木瓜の花

 昼間から飲む酒はなんと甘美なことだろうか。


 木瓜ぼけの花が咲いていた。

 家に寄り添うように生えているせいか、咲いていることに気付いたのは昨晩のこと。

 聞くところによると、結構前に花開いていたらしい。


 花の色は朱。造花と見間違えるような色をしているが、紛れもなく本物である。

 私が子供の頃にはまだ盆栽だったもの。根が鉢に蔓延っているのが可哀想と思い、霜除けも兼ねて軒下に植えたもの。


 元気よく育った木瓜は花が終われば実をつけてくれる。その実は果実酒へと変る。

 数年前に仕込んだ木瓜の果実酒、腐敗を防ぐために中の実は除去してある。

 

 仄かに色付いた酒を舐める。

 素晴らしい、春の薫り。

 

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