明治の時代は、煉瓦、瓦斯灯、百鬼夜行

  高辻男爵家のご令嬢環蒔(たまき)お嬢様は、子猫よりも好奇心旺盛で、子犬のように勇壮活発。海老茶の袴にブーツの踵を鳴らして女学校に通うハイカラ娘。
 西に妖怪が出たと聞けば自転車をこぎ出し、東に化け物が現れたと耳にすれば乗り合い馬車で駆けつける始末。

 ことあるごとに、連れ出される書生の溝口くんには、たまったものではありません。

 だけど、その行く先で出会うのは、お嬢様の期待外れな事件ばかり。残念そうな環蒔お嬢様。
 でもでも、その環蒔お嬢様のすぐそばにいる、それは。もしかして、もしかすると、正真正銘、本物の妖怪なのではありませんか?

 時代がうつろい、価値観が変わり、人の生活が大きく揺れるとき、この国の妖怪たちは蠢きだす。
 ガス灯照らす銀座の街に、今宵も溢れる異形の闇の群れ。文明開化の百鬼夜行。

 どうぞ、あなたもご堪能くださいませ。

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