読了後、たった二文字のタイトルが胸に刺さる

一縷という名の主人公をとりまく人間模様と、その心情。
移り変わり、形を変え、そうして流れていく時間を茫然と見守るしか出来ない読者である自分がもどかしくなるほど、丁寧に描かれた作品でした。

決して言葉は多くない。でも、それで充分でした。
文学作品の香りを漂わせながら、綺麗事ではない人と人、愛や友情を垣間見て、ただただ切ない。
細やかに描写される町並みなどの風景が脳内で繰り広げられる映像にリアリティを与えてくれるのも大きな魅力で、まるで映画を観ているかのよう、終盤に差し掛かるほど引き込まれ、一気に読み耽ってしまいました。

物語の世界に没頭したい方にオススメしたい作品です。
幸福の形も多種多様。カタストロフィーがお好きなら、是非。