ケモミミメイドはボクですか!?

現野 刻

【プロローグ1】始まりは春の香り!

・《始まりは告白ですか!?》

「あの…。」


風が吹き、頬に優しく触れる。

桜が舞い散り、アスファルトの地面にはピンク色の絨毯が敷かれたようだ。


そう、それは出会いと別れの季節。春。


卒業式を終えた生徒たちがバラバラと帰っていく中、学生服姿の少年が、一人の生徒を呼び止めた。


「あ…あの…柊木…。俺…。」


少年の顔は、隠しきれないほどに赤く染まっている。


卒業式後のこの状況になって、発せられる言葉は一つしかないだろう。


「俺、別の高校に行くことになったから…お前に伝えないといけないことがあるんだ。」


少年の目は、春風に髪を靡かせる生徒をハッキリと捉えていた。


「俺…お前のことが好きだ!付き合ってくれ…!」


意を決し、少年は放つ。

彼の思いをありのままに。


しかし、それを受けた柊木と呼ばれた生徒はゆっくりと微笑み、告げる。


「キミを、そんな風には見れないかな…。」


「そ…そんな…。」


「ごめんね。」


少しはにかみ、謝る仕草を見せる。


その行動には一種の慣れというか、余裕すら見えていた。


「柊木…何で…。なんで俺じゃダメなんだ…?」


「何でってそりゃ…。」


呆れたような顔をした『彼』は、


「だって…。」


少年にハッキリと告げた。


「だって 『僕』 は―――――――――――」

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