第7話

 話はとりあえず終わった(?)というのに、何故か喜城兄妹はまだ家にいる。


「お前ら、いい加減帰れよ」

「お兄様、仁さんの部屋の探索をしてもいいですか?」

「おぅ、いいぞ!」

「俺の部屋なのに俺の許可は要らないのか⁉」

「止めておきな、お兄ちゃんの部屋は眼に毒だから」

「おい、もとより部屋に入れる気はないが、その言い方はないだろ!魔法少女に謝れ!」


「ねぇ喜城さん、こんな魔法少女オタクで本当にいいの?」

「望むところです!」

「仁、魔法少女の薄い本とか無いのか?」

「お前ら自由過ぎるだろ!後、そんな薄い本は、あったとしてもお前には見せないからな!」

「ねぇ、みんなちょっとテレビ見て!」


いつの間にかテレビでローカルニュースを見ていた凪が叫んだ。

俺達全員がテレビを見ると、ちょうど天気予報が終わり、男性キャスターと女子アナがコメントをするところだった。


『しばらくは晴天とのことでしたが、となると夜空はきれいでしょうね』

『はい。しかも今夜は非常に珍しい、星屑ほしくずみちびきが見られるそうです』


『星屑の導き?とはなんですか』

『数年に一度、夜空に見られるとても美しい現象です。その美しさから、一部では〈第二の天の川〉なんて呼ばれているそうです』

『それは楽しみですね』


「みんな、この後、暇?」

「おい凪、お前まさか」

「見に行こうよ、『星屑の導き』!」

「あら、いいですね」

「おぅ、俺も賛成」

「いやいやまて凪、『星屑の導き』は、多分星と同じく、明かりの無い場所じゃないと見えないはずだ。ここらにそんな場所あるか?」

最近はどこもかしこも街灯だらけで、星なんか見えない。

「あ、それなら、あるじゃねぇか、明かりが無い場所」


 俺達、学校に浸入なう。

「ワオ!まるで、mission in possibleね」

「だとしたら、俺とお前のどっちがトム・クルーズだろうな」

「お前だろ。なぁ凪、帰って日朝魔法少女のDVD見てちゃ駄目か?」

「しっー!お兄ちゃん喋らないで。見つかっちゃうでしょ」

「全員喋っただろ」

俺達は今、自分達が通う高校に不法浸入している。

見回りの教師はいないはずだが、警戒は必要だ。なぜ学校か、それは、この私立...とにかく俺達の高校の周辺がほぼ空き地で、『星屑の導き』を見るのに適切な場所だからだ。

「なぁ、結局、『星屑の導き』ってなんなんだ?星か?」

「う~ん、正確にはね、星じゃなくて、人工衛星の残骸らしいよ。人工衛星は毎回赤道上に打ち上げられるから、その残骸が線みたいに連なって、天の川みたいになるんだって」

「人工衛星の残骸ってそんな多いのか?」

「いや、そんなに多くはないんだよ、でも赤道軌道を漂いながら、ごく稀に、線に見えるほど密集するから珍しいんだよ」

「ふーん」

「あら、もしかしてあれがそうですか?」

俺達が見上げると、そこには天の川に並ぶくらい、いや、もしかしたらそれを越えるかも知れないくらい幻想的な、星の連なりがあった」

「すげー!」

「うん、きれい!」

「wonderful!」

「びっくりだな」


しばらくは見とれていたが、俺はあることに気がついた。

「なぁ、あの光だけ、なんか大きくなってないか?」

「あれ、本当だ」

「だんだん近づいてるんじゃないか⁉」

その時、その光が強く発光し、俺は目が眩んだ。そしてそのまま、意識を失った。

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