第3話

 教室に入ると、大翔がふと思い出したように。


「あ、そうだ、今日から俺の妹がこの学校に転校してくるから、どっかで会ったら声かけてやってくれ」

「さらっと言ったわりに重要事項過ぎるだろ!なんだ、お前妹がいたのか?」

「あれ、言ってなかったけ?まぁ、妹っていっても、離婚して家出ていった親父おやじがよそで作ってきた母違いの妹だけどな」

「おい、深刻な家族事情をサラッと言うなよ。たいしたことないみたいに聞こえるから」

「実際たいしたことないんだよ。それに、家族事情が複雑なのはお前の家も同じだろ?」

「家とはまた違うだろ。それよりだ、妹ってことは一年生だろ」

「あぁ、もしかしたら、凪ちゃんと同じクラスかもな」

「そこはどうでもいい。いや、もしかしたら俺、お前の妹と会っているかもしれない」

「え?いつ?」

「いや、そこは思い出せないけど」


正直、なぜそう思ったのかも分からない。

だが、確かにどこかで会った気がする、しかも、その時かなりめんどくさい思いをした気が。

「お前、たまに変なことあるもんな。魔法少女に目覚めたって聞いたときとか、受け入れに時間かかったぜ」

「おい、俺をどう悪く言っても構わないが、魔法少女を悪評価するのは許さないからな」

「まったく、その一途な愛はご立派なことだ」

その時、授業開始のチャイムが鳴った。

こいつの妹のことは、まぁ、会った時にでも思い出すだろう。

 授業が終わり、家に帰って、魔法少女アニメでも見直そうかと思っていると、どこからか誰かの走る足跡が。次の瞬間、俺はタックル染みたハグによって床に押し倒された。

押し倒した主は、ブロンド髪の美少女だった。

「見つけましたわ!私の王子様!」

「はい?」

正直、この展開は予測していませんでした。

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