スク―ル水着奨励委員会、略して「スクショ」推薦図書に決定!

「というわけでね、カクヨムで注目している作品のレビューをさせて頂きたいんですけど」
―今回の作品は『萌語物語』 狼煙さんの著作です

「こう言うのも何だけど、よくわかってないでしょ、あなた。萌えのこと」
―うん。何て言うか、いまいちルールがわかんないスポーツ見てるみたいな。

「ああ、カーリングとか」
―カーリングは知ってますよ。真剣勝負をする選手たちの凛とした美しさと、そこで交わされるどこかほのぼのとした方言による会話とのギャップを愛でる競技でしょ?

「ねえよ、そんな競技。けど、何気に理解してるじゃん、萌えを」
―あ、今のやつ、萌えですか。

「広義ではね。それにしてもこの作品はすごいよ。『萌えとは心の栄養』『人間のみに許された高等感情』って。一エピソードに一語、出るわ出るわ萌語の数々」
―萌語botとか作れそうだね。『主人に従いつつも赤面による恥じらいを表現すること忘れない女』『卑しいメス豚にどうかそのシュークリームをお恵み下さいませ』だって。

「きわめつけは『鬼に金棒、幼女にスクール水着』って。どんな構造の脳から湧き出して滴来るんでしょうね、このフレーズ。
―いやいやいや、俺だってスクール水着には興奮するぜ。

「あれ、そうだったの?」
―なにしろ『スクール水着の日焼け跡保存会』略して『スク保』の会員だからね。

「健康指定飲料みたいな略称だな。つうか初耳でした。あなたにそんな性癖があったとは」
―うん、まあ俺の場合は熟女限定だけど。

「……聞こえたね、今。いろいろなものが引く音が」

―ゾクゾクするよね、「ピザをピザパイと呼ぶ熟女」とかね。
「するんだ、ゾクゾク」

―夏の神社で、白装束の胸元を広げて風を送る様に見とれていたら、気づかれてこっちに険しい視線を返してくる『熟巫女(じゅくみこ)』とか。
「あるのか、熟巫女って言葉。それにしても暑苦しい語感だな」

―迷い込んだ旅人をかどわかして食べる『安達が原の鬼熟女(きじゅくじょ)』!
「今度は妖怪譚になっちゃった」

―舞踏会の後、やれやれと言った表情でハイヒールを脱ぎ捨てておにぎりをパクつくドレス姿の貴婦人(47)。
「……その辺の年齢ですか、ストライクゾーンは」

―普段はしっかりものなのに夜勤明けで頭がぼーっとしたまま着替えをして、ナースキャップをかぶって更衣室から出てくる『熟女看護師』とか。
「あの……」

―他にも流暢な日本語で「おじゃまいたします」と、玄関で礼儀正しく頭を下げた後、靴を履いたまま土足で上がり込んでくる『帰国子女の熟女』。
あるいは「これが…雪?」と、初雪の降り始めた空を見上げてポカンと口を開ける『南国育ちの熟女』。
もしくは監獄のある孤島に向かう船の窓から『今、船の下で何か大きな影が動いた……』と、蒼ざめた顔で呟く『熟女囚(じゅくじょしゅう)』
「……すいません……そのあたりで」

―(熱い口調で)長時間の正座で足をしびれさせ、苦悶の表情をうかべる『熟尼僧(じゅくにそう)』!厳冬の海で漁を終えて、紫色の唇をわななかせながら焚火に柔肌を晒す『熟海女(じゅくあま)』!袴熟女(はかまじゅくじょ)に草鞋熟女(わらじじゅくじょ)!学習塾の塾長が熟女!」
「早口言葉だね、もう、最後のあたり」

―きわめつけはこれ!ストライクゾーンぎりぎりの『熟婦警(じゅくふけい)』に、ものすごい方言でスピード違反の切符を切られる!
「熟婦警……」

―『あんだあ、飛ばしすぎでねえが?』って。
「やかましい!」

―というわけで、今月から始まる『熟女b ot』どうぞお楽しみに!
「金輪際始めねえよ、いい加減にしろ」


<了>

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