第20話 大学で使いました

【速度が違う】

藤沢さんの一つ目のサンプルで、一段階分の操作を実演しつつ教えてもらいます。


藤沢さん「それじゃあ、やってみて」

作標に書き込んだメモも見つつ、教えてもらった作業を行います。


加藤さん「出来ました」

藤沢さん「大丈夫ですね。私の方もやってしまうので、ちょっと待っててね」


加藤さんとは比べものにならないスピードで、藤沢さんの作業が進んでいきます。



【お医者さん?】

藤沢さん「作ったサンプルをシリンジでとって、カセットフィルターで濾過しながら、バイアル瓶に入れます。これで、サンプル作成終了です」


言われたとおりにやってみますが、濾過で少々苦労します。

藤沢さんは軽く押し込んでいるように見えますが、思っていたよりも固いのです。


それでもどうにかできた加藤さん、ふと思いつきます。

加藤さん「白衣で仕事しています。仕事で注射器使っています。と言うと、嘘をつかずに勘違いさせられそうですね」


藤沢さん「あー、お医者さんって」



【進化】

藤沢さん「これを液クロで分析します。使ったことはある?」

加藤さん「HPLCは研究室で使っていました」


加藤さん「ただ、古い装置で、手打ちでチャートも紙で出てくるもので」

藤沢さん「私も大学の頃はそうでしたよ。紙を切って、重さを量って」


藤沢さん「この子はオートサンプラーで、データもパソコン上で処理できるので、楽ですよ。1サンプル2時間くらいかかるんですけど、セットして帰って終夜で勝手に分析してくれますから」


藤沢さん「たまに、途中でエラー停止していて、朝来てがっかりと言うことも無くはないんですけど」



【クロマトグラフィー】

液クロとは、本来「液体クロマトグラフィー」全版の略称なのですが、「高速液体クロマトグラフィー(HPLC)」の略として使われることも多いです。


クロマトグラフィーとは、移動の仕方の差を利用して、成分を分ける分析方法です。

色々な成分の入っているものから、目標の成分がどのくらい入っているかを調べます。


よく持ち出される説明は、紙の端に水性マジック(黒)で点を書いて、水を染み込ませると複数の色に分かれるというやつです。


色の成分が水に乗って紙を移動するしやすさで、どこまで運ばれるかが変わってくるのです。

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