輝け!光線ガール!

Enju

第1話 それはそれはまっすぐに

後ろから抱きしめられると、途端に周りの喧騒が消えてなくなり、彼女の声だけが耳に届くようになる。


やさしく、それでいて力強く私を包み込むそのぬくもりを感じるたびに、胸の奥が熱くなってくる。


そして高まり、抑えきれなくなった圧力がとめどなく溢れ出すのだ。


比喩ではなく、

比喩ではなく。


「臨界点突破」

「第一から第三照準までロック完了。」

「射線クリア」

「発射準備完了」

「いつでもオッケーだよ!」


背後からの声に応えて胸を反らすと、胸を締め付けていた最終ロックが外れ、赤い光が漏れ出す。

「必殺!!ブレストブラスター!!!!!」


私の胸から放たれたビームが空中の3つの照準を貫き、空中要塞マグレスへと命中!

無敵を誇った空中要塞マグレスは轟音を立てて墜落していくのであった。


私の名前は小山ヒカリ、花も恥らう17歳。

ごくごく普通の女子高生、ただし胸からビームが出ます。


「よーし、お疲れさん、それじゃ撤収撤収!」

防音バリアも吹っ飛んだために戦場の喧騒が戻って来ているけど、それに負けないようにユキが声を張り上げる。

ユキは私の親友で、ちょっと体がサイボーグになっている子です。

さっきまで私を支えていたアームや照準投影機なんかをパタパタと体内に格納している様子がかわいい。

「ユキー、おなかすいたー、サイゼ寄ってこうよー」

「出たよ、ヒカリの腹ペコキャラが。」

「いいじゃん、今回のギャラ出てるんでしょ?」

「いいよいいよ、好きなだけお食べ。」


そんな部活帰りのような会話の後ろで、空中要塞マグレスは地面に激突していた。

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