異世界(ハードモード)にようこそ。

主人公の「静(しずか)」は、異世界に投げ出されてしまいます。
それも、現代の地球の日本人そのままのスペック。
異世界に着くと同時に特別な力が都合よく宿ったりしていません。
彼女は一人の日本人として、まずは異世界で生き延びる術を探さなくてはならないのです。

こういった設定からもにじみ出ていますが、
地に足がついている物語を作ろうと試みているところが本作の特徴です。
つまりそれは、異世界トリップという題材から想像される、主人公にとって都合の悪い展開を臆せずに盛り込むということ。
たとえば言葉が全然通じなかったり。

そんな工夫のせいで、静ちゃんは異世界に迷い込んですぐ窮地に立たされます。可哀想ですね。
なんとかその窮地をかろうじて切り抜けるのですが、まさに「かろうじて」って感じです。
もし私だったら助かってないです。
その状況を、あえてライトに表現するなら「ハードモード」でしょう。とっても可哀想。

筆者の中真さんは近況ノートで、Web小説らしくない、ライトノベルらしくない、と本作を位置付けています。
しかしそれは、リアリティのことしか考えない冷たい物語という意味では決してありません。
最序盤から勢いある展開で読者を楽しませてくれるサービスのよさ。
これは間違いなくエンターテイメント!

ぜひ多くの人に、静ちゃんを心配したり応援したりして楽しんでほしいと感じました。
主人公の名前がシズカで、異世界もので、それでタイトルがフーヤマ・シッカっていうのもかなりのワクワクポイントですよね。