、
しっかりとしたロジックで噛み砕いて説明されており、
SF初心者の私のような者にもわかりやすかったです。

さらに青春ものならではの、癖のある登場人物たちによる人間ドラマも魅力的。
中学卒業式間近の独特の空気感に包まれて、等身大の少年少女が生き生きと会話します。

そして是非この作品は、最後の最後まで読んでほしいです。
単なる「少年少女の「少し不思議」な物語」という一言では片付けられない、
綿密に練られたタイムリープの構想と意外な展開に、
思わず唸らされること間違いなしです……!

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