「命」と「心」の重さについて、繊細に述べる上質なドラマ!

一般的に目にすることが難しいと言われている、「命」と「心」について語っている作品です。一見すると重たい内容に見えますが、登場人物たちの成長を描きながら、これらのテーマを深く掘り下げていく様子が感じ取れました。

前半(第一部)では「命」と「心」の成長がテーマとなり、主人公の香澄ちゃんたちの苦労しながらも困難に立ち向かい、日々奮闘するお話です。スラスラと読み続けることが出来るその作風は、まさに作者さまの文章力の高さを象徴していると思います。

一方の後半(第二部)では、トム君の「心」の変化が大きなテーマです。トム君の内面の変化をたどりながらも、生きがいを失い「命」を軽んじるようになってしまった彼の「心」を、香澄ちゃんたちが手を差し伸べるという内容です。

私が読み進めた中での感覚としては、前半より後半部分を中心に、作者さまが本当に伝えたいことが色々と書かれている気がします。
長編小説の中でもボリュームが多い作品ですが、言い換えればそれに匹敵するだけの内容の濃さを堪能できる作品です。

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