なんとか魔法少女

第15話

「てな感じで、僕っちはこの世界にやってきたのだ」

「うん、話重いな！」

　ワッフルから、大体の事情を聞いた俺の第一声。

「話が重いな！すごい数の人死んでるじゃん、タブにニチアサってつけた作者に謝れよ、こんな話テレビの前のよい子のみんなに話せないぞ！」

「お兄ちゃん、ニチアサって？」

「まぁまぁ、気持ちは分かるけど、それが事実だからしょうがないよ」

「じゃあ、凪は、そのカミアって人の後継者なのか？でもお前が渡されたのはペンダントなんだろ？こいつが持ってるのはブレスレットだぜ？」

「そう、よく気付いた！実はね」

「この世界に来たとき、ペンダントの力が分散しちゃったんだよね」

「なんで」

「この世界に入るの失敗して、落っこちて、仁くんに頭突きしちゃって、その衝撃でバラバラっと」

「大事なペンダントなんでしょ⁉なんでもっと気を付けないのよ！」

「ごめんなさい」

「おい、俺が頭突きされた件は無しか？」

「でも、分散した力をあの場所に留めるため、僕っちは結界を張ったんだ」

「てことは、その分散した力っていうのは、学校のどこかに？」

「いや、光の力は、人の心から生まれるものだから、行き場を無くした力は、人の心に入るはずだ」

「つまり、あの場にいた私達の心に？」

「そう、そして君の『守りたい』という想いに宿っていた力、光の欠片の一つが反応して、君は見事に変身した！」

「じゃあ、凪の魔法少女としての力は、そのカミアってやつの力の一部でしかないと？」

「うん、それでもダークロードに対抗できる」

「ダークロード？」

「忌まわしきナイトメアを筆頭に持つ、悪の軍団だよ。闇の怪物は、やつらによって生まれていたんだ」

「でも、凪が最初に戦った怪物は、人間が変化してたぞ？」

「そうなんだ。やつらは直接はなにもしない。ただ、ヤミのタネを撒くだけさ」

「ヤミのタネ？」

「それが人の心に宿ると、その人間は悪い感情が増幅するんだ。そして、その悪い感情が最大になったとき、闇に呑まれて怪物になる」

「あの人、私が振ったから怪物に」

「人間は誰だって悪い感情を持っている。いつ、誰が怪物になるなんて、分かるわけがない。だから、怪物を倒し、宿主を救う唯一の存在、凪ちゃん達が頑張らないとなんだよ。ダークロードは、この世界を闇に染めようとしている。だから、早く光の欠片を持っている人を全員見つけて、ダークロードを倒さないと。カミアができなかったことを、僕っちが変わりに成し遂げてみせる」

「よし、手伝うぜ、ワッフル！」

「仁くん」

「ダークロードを倒すとか、正義の味方っぽくていいじゃん。もとより、俺は魔法少女が大好きだ。魔法少女を探すなんて、手伝わないわけないだろ」

「私もだよ、ワッフル」

「凪ちゃん」

「こんなブレスレット貰っちゃった以上、魔法少女の責任があるからね。それに、お兄ちゃんは私がいないとすぐ暴走するから」

「おい」

「二人とも...ありがとう！」

「いいって。あ、それから、俺のことは、普通に呼び捨てでいいぞ」

「私も、呼び捨てでいいよ」

「ありがとう。よろしく、仁、凪」

「おう」

「うん」

その夜は、星が綺麗だった。