世界創世神話

 君たちが作ってくれた「美味しい夕食」の御礼に、一つお話をしてあげるわね。


 あ、そんなに畏まらなくて、食べながらで良いわよ。「宴」に余興は付きものだから。

 へ?「宴」も「余興」も知らないの?そうね、食事をしながら音楽やお喋りを皆で楽しむコト?かな、、、


 ま、始めるわね!


 アリアが知ってる「亜人デーム」に伝わる世界創生神話にはこう綴らているの、中身は「ヘム」に伝わるそれと大差は無いらしいは。


 ある時「原始ゲンシ」から「調和チョウワ」「チカラ」「自由ジユウ」の神が生まれたの。


 「世界シアを造りし三柱の神」、三柱ミハシラと呼ばれる三人の神様ね。


 三柱ミハシラは手を取り合い「原始ゲンシ」から今の世界、「」を造ったの。

 そして世界シアを原始から切り離し安定させる役割を持つ「原種ゲンシュ」を生み出したは、今はもう世界に数えるほどしか存在しない原種ゲンシュ三柱ミハシラの加護をあまねくその身に宿す神話の存在、「リュウ」や「オオカミ」も原種ゲンシュの一つよ。


 どんな存在なのかしら「原種」って、会ってみたいな~。


 次に安定した世界シアを発展させるため、三柱ミハシラ原種ゲンシュを基に目的と嗜好に合わせて多種多様な生き物を作ったは。

 原種ほどの力は無いけど、それぞれ一柱の神の加護を受けた存在、ヘム亜人私達と呼ばれる「眷属」ね。


 へ、眷属が一つ足りないって?


 うん、そう「自由の神」の眷属って何て呼ぶか正しく伝わってないの。「イン」とか「ヤン」とかって名前らしいけど、その理由もこれから教えてあげるわね。


 三柱は眷属を使い世界を発展させていった、、、だけど世界が完成に迫っ時、「三柱の神」はその在り様を巡って仲違したの。

 原因は「力」と「自由」の神だったと言われているけど、何故か「調和」と「力」の神が戦うって話に成ったの。


 コレは諸説あってハッキリしてないんだけど、「自由の神」は自由だから逃げちゃったとか、仲裁に入った「調和の神」自身が決めた事だとか、「四柱目の神」が現れて「神のジャド」を提案したとか言われてるは、とにかく今の「世界シア」に「自由の神」はむろん、その眷属が居ないのは事実なの。神話の時代に「眷属」の名前も伝える術も途絶えてしまったの。


 でも「自由の神」は逃げたんじゃなくて「裁定者」として眷属と共に「神のジャド」見守る中立の立場になったと言われてるは、この説は「癒し」に代表される「英霊の奇跡エイレイノキセキ」と呼ばれる魔法から来ているの。

 世界シアに生きるモノ全てが「」を持ってるって知ってる?「神のジャド」で私たちの御先祖様は神達と共に戦ったは、そしてその存在を失った「眷属」達の「残火ザンカ」を「自由に神」が集めて塔に灯したの、「英霊の塔」の神話ね。

 英霊達御先祖様は「英霊の塔」から世界シアの行く末を見守っていて、自身に祈りを捧げる者や、ご自身が目を掛けた者へお言葉や「奇跡」の力を授けるの。


 私も兄が「英霊」の依代シャーマンだからその奇跡を見た事があるは、「花嫁道具郎党」には是非とも欲しい人材だは!

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