小屋

俺は頭痛に苛まれながらも、萌黄を探しに外へ出た。

萌黄はいつ失踪したんだっけ?

親父と同じ感じかな?

そう思いながら歩いていると、遠くから自分を呼ぶ声がする。

声の方向へ行ってみると、そこには畳4畳ほどの小さな小屋があった。

そこには血がべっとり付着した見たこともない農具らしきものと、血が異常なほど付着しているウエットスーツがあった。

ウエットスーツの大きさは、萌黄の身長ほどだった。おそらく返り血を浴びないために着たのだろう。

「なあ、姉貴。ここはどこなんだ?」

「ここはお屋敷から1キロほど離れたところよ。」

1キロも俺は呆然と歩いていたのか。

「そういえばさ、屋敷にこれが落ちていたんだ。」

俺は姉貴に泉の髪飾りを見せた。

「どうしてこれが。もしかして泉はこの島にいるのかしら?」

やはり姉貴も俺と同じ考えだ。この髪飾りが落ちていることは怪しい。

その時だった。大地が急に叫びだしたのだ。それこそ狂ったように。

そして大地は木々が生い茂ったところへ叫びながら走っていった。

俺たちはその一瞬の出来事にただ呆然と立ちすくむしかなかった。

大地を追いかけようとしたが、もう大地の姿は見えなかった。


それから俺たちは、萌黄と大地の捜索を2時間ほどしたが、結局見つかることはなかった。時刻はもう午後5時を回っていた。俺たちは、静かに屋敷へと戻った。

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