6-3

 砦を出て、ニーナのいる丘まで戻った。

「エリオット、大丈夫だった?」

 戻ってくると、ニーナが言った。「どうしたの?」

「結果的に大丈夫だった」とエリオット。

「お土産もある」

 アンナが釜の蓋を取った。

「なに?」

 ニーナが覗く。「食べ物?」

「見せもんじゃないよ、ったく」

 デイジーが吼えた。

「なにこれ」

 ニーナが尻餅をつく。

「気分害したろ?」とエリオット。

「うん。すごく。これがあなたたちの目的だったの? 生首が欲しかったの?」

「俺たちを闇の魔術結社とか何かと思わないで欲しい。これは違う」

 エリオットが言った。

「成り行き上、仕方なかった」

 アンナが言った。

「なんなの? あの顔」

「デイジーだ。モロウ・リー盗賊団のお頭だよ」

 エリオットが答えた。「死霊術で蘇らせられて、あの姿だ」

「死霊術は完成してなかったんだろうな」

 アンナが付け加える。

「エリオット、その話、長い?」とニーナ。

「これだけ。もう終わった」

「そ。それで街には戻るの?」

「いや。戻らない」とアンナ。「アントーニオの元へ行く」

「そう言うと思ったよ」

 ラグナルとの約束は反故だ。「デイジー、そういうことらしいが、いいのか?」

 エリオットは釜の中に声をかけた。

「小娘の言う通りだよ。次の行き先はアントーニオのとこだ」

 デイジーが釜の中で言った。「うちの団員を騙した弟を懲らしめなきゃいけない」


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