第11話 最終日へ向けて

【送別会は】

社員さん「加藤さん、送別会をしようと思うのですが、ご都合が悪い日はありますか」

加藤さん「時間もないですし、いいですよ」

※派遣社員の歓送会の有無は派遣先に依ります。


社員さん「いやいや、やらないと私が課長に怒られますから」

加藤さん「私は、いつでも大丈夫ですので、皆さんのご都合のいい日で。無理そうでしたら、無しでいいですから」


社員さん「お店の希望とかあります?」

加藤さん「そうですね、お酒が苦手なので、食べるがメインの方がいいです」


加藤さん「あと、開始が5時半くらいの方が嬉しいです」

定時は17時なのですが、社員さんが残業されるのが多い為、普段の飲み会は18時半開始なのです。



【お礼の準備】

最終日に持って行くお菓子をどうしようか、考え中の加藤さん。


加藤さんの都合で辞めるわけではなく、切られるわけですが、お世話になったことに変わりはありませんので。

きれいにお別れしておく方がよいのです。


どうせなら、自分も美味しく食べられるものがいいし、デパートに行けば買えるというものも芸がないし。


リサーチと称して、近場の菓子店を巡るのでした。



【ついに最終日】

朝礼で一言ご挨拶。最後にお菓子を持ってきたので、召し上がってください、と。


最終日なので、お仕事は軽めに。代わりに、片付けをしっかりと。


実験室から居室に帰ってくると、ちょうどお菓子に手を伸ばしている人が。

「あ、加藤さん。二つ目貰います。」


加藤さん「多めに持ってきてますけど、二つ目はお昼休み終わってからにしましょうよ」



【いなかったかのように】

机は空に、ノートはまとめて置いてある場所に、筆記用具は共通の保管場所へ。


パソコンはもともとデータはサーバーにあげていたので、そんなに頑張らなくてもすっきり。


出退社の名札だけでなく、下駄箱やロッカーの名札も外します。その作業を見つかってしまいました。

「加藤さん、そこまできっちりやってるんですか?」


加藤さん「最初からいなかった感じで去ろうかと思いまして」

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